2007年 100km Walk
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◆竹内 健一(岡山政経塾 4期生)
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岡山政経塾100km歩行レポート
「「100キロ歩行のサポートから考え」
昨年、2度目の挑戦で100キロを完歩する事が出来ました。今年は初めてサポート隊として100キロ歩行に参加しました。多くの感動と学びをいただき、心から皆様に感謝しています。事前に考えたこと、終えて気づいたことをレポートします。自分の仕事に関連した事もありますが、忘れないようにレポートに含めます。
1.参加の目的と目標を考える
物事にあたる時は、自分なりに意義づけや目標を設定したい人間なので、まず、今回、参加する目的と目標を考えました。
@チャレンジャーとしての2年間の感謝の気持ちをサポート隊の立場で恩返しする
A昨年までと違ったサポート隊の立場で、100キロ歩行と向き合う
B一生懸命に努力しているチャレンジャーから、感動と元気と気付きをいただく
C4期生中心のサポート隊の一員として、その役割をはたす
D岡山政経塾の一員として、その一大イベントである100キロ歩行の伝統を守るために、
ほんの1ミリでも貢献する
Eサポートという行為について、深く考える
F同じ職場の後輩である5期生横田さんのリベンジする姿を最も近い位置から
リアルタイムで目の当たりにする
2.サポートの意味を考える
ベネッセEゲイト英和辞典によると、supportは次のような意味であった(部分抜粋)
@・・・を(倒れないように)支える
A・・・を支持する。・・・を継続させる
B(精神的に)(人を)支える。力づける。励ます。
C・・・を我慢する。・・・に耐える。
サポートとは、肉体的にも精神的にも、人(チャレンジャー)を支え、歩行を継続させること。辛い事にも我慢してもらい、我々も我慢していかねばならないものだと考えました。今回のサポートに対して私は、一緒に歩く体力も、テーピングをする技術も大してありませんが、せっかくいただいた機会を大切にし、自分の出来る心・技・体の範囲で、徹底的にこのサポートを頑張ろうと決意してのぞみました。
今から考えると、もっとこう動けば良かった、事前に確認しておけば良かったなど、多くの反省点はありますが、手を抜く事なく24時間動いた事は、大きな経験になりました。
3.仕事におけるサポートを考える
今の私の仕事は、高校生の進路実現や学びのモチベーション向上を支援(サポート)する仕事です。直接生徒を指導する立場でもなく、生徒の替わりに勉強してあげる立場でもありません。生徒を指導する高等学校の先生をサポートしていく仕事です。教材名も「スタディーサポート」や「進路サポート」など、サポートを前面に出しているものもあります。
今回の経験は、サポートのあり方について深く考えるきっかけになりました。商品を考えていく上でも、例えば過剰サポートでは生徒は主体的に動けなくなり、リード(導く)になってしまいますし、かといって我慢してでも、行動(継続)してほしいという想いもあります。生徒にとって最高のサポートを追求していきたいと思いました。
また、仕事で他の社員(営業や後輩)をサポートするのも同様です。自分がした方が早かったり、細かく指示を出した方が効果的な場面もあると思いますが、それでは後輩(チャレンジャー)の身になりません。お客様に対しても社員に対しても、名サポーターになりたいと強く思いました。
4.ものの見方を変えて考える
今年はサポート隊の立場で100キロ歩行と向き合いました。昨年までは自分の事で精一杯で分からなかった部分が、今回のサポートで色々と見えました。チャレンジャーであった時を思い出し、なるほど、こういうペースでいいんだとか、今さらながら気付きや反省が生まれました。
一つの立場だけから事象を捉えるのではなく、別の角度からアプローチしてみると、様々なものが見える。これは発想の転換に近いなと思いました。様々な立場を体験し、凝り固まった思考を何とか変えられるように努力していきたいです。
ベネッセ先代社長は「発想を転換させるには、無理と思われる高い目標設定を試みる事も一つの方法である」と言われました。今までの枠や制限が強制的に排除されて、別の発想を頼る事ができるという考えです。100キロ歩行も無理と思われる目標へのトライ。だから新しいものが見えてくるのではないでしょうか。
5.努力は裏切らないと考える
