活動内容
ACTIVITY2018.08.04
高田 真也
(岡山政経塾 16期生)
入室と同時に、アーチ型の入口の先に見える大作。今年もここにやってきた。白い漆喰の壁から浮き立つ作品。淡い緑やピンクに彩られている。足元には、一面に敷き詰められた、角の取れたサイコロ状の大理石。そこに立っただけで足を伝ってエネルギーがこみ上げてくる。絵画5点「睡蓮」を見渡せる空間に入ると、自然光に照らされた絵画が自分自身を包み込む。作品のある部屋は丸みを帯びており、四つ角には角がない。180度自身を回転させ見渡しても、睡蓮が連続しているように見える。白と絵画のコントラストにたたずむ自分は、まるで雲の中にいるように絵画を見つめている。
去年この場所で、じっとたたずみ作品を見つめていた、欧州の少年を想い出す。全く動かず見つめる少年に見入り、何を感じ、何を考えているのかと思いを巡らせたものだ。今は自分が思いを巡らせている。私は入口にたたずみ、空間の真ん中にたたずみ、ずっと見つめた。あの時少年が感じていたものを、今は私が感じている。
一通り作品を見終わった私は、ラウンジにてレモン紅茶を注文し、瀬戸内海を見渡しながら、一息ついた。もう一度、モネの「睡蓮」が見たい。思いつた私は、再度モネを見に行った。
(直島芸術作品めぐり)
感性を磨く上で訪れたい美術館。ここで感じる感覚はどう変わっているのか。昨年は主に、視覚で美術館を味わっていた。空までつきぬけた楕円の天井、ぶらさがる糸、グレーの壁、一か所に集まる水。その動きを見て去年は人の心を考えた。水は低い方低い方へと集まる。人間の心と同じだと。今回は、味覚以外の感覚(五感)が敏感だった。
大変暑い屋外から美術館に入場する。ひんやりする。靴下を脱ぎ、歩いた。大の字になって寝転んだ。目をつむった私は寝ている訳ではない。左半身、右半身を種類の違う風が通り過ぎる。一方は冷たく、一方は生暖かい。子供の鳴き声が、遠くの方で反響している。背中からはひんやりしたコンクリートの感覚。目をつむっているからこそ、感覚が研ぎ澄まされる。感じる部位や、感覚が去年と違う。空間に包まれている感じ。体全身で豊島美術館を感じた。
ベネッセハウスパークに宿を取った。室内にはジェームズ・タレルの絵。扉を開けて眺める外の風景もまた、絵画の様だった。
白を基調にした室内と、木目。海と遠くに見える島々、青い空。落ち着いた音楽。体感的にちょうど良い温度の室内。申し分ない。早めにチェックインしたが、今日ずっとここにいてもいいと思うほどだった。
夜は欧州スタイルのバスタブに浸かり、外国製のシャンプー、ボディーソープを使用し香りを楽しむ。シャワーの水量が外国の思い出を甦らす。湯上りにはバスローブを着て、テラスに出てみる。ベッドに横になれば、その感覚はまさに極上。寝る前の、一杯のドリンクが熟睡へと誘った。
5:30に起床し、朝のビーチを散歩。波の中を裸足で歩く。朝日の姿はまだない。だれもいないビーチ。砂の感覚が脳内を刺激する。散策の間に山肌よりご来光を拝む。太陽に向かって深呼吸し、道すがら草間彌生「南瓜」を写真に収めた。
海を見ながらのブッフェ。窓から見える、テラス、松、凪の海、青い空が朝食を引き立たせる。全て美味しい。中でもヤギのヨーグルトは絶品だ。至福の時を存分に味わった。