2019年5月 丸亀町商店街視察 2019年
「呼吸」をしている丸亀町商店街
2019.05.25
香川 一美
(岡山政経塾 18期生)
2006年(平成18)に改正中心市街地活性化法が施行され、内閣総理大臣が中心市街地活性化基本計画を認定する制度が発足。
しかし、中心市街地活性化基本計画に盛り込んだ居住人口や通行量などの目標を達成した自治体は約3割にとどまっており、中心部への集約やにぎわい創出が計画通りには進んでいないのが実態です。その中で「商店街の再開発成功事例」として名を挙げ、リアル教科書のようにもなっている「高松丸亀町商店街」。私たちと同じように、わが街の賑わいを願い活性化を考え、この地を訪れた人はとても多いことでしょう。
「地域」に視点を置き「地域から日本を変える」という理念のもと自修する私たち塾生は、この度、高松丸亀町商店街振興組合 古川理事長の話をお聞きできる機会を得ました。斬新かつ興味深い話に、私たち塾生はぐいぐい惹きつけられ、質疑応答の時間は「聞きたい!待ってました!」とばかりに途切れることなく意見交換が行われました。包み隠すことなくわかりやすく回答してくださる古川理事長に感謝申し上げます。私たちの現地視察時の目線は、視察(見極める)ではなく見学(学ぶ)という謙虚な姿勢で知見を広める努力をすることだと思います。
まず、聞き学んだ商店街再開発のノウハウをレポートにまとめたいところですが、私は今しか感じることができないこと、心に残っていることをここに書き留めることを重んじたいと思います。この講義での思考のまとめは、成功の秘訣は、住民ひとりひとりが郷土を愛し自分事として真剣に考え、損得を正しく理解し受け入れる。先導者は詰将棋のようにじっくりと腰を据えて、幾年月をかけての綿密な調査・計画・話し合い。この熱意と根気の賜物だと思いました。ここでの会話や実際に現地で見た街を各自がどう捉え分析し研究課題に結び付けてゆくのか、これから真剣に考えてゆかなければなりません。
次に、私の街歩きの感想ですが、表題のとおり「呼吸」をしている街だと感じました。近代的な建物とそこに住まう多くの高齢者の姿は、一見不釣り合いにも見える光景ですが、違和感がありません。子育て世代や青春真っただ中の若者たちも混在していて活気と笑顔のある場です。動作の間、空間の間、時の間、人の間、全て自然な調和がとれています。人の間?定義の学習で出てきた「人間とは」をふと思い出しました。さらにその輪は広がり、そこに住まう人と観光客との区別がつかないぐらいひとつの街になっていました。
「おい、知っとったか?こんな店がここにあったか?」「わしも知らんな、今度行ってみるか!」高齢男性の自転車ツーリング中のこんな会話を耳にしました。ここに住んでいてもまだ新しい発見があるのですね。日々生きている、成長している、今を一生懸命に輝こうとしている人と街の姿がありました。江戸時代から400年以上の歴史を受け継ぎ次世代に託す、向こう100年を見据えた取り組みは現世代の方々の思いが伝わってくる温かく力強い商店街でした。活性化の定義は「活かす」=「生かす」ように仕向けることではないでしょうか。
最後に、そういえば店頭で求人広告の張り紙をほとんど見ていません。求人をしなくても集まり、働き、住みたい街。ここにも何かヒントがありそうです。