昨年は、「努力したからといって成功するとは限らないが、成功した人は必ず努力している」と書きました。しかし、今年の色んな人の勇姿を見て、「努力は裏切らない」とも感じました。たとえ2年、3年かかっても、努力で培った体力やスキル(技術)は必ず成果に結びつくと思いました。逆に言うと、自分のしてきた努力を裏切らない気力(精神力)を24時間持ち続ける事も大切だと思いました。
6.学ぶ心を考える
4期生最年長の小坂さんが100キロ完歩されました。一昨年はサポートしていただき、昨年はリタイアされました。昨年、かなり事前に練習を積まれていた中でのリタイアだったので、失礼ながら、今回、100キロ完歩は一筋縄ではいかないだろうなと感じていました。
その小坂さんが100キロ完歩された事は、今回最も嬉しかった事の一つでした。小坂さんは過去の経験を踏まえ、焦らず、自分のペースで歩き、休憩時間の過ごし方も大切にされていました。休憩後は自分ひとりでは立ち上がれない状況の中で、メンタルも含め100キロを歩く方法を考えていらしたのです。
70キロ地点で小坂さんにすごい経験値ですね!という話しました。経験値とは、経験の量ではなく、「経験の中から学び取る力」「学ぶ心」ではないかと考えました。一つの物事を正面から捉え、そこから自分自身に吸収していく力は、「学ぶ心」が大切だと思いました。
岡山政経塾からは多くの学びの場をいただいていると思います。その中で「学ぶ心」をいかに持ってのぞむかで、そこで得るものは異なってくると思います。これからも機会・場を大切にして、多くの事を学びたいと思います。
7.組織の中で臨機応変に動く事を考える
三十数人という大人数のサポート隊でしたが、多くの時間は1人か2人で行動していました。事前の説明やマニュアルをいただいていますが、想定外の場面が当然多くあり、その際の行動は、自分自身の判断力を問われていると思いました。
もちろん、過去を蓄積したマニュアルの積み上げなどの対応も全体としてはあるのでしょうが、個人としては反省すべき点が多いと思いました。
@ 自分がサポート隊長であるくらいの高い当事者意識を持ってのぞむこと
A 多くの人とコミュニケーションを取り、課題解決すること
B 目的・趣旨をしっかりと頭に叩き込み、幅広い視野で物事を捉えること
日常生活もそうだし、人生もそうだと思います。自分が描いた通りに物事が一生進む人なんて殆どいないと思います。その時に、落ちた階段からもう一度這い上がっていくためには、臨機応変に動いたり、強い信念を持っていないとダメだと思います。今回は、そういう意味では自分自身の心構えや動きに反省が残りました。
8.恩返しと伝統を考える
昨年、一昨年のチャレンジャーの時には、西原幹事、小山事務局長、そしてサポート隊の方々に本当にお世話になりました。今回、サポートする立場で行動して、自分がチャレンジャーの時にしていただいたサポートの真意や状況が理解でき、改めて感謝の気持ちが高まりました。
ただし、サポート隊の多くは100キロ完歩者なので、直接、その方にサポート(恩返し)する事はできません。サポートしていただいた感謝は、次のチャレンジャーに返していく事しか出来ないのです。私はこれが伝統であり、伝承だと思います。
会社でもそうです。先輩に色々な事を教わりますが、それは仕事の結果でしか返せず、今度はそれを後輩に返して(伝えて)いく事になります。チームはPDCAサイクルを徹底し、良かった点と改善すべき点を必ず次へ申し送る事が大切だと思いました。また、個人としては、「自分がされて良かった事を徹底的に行い、自分がされて嫌だった事を一切しない」ことが大切だと思いました。
今回のサポートは伊丹隊長を中心に、様々なPLANとDOがあったと思います。伊丹さんは全てのチェックポイントに手土産を持参して挨拶をされていました。細かい気配りは本当に勉強になります。改善すべき点もあったようですが、そこはしっかりとチェックして、次年度の良いアクションに繋がればと思います。
9.友人横田を考える
5期生の横田俊介さんは、私が入塾をすすめた職場の仲間です。仕事ではいつも素晴らしい実績を残す彼が、昨年100キロ完歩できなかったのは、少し驚きでもありました。今回のリベンジは応援したかったし、見届けたかったです。
彼は団体行動があまり好きなタイプではなく、政経塾においても自修自得を考えているようでしたから、恐らく、練習会などに参加されてないと思います。ただ、彼は1年通して個人で努力をしてきたようです。他から学び向上していく部分と、自分自身で考え行動していく部分の両面の大切さを改めて感じました。
彼は人と同じ事をするのが好きなタイプではなく、今回、奥様を同伴してきた時はそれほど驚きませんでした。その賛否はあるものの、彼にとって彼女の存在は大きいなと思いました。集団の最小単位である「家族」を大切にする事が、大きな物事をマネジメントしていく上で大切なんだと思いました。横田、おめでとう!
