2012年 100km Walk
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◆江口 善紀(一般参加・ゼッケン:108)
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晴れの国 おかやま 24時間・100キロ歩行レポート 2012年6月3日
「24時間100km歩行に挑戦して」
くやしい。不甲斐ない。あの時は、あれで自分なりには精一杯だった。まだ終わりじゃない、今度こそ完歩するんだ。
5月3日から4日にかけてのことは、今でも思い出すと、複雑な気持ちで一杯です。
30kmの飯井交差点まで6時間、40kmの備前体育館まで8時間半と、何とか来れたのに。
足の裏の痛みが歯がゆい。歩いては腰を下ろし、靴のひもを緩める。気合を入れるつもりで、スタート前に、いつもよりきつく、きつく結んだのが裏目に出たのだろうか?でも、それも自分の判断だし、自己責任だ。本番とはいえ、自然体で、いつも通りの締め方にすれば良かったのかなぁ。そんな自責の念にかられる。

49km地点の伊里漁協へ向かう間に、極端に歩みが遅くなった。夜22時が迫ってくる。こんなんじゃだめだ!12時間で半分行かなきゃいけないのに!焦りの気持ちと言うことを聞かない自分の身体への腹立たしさ。
暗闇の中、遂に22時になってしまった。どうしよう。このままじゃだめだ。間に合わない!もっと靴を緩めて、まめに負担を掛けないようにして、少し良くなってきた、痛みが軽くなった。行ける!いや、ちょっと待った!歩道も無い坂道を前にも後ろにも、ひと気は無いまま、一人で歩き続けた。
24時間以内に100km歩くんだ。そう決心して歩き始めて、12時間経って半分に到達していない現実を、気持ちはなかなか受け入れられない。ただ、前に進むしかない。でも、思うように進めない。真っ暗の中でジレンマの中で歩き続けました。
23時05分、やっとの思いで伊里漁港に到着。寒い。ビニールヤッケを取り出し、まずは防寒防風処置。ひとつだけ持って来てたカイロ。迷ったけど持って来てよかった。そして温かい水餃子とおにぎりを頂きました。
もう、完全においらが最後尾だな。そう思いながら、片付けの始まった伊里漁港チェックポイントから歩き始める。バスの前でご婦人から、まだ行くの!?と聞かれて、「ハイ、行きます。」と応えた時は、何とか笑顔で言えたかな。
閑谷学校に向かう真っ暗な坂道。今でも鮮明に目に浮かぶのは、高速道路の上の空に輝く北斗七星。さすがに真っ暗な山中では心細くなる。
歩いては立ち止まり、座り込み、足の裏を回復させる。明日の10時までは歩いていいんだ。すこしでも前に進むんだ。身体が言うことを聞かない。もっと痩せなきゃ。いろんな雑念も浮かぶ。
空腹で堪らない。そうだ!ゆで卵もらってた!街路樹の間に腰を下ろし、凍えた手で剥こうとしたゆで卵には「自分に負けるな!」の文字。
まだまだ終わりませんよ。まだ途中ですから、と自分に言い聞かせる。独り言が多くなる。
10時までにゴールは無理かもしれない。そんなことが頭をよぎる。
歩道ってありがたいよな。これだけの距離を歩いてみて、すぐそばを何十キロものスピードで車が走ると、怖く感じたことが何度もありました。歩く立場にとってはこうも違うのか、と実感しました。思うように動かない自分の身体だからこそ、余計に感じました。この横断歩道、道路の境目や歩道の段差を車いすで通るのはキツいな。朦朧とした意識の中で、自分自身、足を引きづりながら、そんなことを何度も考えました。
閑谷緑地公園のチェックポイントに着いたのは午前3時半頃だったかな。おいらの為だけに、誠に申し訳なかったです。「明るくなると、また元気出ますよ!」とサポーターの方がかけて下さった言葉に何ともいえないほど勇気づけて頂きました。
ここからは下り。だんだん夜が明けて辺りが明るくなってきた。やっとたどり着いた吉永交差点のローソン。温かいおにぎりを食べて、気分一新。よし、頑張るぞ!
