2012年 100km Walk

 
◆西井 菜津美(一般参加・ゼッケン:227)

晴れの国 おかやま 24時間・100キロ歩行レポート             2012年5月13日
「長かった100Km」



 「一生の思い出になるかな。」「良い経験になるかな」こんな軽い気持ちで、私は24時間100q 歩行に参加を申し込みました。申し込んだ時には100Kmという距離に実感がわかないながらも、そこから自分なりに練習に励んで本番に臨みました。
 本番では、歩けるとこまでは時速6qくらいで歩こうとだけ考えてスタートしました。本番は天候にも恵まれ、最初は景色を楽しむ余裕もありました。
 しかし、10Kmのチェックポイントを過ぎた辺りから足に違和感を感じるようになりました。まだ1/10だし、これは気のせいだと自分に言い聞かせていましたが、20Km辺りから違和感が痛みに変りました。残り80km…この先を不安に思いながらもまだまだ余力があり、日中の明るい時間で精神的にも余裕があったため50Kmまでは順調に歩けました。50Kmでおいしいご飯を食べて、ストレッチをして、足の痛みは少しは軽減したものの20Km地点で感じた痛みより大分増しており正直あと50q非常に不安でした。でも、先輩や後輩とスタートし皆の歩く姿に励まされ、なんとか閑谷学校に辿り着きました。



 しかし、閑谷学校を越えてからです。足の痛みが激痛に変わり、足が上がらなくなりました。すごい速さでペースを上げた先輩には完全に置いて行かれ、目の前の後輩についていくのに必死でした。リバーサイドに着いたら絶対ストレッチをするんだと言い聞かせながらやっとの思いでリバーサイドに辿り着きブルーシートに座りこみました。「あと30Kmもある…」とつぶやきながらストレッチをしていると、スタッフの方がマッサージをして下さり、「大丈夫よ。まだ30Kmじゃなくて、あと30Km。行けるよ。」と声をかけて下さいました。優しい言葉に我慢していた涙が溢れ出ました。折れかけていた心を持ち直し「また頑張ろう」と、リバーサイドをスタートし足も少し楽になり、テンションの上がる音楽を聴きながら歩き始めました。明らかにペースアップしていました。

 歩き始めて30分後、誰もいない別れ道に辿り着きました。不安になり、スタッフの方に電話をかけました。後ろから来た後輩と一緒に居場所を説明しようとしても山と川しかなく、時間ばかりが経過してゆき、もどかしくてなりませんでした。結局道を間違えた事が発覚し、車でリバーサイドまで送っていただきました。3Km 程度も間違えていたことが、悔しくて悲しくて、車の中で「どうして…どうして…」と文句ばかり言っていました。文句を言った後で100Km歩行のパンフレットに書いてあった「言い訳をしない」という言葉を思い出し、自分のせいで間違えたのにわざわざ迎えに来て下さったスタッフの方の前で文句をいうなんて情けないと自己嫌悪に陥りながらリバーサイドに戻りました。

 さっき出発したリバーサイド。同じ景色でしたが、心・身体ともに状態は全く違っていました。心は完璧に折れてしまい、しばらく止まっていたこともあり足も動かなくなっていました。頑張ろうと一緒に出発した後輩はそこからペースを上げてみるみる内に姿が見えなくなってしまいました。私も「私はできる。まだ大丈夫。」と自分に言い聞かせながら前に進みました。でも、足の痛みはどんどん増し、途中から「できる、大丈夫」という言葉を考える事さえできなくなり、「痛い…痛い…」とばかり繰り返し、足も上がらず足を引きずる音だけが響いていました。痛さと孤独で気が狂いそうになりました。



  やっとの思いで79Km のチェックポイントを過ぎた時、職場の先生が声をかけて下さいました。その後の誘導ポイントでも他の職場の先生が応援して下さり、知った顔を見た安堵と励ましに後押しされ、再び頑張ろうと前を向けました。身体は限界をとっくに限界を超えていましたが、不思議と歩くスピードが上がりました。その後誘導スタッフの方に女性で3番目くらいだよと言われ、前にいるのは先輩と後輩なんだと確信しました。

 90Kmの直前で坂を見たときにはゾッとしましたが、ここを越えると90Kmという言葉に「あと10Kmだ」と俄然やる気を出し、そこから一気に時速6Kmくらいまでペースを上げました。先輩・後輩に続いてゴールするのは絶対私!と心に決め、最後の力を振り絞り途中で抜かれた人を抜きゴールに向かってひたすら歩きました。足を引きずりながら歩く姿に「足痛いよな。あと一息よ。頑張って」との言葉に涙しながら、前へ、前へ。後楽園が見えた時、かなり前に見失った後輩の姿を見つけ思わず走り寄り、一緒にゴールしました。先にゴールした先輩や先生が迎えて下さり、思わず泣きました。 「もうダメかと思った。。。」

 ゴール後、脱水でダウンしてしまい、たくさんの人にご迷惑をおかけしました。すみませんでした。そしてありがとうございました。ゴールはできたけど、まだまだ練習と作戦が甘かったなと反省しました。
 100Kmは、想像の100倍しんどくて長かったです。たくさんの優しさに助けられ、ゴールできました。人の優しさがこれほど力になること、人は一人では生きていけないということを身にしみて実感しました。
 寒い中、夜中でも笑顔で応援や励ましの言葉をかけて下さったスタッフの方々、一緒になって歩き励まして下さったチャレンジャーの皆様本当にありがとうございました。