10.その他、感動した事、驚いた事を考える
□西美さんの執念・・・私が95キロ地点から始めたとしても、あの時間でゴールまでたどり着けないと思います。98キロ地点で迎えた時は、涙が止まりませんでした。素早く伴歩して元気づけた前年のサポート隊長秋山さんや、能登さんにも感動しました。
□ 江本さんの気迫・・・足にボルトが入っているのに、凄いと思います。私は46キロ地点担当でしたが、1歩20センチずつ、気力で進んでいる姿に胸が熱くなりました。
□ 中村さんの意地・・・かなりの距離を伴歩されてましたが、本当は足が痛かったのでしょう。足をひきずりながら、笑顔でチャレンジャーを元気づけてました。大阪からこのために岡山に戻ってこられて本当にお疲れ様でした。
□横田の奥さん・・・100キロ完歩した後、トポスに買い物に出かけました。
□おかゆ・・・70キロ地点。めちゃくちゃ旨かったです。ありがとうございます。
□ 自分の体重・・・去年78キロだったのに、昨日88キロでした。歩かないとこんなに太るのか!?
※その他、様々な感動・驚きをありがとうございました。
11.最後に
今、ベネッセ先代社長の「福武の心」という本を読んでいます。突き詰めれば、100キロ歩行から学んだものは、「夢と若さと愛情」のような気がしてきました。だから、最後にベネッセ先代社長の言葉を掲載します。少し長くなってしまいましたが、お許しください。
「夢と若さと愛情」
わが社においては「夢と若さと愛情」といった考え方をいつも行動の基準、発想の原点、経営の心としている。これは社訓の前文にうたわれ、社風化の目標の一つともなっているが、26年間、わが社の活力源となって、わが社の成長と経営を支えている。
若さといえば、年齢的には肉体の状態を指すが、わが社においては精神の状態を指す。つまり年齢をとっていても心が若ければ青年であり、年齢が20代でも心が老いていれば老人である。われわれがより豊かに大きく未来へ成長するかしないかは、一つにかかって社員諸君の心が若いか若くないかにかかっている。
心が若ければそれだけ夢や希望や理想が大きく、それを実現すべく未来に向かって思い切り情熱(愛情)をぶつけていくことができる。心が若くなければ、夢や希望も小さくなり、理想と生甲斐も失われて、現状に甘んずるようになり、安易につきやすい。これではとてもわが社の発展を望むことはできない。
若さの特長は、失敗を恐れない行動力であり、失敗してもすぐに取り返す柔軟性であり、燃えるような情熱をもって貪欲なまでに夢や希望を実現しようとする逞しい意志力であり、向上心・探究心である。人生も会社も夢や希望を失ったら、それこそ「生ける屍」である。私は若さこそがわが社の成長を支え、経営の根底を流れる活力であると信ずる。
よりよいものを志向する気持ち、「何もしないよりは失敗を恐れずやり通す」「昨日よりも今日は一歩でも前進している」という「夢と若さと愛情」に根ざす精いっぱいの頑張り、わが社はこの心をもって目標に向かって努力していきたいと思う。
心の若さを保つ要因は、たえず知識を補給し、問題意識をもつことであり、大いなるビジョンをもつことである。大いに努力してもらいたい。
―― 福武の心(S.55福武哲彦氏)より ――
以上
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