2008年 直島特別例会
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◆今井 裕之(岡山政経塾 六期生)
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犬島、直島、豊島合宿レポート
犬島・直島・豊島特別例会レポート
1. はじめに
「在るものを壊して新しいものを作る東京より、在るものを活かして無いものを作る地方がいい」この言葉を聞いて、全身に鳥肌が立ちました。2年前に、東京から岡山に引っ越し、会社も東京の品川から岡山に移転登記しました。10年以上東京の生活に慣れ親しんだ自分には、正直、岡山の生活に戸惑っていました。そんなときに、岡山政経塾との出会いがあり、1年間学ばせていただいたことは、大変重要な意味がありました。今回の2日間の直島合宿に参加させていただき、福武幹事のお話をお聞きし、自分の人生に希望の光が、差し込みました。あらためて参加させていただいたことに心より感謝申し上げます。
2. 犬島アートプロジェクト
岡山市に属し、瀬戸内海国立公園内に位置し、平均年齢75歳、人口64人の島、犬島。
近代化産業遺産に認定された犬島精錬所の跡地を生かした施設では、ひとつの自然光を鏡の反射だけでできたたくさんの光の道を歩き、自然エネルギーである太陽、地熱、気候、素材(石、煉瓦、鉄)、島の地形と遺産の煙突を利用して、夏は、空気を冷却し、冬は暖め、空気の温度を調整して快適に保つ技術を体感してとても驚きました。今後は、自然のエネルギーを活用した「循環型システム」が普及していく可能性を知り、とても嬉しい気持ちになりました。
また、犬島の石が、岡山城、岡山後楽園、大阪城、浅間神社の鳥居、鶴岡八幡宮の大鳥居などなどたくさんの石垣や建築に使われていることを知り、実際に石切り現場を見て、とても、感動しました。
犬島での福武幹事のお話の中で、「日本は、日本を再生するために、歴史的にどこまでもどればいいか?」という問いのひとつの答えに、「三島由紀夫の檄文」のメッセージをもってきたというお話がありました。日本人として、「自衛隊」や「天皇」について深く考えるきっかけをアートとして残されている演出には、愛国心と思慮深さを感じました。
3. 瀬戸内アートの楽園「直島」
同じものを見て、同じことを聞いて、同じことを体験する場合、私は、「それは、もう知っている!」と認識し、人の話を先入観持って聞いてしまうことがあります。今回の2度目の直島合宿もそうなのだろうか。
ここに、自分の愚かさと未熟さがありました。
それを気づかせてくれたのが、直島のコンセプトのすごさだったと改めて学びました。同じ作品を見て、作品の説明を聞いて、作品を感じる時間と空間を体験しましたが、受け取るものが去年とは、全く違いました。いろいろなことをよく考え、思考する自分がいました。同じものを見ても、自分の成長や理解力が深まれば、受け取るものが違いました。
アートが主体ではなく、あくまで主役は人間で、アートが主張するのではなく、アートが自然や歴史の持っているよさを引き出し、それが人間を動かす。直島のアートには、そんなコンセプトとメッセージがこめられていました。
直島のアートは、「もっと主体的に生きよ!」「もっと、自立しろ!」「もっと自分で考えろ!」「あなたが人生の主人公!」と伝えてくれていました。一度きりの人生なのに、もっと自分で考えて、はっきりと自分の意見を伝える習慣が、自分にかけていたのだと気づかせていただきました。会社の内外で、調整役に回り、みんなの意見を調整することが多いのですが、これからは、自分がもっと主体性を持って、みんなの意見も聞きながらも自分のメッセージをみんなに伝えることも大切なことだと学びました。
直島は、自分が素直に求めた分だけ、メッセージを与えてくれるありがたい島です。
来年もまた来たいです。
4. 発想の転換をする「講演」 福武幹事、村田教授
福武幹事の講演の中で、たくさんのメッセージが、心に残り、自分の人生に取り入れさせていただきました。夢(志)を実現するには、まず現状を知り(情報収集し)、見極め(分析し)、全体を見渡して、考えに考え抜いて、自分が何をしたらいいのか「自分の役割」を知ることが大切である。これを自分の人生、自分の会社に置き換え、原点に立ち返り、
自分の役割を見直す機会になりました。下記が発想の転換のきっかっけになったメッセージです。
「人生とは、自分自身のメッセージを作品化することである!」
「在るものを壊して、新しいものを作るより、在るものを活かして無いものを作る!」
「文化は、地方にある!」
「東京にない価値観、田舎にいて世界の人が注目する存在価値をつくる!」
「宗教を超えるファンの多い会社を作る!」
「価値ある読書法は、座右の書を探す!」
「日本人のDNAを持って世界で活躍する!」
「自分でやりたい勉強を必死にやる!」
「子供たちのために何をするべきか考える!」
村田先生の講演では、アメリカの大統領選における、人種的、文化的、社会的背景、話術の視点からからみた非常にわかりやすい分析と解説を伺いました。物事や情報を見る時には、どのような視点で、また、スケジュール(時間的要因)や利害関係(人間関係要因)を分析して、情報の本質を読み抜く大切さを教わりました。
5. 豊島産廃問題から「経営の本質」を学ぶ
石井さんのお話から伝わってきたものは、人や環境を無視して、不正な経済優先経営を行ってきた松浦氏への怒り、国民の声を親身に聞かずに、無責任な対応しかしてくれなかた行政への憤り、被害者の住民を代表して貫く正義感でした。これは、まさに日本人が忘れかけていた侍魂だと思いました。豊島の全住民が何年にも渡り、調査やデモや行動をしてきた背景にどれだけの悔しい想いがあったか想像できません。歴史は、変えることはできませんが、未来に活かすことはできます。この歴史を無駄にすることなく、自分の意識変革や会社の未来のために、学びたいと思います。
基本的に、経営者の考え方で、会社の未来が決まります。目先の利益や収益のみに心を奪われ、理念、ビジョン、社会貢献、メッセージを持たない事業がどうなるか、徹底的に学ばせていただきました。人間の健康、人間関係、自然環境、未来のこどもへの影響などなど、今、私たちの行っている事業が、どのような方向性に進んでいるのか、経済優先型社会ではなく、環境循環型社会の実現であることを今一度、見直したい。
また、行政における責任を取るシステムが不明確な点も問題に挙げられますが、行政に限らず、組織の中の責任者と責任範囲について、本当にその組織が目的を達成するためにガバナンスの必要性を強く感じます。
6. 最後に
松下政経塾の宮川さん、宇都さんには、仁戸田さんとは、短い時間でしたが、貴重な
お話とアドバイスをいただきました。ありがとうございました。
最後になりましたが、2日間、素晴らしい合宿の機会を与えてくださいました福武幹事をはじめとする、岡山政経塾の幹事の皆様、小山事務局長、実際に準備や運営していただいた例会担当の藤井(勲)さん、藤井(貴)さん、端山さん、ご一緒させていただきました岡山政経塾の皆さん、本当にありがとうございました。
この2日間の経験と学びを今後の活動に活かしていきたいと思います。
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