2018年 直島特別例会レポート(直島・豊島)
現代アートの持つ力
2018.08.04
西井 隆之
(岡山政経塾 17期生)
1.はじめに
世界が注目するアートの島「直島」。芸術に無関心な人でも岡山の人であれば知らない人はいないだろう。実際、私自身も直島の話はよく耳にしていた。
三年に一度の瀬戸内国際芸術祭も有名だ。地元の最寄駅である茶屋町駅は芸術祭の期間、宇野港への乗り換えのためものすごい数の外国人であふれかえる。正直アートには全く興味が無く芸術というものが苦手だったので、直島に何の魅力があるのかさっぱり理解できなかった。しかし、岡山政経塾に入塾して今回直島の現代アートを体感することができた。
2.地中美術館
「自然と人間を考える場所」として建物の大半が地下にあるという美術館だ。驚いたのは、地下にありながら時間の流れを感じられる設計だったことだ。地下=暗闇というイメージとは違い、自然光の入り方で一日、一年の表情が異なるという美術館であった。
3.ベネッセミュージアム
安藤忠雄氏の設計による美術館である。
「自然・建築・アートの共生」がコンセプトになっており、共有スペースも含め、空間全体がアートになっているように思えた。とても印象深かったのが、杉本博司氏の「タイム・エクスポーズド」だった。夕日が沈んでいくエリアだけを選んで壁をくり抜いたようなテラスに14枚のモノクロの水平線の写真が等間隔に展示されていた。くり抜かれた空間には本物の水平線が繋がって見える。「普遍」というテーマ。これにはとても感動した。
4.豊島美術館
水滴をモチーフにした建築物で、外気や太陽光が建物内部にまで入ってくる構造はとても珍しいと思った。下からはどこからか水が湧いてきて集合しまた分散していく。見る人によって感じ方は様々で、その空間と光景を自分になぞらえてみたり、人や歴史になぞらえてみたりと解釈はその人自身にあるのだと感じた。見上げて見える自然の景色と自然の音がさらに感動を与えるのだと感心した。
5.おわりに
福武塾長の講演で幸せとは何かを改めて考えることができた。そして夜のバーベキューでも直島への思いなど聞く事が出来た。翌日の福武塾長のクルーザーで瀬戸内の島々への思いも感じることができ、とても貴重な体験をさせていただいた。
現代アートとは、その物から何を考え感じるかが重要で、今回それを直に聞きながら体験できたことに感動した。合宿から戻り色々な人に感動を伝えようとしたが、なかなか理解してもらえなかった。自分がそうであったように実際に「見て・触れて・感じる」ことがとても重要なのだと思った。