活動内容

ACTIVITY

2016年12月 男木島・女木島・小豆島合宿

【見る、聞く、体感する。考える力を身につける。発想の転換をする】

2016.11.26

藤原 行照
(岡山政経塾 15期生)


私の人生46年間、自家用クルーザー。見たこともない、当然乗ったこともない。聞いたことだけはある。
あの時と同じ、初体験どのように対応したらいいか。不安はある、しかしワクワク感の方がはるかに大きい。
すると、遠くに見えてきた。クルーザーがどんどん近づいてくる、ものすごい迫力とエンジン音の中、岸壁に到着。今でも忘れられません。そして出発、自分のクルーザーではないが、瀬戸内海をなぜか制した気分になった。

男木島

島に着いたら、まず出迎えてくれのが、「男木島の魂」案内所だった。こんな案内所があるだろうか?   玉野は・・・・プレハブだ。
網目状の木の葉がふわっと建物に被さっているような美しい屋根が特徴で、何をかいているのだろう、近づいてみると様々な国の文字で構成されているのがわっかた。
 文字は、日本語、ヘブライ語、アラビア語、ラテン語、中国語、ドイツ語、ロシア語、ヒンディ語の8つの言葉。光がさして、地面に文字の影が映る様子はとても素敵でした。
「男木島」は芸術祭がスタートした2010年以降30人以上もの方が移住し、なんと休校になっていた小中学校が再開され、まさにアートの力で過疎の島が元気になったシンボル的な島です。
男木島図書館では、
1. 塾を作り、みんなが集まれる場所を作ろう。
2. 本を使って、コミュニケーションをとれる場所を作ろう。
3. 人の気配はあるが、しゃべらなくていい場所を作ろう。
この3点の思いで移住する前に決めている。3年前に子どもの「ここで、暮らしてもいいよ。」との一言で、地元である男木島に、福井さんご夫婦が古い空き家に命を吹き込み手作りで作りあげている。
やはり島を残したいという強い思い。これから高齢化社会へまっしぐらに進んで行き、消滅する島のことを机の上で考えるのではなく、行動を起こしている姿は、育ててもらった島のプライドと覚悟を感じました。

女木島

女木港に近づくと、防波堤にたくさんのカモメが出迎えてくれた。なんとおよそ300羽のカモメがいるそうです。本物のカモメと同様、風の流れによって一斉に向きを変える。つまり風の流れとカモメの群の習性を視覚的に感じることができ、島の特有の強い季節風ではあるが、それを逆手に利用した作品である。

西浦地区には、巨大なアート作品の「OKタワー」。

 作品の中には階段が螺旋状に設置されていて頂上まで行くことができ、階段の壁面には「あなたにとってのOKって何ですか?」という質問に対する答えが書かれた白いカードが貼られていた。
 ふと見つけたカードに、「今日は一番のしあわせです。」と書かれていました。この作品がこの島で生きる人の心を大きく動かしたことがわかりました。
改めてアートの力の大きさを感じ、OKタワー頂上からの眺め。鬼ヶ島征服したぞー。と言わんばかりの絶景でした。
西浦で暮らす方は日々自分の顔が描かれたこのタワーを眺め、またタワーからも自分たちの暮らしを眺望できる。
 アートと島の暮らしが共存していることを感じる作品でした。
 
瀬戸内国際芸術祭は、「アートの力で過疎の島を元気にすること」も目標の一つと考えるが、男木島は、自然減がありながら人口が減っていない。
さて、私の妻に島で生活をしようと問うとどう答えるだろう。たぶん「仕事は?」と聞くだろう。子どもが4人いる。贅沢しなくてもいいが、さて本当に生活できるのだろうか。
生活の質を高めるのか。お金を高めるのか。移住の人たちは、生活の質を高めている。
この男木島をどのようにして、続けていくのかを真剣に考えている。
その一方、女木島は、芸術祭が始まって毎回来場者が減少している、その背景には芸術祭のみに頼りきっているような感じがした。会話の中でも「もっと・・してほしい。」「もっと・・してくれればいいのに。」など、要望や陳情としか受け取ることができなかった。自分事と考えず、他人事のように、誰かがやってくれるという意識が高いように思えた。

作品を見ることで、明日への元気をもらっているご年配の方も多いと思います。島に人が来てくれることによって、自分の事を覚えていてくれる、気にしてくれている。そのような社会をも作っているのが、「瀬戸内国際芸術祭」である。