ボチボチ、一歩一歩。歩いては止まり、歩いては止まりの繰り返し。
足の痛みで道端に座っていると、朝の散歩の方に声を掛けて頂きました。「まだ歩いているの?後楽園まででしょ!?」「ハイ、頑張ります(笑)」
朝日がまぶしい。
自動車修理工場の前に座ってると、ちょうど出勤してきたご主人が、「和気駅の北に、藤のとても綺麗な公園があるから、是非見ていきなさい」と勧められる。「いやぁ、コースを外れると失格になりますから、」と有難いやら嬉しいやらで、地域の方とふれあってしまいました(笑)
暖かかった昨日の昼間の20数キロあたりの川沿いの田園風景も美しかったけど、朝日に照らされたレンゲソウ畑もきれいでした。
きれいなんだけど、動けない。少ししか進めない。頑張る、歩く、止まる、しゃがみ込むの繰り返し。でも、振り返ると、数百メートル進んでいる。少しずつなんだけど、進んでいる。だけど、なかなか進めないジレンマとの闘いでした。
そして、63kmの田ケ原交差点を過ぎて、土手の上を歩く。もぉ10時間以上、自分が最後尾、ビリで歩いてしまった。藤野小学校の手前で、土手の上で、遂に歩くのを諦めてしまいました。
リタイア。足の痛みを言い訳に。自分の準備不足を棚に上げて、明日からの社会活動にこれ以上支障を来してはいけない、なんて自己都合の言い訳を自分に言い聞かせて、リタイアの判断をしました。
8時頃だったかな。それからサポートの方の車に乗せて頂きました。
あれが次のチェックポイント。目標としていたリバーサイド。
それからしばらくして、あ!まだ頑張っているチャレンジャーの姿を目にしました。見覚えの有るチャレンジャーが、まだ、歩いてるじゃないか!なんで、なんで自分は時間前に諦めてしまったんだ!後悔の気持ちでいっぱいになりました。恥ずかしくて恥ずかしくて、車内で身が縮みました。
後楽園に向かう途中、何人も何人もチャレンジャーが歩いています。
もう一歩、もう一歩、なんで俺は進まなかったんだろう。
なんで24時間、あとちょっとなのに歩き続けなかったんだろう!サポートの方にご心配をおかけしました。励まして頂いたのに、その期待に応えられないまま、途中で諦めてしまった。
心の準備が足りない。だから物と体も準備が足らない。この言葉が頭の中を回ります。こんなに自分自身と向き合ったのは、いつ振りだろう。『もぉ限界だ、いやいやまだ行ける、行くんだ。』文字通り、夜通し、そんな葛藤の中で過ごしました。
自分が足りなかったんだ。
後楽園では、完歩したチャレンジャーが眩しかったです。
24時間、頑張りきれなかった自分を責めても責めきれません。
何でこんな結末で終わってしまったのか。何度も自問しました。
『心の準備が足りない。』それが一番の原因。だから、これからどうするのか。
今までで一番大きな課題をもらったような気がします。そして岡山から帰りました。
正直言うと、まだまだ、自分の至らなさが十分に理解出来ていないのではないかと思います。
来年の100km歩行まで、『心の準備』という課題と向き合い続けます。
そして来年こそは、100kmだけは、越えてみせる。来年までの宿題・目標として、これから一年、折あるごとに今回の60数キロの悔しい経験を振り返って、自分で自分の限界を遠くに追いやる練習を続けます。
夜通しチャレンジャーの安全歩行に取り組んで下さったサポーターの皆さん、本当にありがとうございました。応援してくださった沿道の岡山県民の皆さん、トイレを貸して下さったコンビニの方、いや、命をつないで下さったコンビニ様、本当にありがとうございました。
歩けなかった、あと30数キロを、ゴールテープを来年こそは!まだわたしはチャレンジャーのままです。来年の100km歩行!
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