2012年 100km Walk

 
◆田島 陽一郎((岡山政経塾 11期生・ゼッケン:77)

晴れの国 おかやま 24時間・100キロ歩行レポート             2012年5月7日
「100キロ歩行のあしあと」



1、はじめに

 (1)目的
 100キロ歩行の数日前、自分自身に決意表明をした。
 「100Km歩行は「計算できない未来」とどのように向き合うかが問われている。計算できない未来に真摯に向き合い、体験するすべてを余すことなく楽しみます。そして最後は11期のメンバー全員で歓喜の雄叫びをあげます。」
 この決意表明が私自身の100キロ歩行の目的となった。

 (2)結果
 100キロ歩行を完歩し目的も達成した。さらに、歩行の中で3つの学びを得ました。

 (3)来年度以降のチャレンジャー皆さんへ
 以下の内容は私からのエールを込めたメッセージです。
 



2、準備

 (1)練習会への参加
 練習会では以下の利点があった。
  ・1週間に3回の練習間隔が足に必要以上の負荷をかけなかった
  ・練習会参加者との競争心理が働き、手を抜かずに練習できた
  ・100キロ歩行体験者の話が直接聞ける  
 練習に慣れてからは本番を想定し4キロの重りをつけた。この対策は本番では活きた。

 (2)レポートと掲示板の読み込み
 岡山政経塾の過去のレポート、「24時間100Km歩行 掲示板」を読み込み多くの学びを得た。

 (3)コースの下見
 下見会に参加し、本番2日前に93キロ地点から97キロ地点を下見した。なお、追加で下見したルート間違いは肉体的にも精神的にも致命傷にもなることも考慮して上での対応。

 (4)体験者へのヒアリング
 機会を見つけて100キロ歩行体験者に体験談を聞いた。レポートに書かれていない話もあり勉強になった。

 (5)道具の準備
  (ア)準備をして効果があったもの
  ・5本指ソックス(吸水・即乾しやすいタイプ)
   →足の指同士が擦れて出血することを防ぐため。何回か履き替えた。
  ・制汗剤
   →足裏に吹きかけ乾燥させることが目的。
    ※「5本指ソックス+制汗剤」のおかげで100キロ歩行中に足裏にマメが一切できず。
  ・ワセリン
   →肌が擦れる部分に塗り、痛みが出るのを防ぐため。
  ・塩分チャージのお菓子
   →クエン酸も多少含んでおり塩分とクエン酸はこのお菓子で補給。
  ・帽子
   →熱射病を防ぐためにも必要。
  ・タオル
   →首回りの日差し避け。水で濡らして首に巻けば気持ちいい。
  ・カッパ(上着部分)
   →登山でも使えるタイプを防寒着がわりに準備。
     今回は風が強く体感温度が低かったためこのカッパがないと完歩できなかった。
  ・オニギリ
   →コンビニに立ち寄れない場合を想定して多めに準備。
    多少重くなったが、食べたい時に食べられた。
    いざとなればオニギリを食べればよいという安心感にもつながる。
  ・携帯音楽プレーヤー
   →当初の目的は「孤独に負けそうな時の助け」だったが、実際は「ペースメーカ−」として活用
  ・2倍希釈のスポーツドリンク
   →スポーツドリンクの粉末を通常の2倍の水で溶かしたものを準備。
  ・LEDライト
   →参加条件にあり必須。
    準備したものは長時間連続点灯し、電池交換不要で大助かり。
  ・ベストタイプの夜行タスキ
   →参加条件にあり必須。
    安全を考えるとベストタイプがいい。

  (イ)準備をして失敗したと思ったもの
  ・必須アミノ酸+クエン酸を補給するための粉末
   →味が濃すぎて体が受け付けなかった。
  ・スポーツドリンクをつくるための粉末
   →使用が面倒で使用せず。 
 


3、本番前日

  予定では、体験レポートを読み返し、道具の準備を万全にし、早めの就寝だった。
 しかし、勤務中に体調に違和感を感じ早退。帰宅後38度以上の熱があることが判明。
 幸い食欲はあったので、グリコーゲンローディングの考え方にそった食事をし、準備もそこそこに就寝。結果として前日に体を休めることに集中したのが結果として吉。



4、本番

 (1)当日の道のり
 (ア)スタート前
   朝は7時までにはオニギリ+バナナ+グレープフルーツジュースを食す。

 (イ)スタート〜沖田神社(10km)
   スピード競争にならないことを意識。最初の難関の東山峠もスピードを抑えて対応したため足の痛みも出ず順調なスタート。途中から11期の仲間との二人旅になる。

 (ウ)〜門前交差点(19km)
   強い日差しもなく快適な環境。引続き11期の仲間と共に歩く。足の痛みもなく、足に感謝の言葉をかけながら歩く。CP(チェックポイント)のイチゴの差し入れには感謝。
  
 (エ)〜飯井交差点(31km)
   予定よりも早く足に痛みが出る。不安も出たが「痛くなって当たり前」と考え進む。
   足裏の不安も感じたので途中で小休止をとり、制汗剤+5本指靴下交換で足裏リフレッシュ。ちなみに、一部の時間を除き仲間と一緒だったので精神的には楽。
   チェックポイント前の水+おしぼりのサービスでは生き返った。

 (オ)〜備前体育館(40km)
   事前に想定していた第2の難関。足の痛みは続く。この先も付き合うものとあきらめるが痛いものは痛い。歩行中は11期の仲間2人と共に歩いたので精神的には楽。
同じ志を持つ仲間のありがたさを感じる。CPの備前体育館が見えてからの距離が長いが歩くしかない。備前体育館に到着し休憩を始めた途端「やめたい」と思う。
周りをみれば同じように辛そうな人ばかり。「自分だけが辛いわけじゃない」と自分を鼓舞して出発。

 (カ)〜伊里漁協(49km)
   日没。風も強く、肌寒さも感じる。足の痛みは続く。休憩をにより足が硬直し、歩きにくくなることを心底実感。
   この区間も仲間と同行。伊里漁協の焚き出しでは温かい食事と気持ちを思い切りいただく。ゆで卵に記載されたメッセージにも感動。
   伊里漁協出発の際に夜装備(ライト+防寒としてのカッパ)を整える。

 (キ)〜閑谷学校緑地公園(58km)
   最後の難関として認識していた山登りだが仲間がいるから不安はない。
   あまり言葉は交わさないが「仲間がいる」という安心感は何事にも変えがたい。
   サポーターの皆様が寒さの中サポートされている。感謝の気持ちで一杯になる。
   CPに着いたときは正直あっけなさを感じた。足裏のマメもなく膝の痛みもない。

 (ク)〜リバーサイド(68km)
   閑谷学校を下った最初のコンビニでリタイヤ者を目撃。目の前でリタイヤを申告するチャレンジャーに衝撃を受ける。
   気持ちを切り換え仲間とスタートするが、途中から一人旅が始まる。一人旅が始まって最初にしたのが、ゴール時のイメージトレーニング。ゴール時の幸福感のために今をがんばる、そういった意思が働いていた。
   風が強く体感温度は相当低い。中途半端な防寒着では体力が持たないと感じる。
   ちなみに、途中の誘導ポイントで誘導担当者からの激励の言葉をいただき気持ちを立て直す。
   リバーサイドの休憩所では少し長めの休憩。リタイヤ者用のバスを目撃し再び心がゆらぐ。

 (ケ)〜JA岡山東低温倉庫(79km)
   苦痛からの開放には完歩しかない、そう言い聞かせて出発。
   足の痛みは相変わらずだが、それ以上に足の裏が気になる。念を入れて足裏の手入れをする。制汗剤が大活躍。
   途中でのエネルギー切れが怖く、空腹感を感じる前にオニギリ1つを食べる。
   この先空腹感に関係なく10キロ毎にオニギリ1つと塩分チャージのお菓子数個を食べることに。後から振り返るとこれが最後までエネルギー切れを起こさなかった要因の1つだった。

 (コ)〜大原橋を超えた歩道(90km)
   ペースは落ちてきたが、自分以上にペースが落ちているチャレンジャーが多い。
   風も強く体感温度も低い。途中で足裏を負傷し、足を引きずりながら歩いている   11期の仲間と出会う。大原橋は腹が立つほど長く感じた。橋の上は風も強く、落ちれば川。ここで落下すれば楽になるかも?と考える。気がつけば夜明け。

 (サ)〜後楽園(ゴール)
   ここまできたらゴールまで足裏にマメをつくらないぞと思い念入りに制汗剤をつける。誘導ポイントで都度激励の言葉をいただく。皆さん24時間戦われていることをあらためて実感。感謝感謝。クレドの誘導ポイントでチャレンジャーとして参加された佐藤さんが誘導されている。単純に脱帽。
中銀本店の交差点で防寒着のカッパを脱ぐ。そしてゴール。あるのは嬉しさと感謝。
   その後は先にゴールしたメンバーとゴールするメンバーを迎える。幸せのシーンを見ると自分も幸せになる。皆さん本当におめでとうございます。
   9時35分。岡山政経塾11期生13人目14人目が揃ってゴール。下馬評を覆し岡山政経塾11期生全員完歩。自分自身のゴールも嬉しいが、全員で掴んだ結果だけにもっと嬉しい。

 (2)道中で感じたこと
 (ア)仲間の大切さ
   今回常に頭の片隅にあったのは「仲間」のこと。仲間と誓った「全員完歩」のために、ふがいない自分ではいけないという気持ちが自分を支えた。こうした仲間を持てたことは自分の大きな財産でもあり、仲間の信頼を裏切ることは大きな罪である、と感じた。
   
 (イ)サポートの皆様の支え
   当たり前だが、人は支えられて生きている。100キロ歩行も様々方の有形無形のサポートがあって成り立っている。歩くのは自分だが、その歩行を支えてくださっている方がいることをあらためて認識した。人は支えられて生きている、という言葉を心底実感した100キロでした。 

 (ウ)苦しくても一歩ずつ進むこと
   苦しくても一歩ずつ前に進むことで確実にゴールは近づくことを学びました。
   自己啓発本で散々目にしてきた言葉ですが、実際に100キロ歩行を体験する前と後では言葉のすごさが全く違って感じました。小さな一歩、苦しい一歩だが、それを積み重ねれば必ずできる、逃げた瞬間に成功の道は断たれる、そのことを痛感しました。
 

5、本番翌日

 本番後に飲んだアミノ酸飲料とお風呂、そしてしっかりとった睡眠のおかげで筋肉痛はほとんどありません。本番中に感じた右足付け根の関節痛が残ったぐらい。個人差にもよるが、アミノ酸飲料は必須と思います。その効果もあり、後楽園のこどもの日のイベントに参加。


6、最後に
 
 晴れの国おかやま24時間100Km歩行の企画・運営に携わった全ての方、そして、家族に大変感謝しています。本当にありがとうございました。