活動内容

ACTIVITY

2016年12月 男木島・女木島・小豆島合宿

合宿レポート

2016.11.26

櫻井 透
(岡山政経塾 15期生)

はじめに

 福武幹事のクルーザーに乗って瀬戸内の島々を周遊した。それはまるで銀河鉄道999の主人公が様々な惑星を旅し、そこに生きる生物、起こる出来事から色々な事を学んだように。わずか2日間であったが私も一つひとつの島から様々な生き方を学ぶことができた。

 瀬戸内の島々は一つひとつの国々だと置き換えることができる。島独自の文化が形成され、島ごとに全く異なる生き方が存在する。島一つひとつが生きており、そこには様々な人間模様が存在し、町おこしを積極的にする島、ただ島の未来を時の流れに浮かべている島。そんな事を体感した。
 私自身に映った瀬戸内の島をレポートにする。

目で見て、耳で聞いて瀬戸内の想いを感じる

 どれだけ瀬戸内に関する本を読んでも、この島への想いや、素晴らしさは感じることはできない。私は一昨年初めて直島を訪れて以来この瀬戸内の虜だ。

男木島福井さんご夫妻

 男木島の福井さんご夫婦は笑顔に溢れていた。ただ都会から逃れてきたのではない。この島を愛し、この島の人を愛し、自分の家族を身近な人を愛する。便利さではなく、子どもの将来、自分にとって『生きる』とは何かを考えさせられる時間であった。そこには経済的豊かさでは手に入れられない人として心豊かに生きる尊厳が存在していた。
 質疑応答の中で「いつか子供が島を出たらどうしますか?」と聞くと、「まずは次世代にバトンを渡すことが大事。そして子供達も外に出ることによってこの島の良さが分かるはず」
 都会にはなんでもあるが、なんにもない。男木島にはそれがある。文化なのかコミュニティーなのか、もしくはそれ以外のなにかなのか。言葉にはできない何かがある。福井さんご夫妻はそれを見つけている。島の宝を見つけた人の力強い発言だった。

福武幹事

 偉大な事業を成し遂げた人の言葉は重い。いったいどのくらいの挑戦を行い、困難と向き合い、どれだけの人を幸福にしてきたのだろうと思う時間だった。瀬戸内海にアートを置こうという発想、ヘリポートのついたクルーザー、世界基準の事業。そんな固定概念を取っ払った偉人からの話をきくほどに自らの小ささを感じた時間だった。同時にこういった人間になりたいという自分のビジョンを見つけることもできた。

小豆島

 塩田小豆島町長のお話を聞いてから当町長のブログを定期的に読んでいる。ブログの文章からは、小豆島の課題に真剣に向き合い、島を愛し、島の出来事一つひとつを大切にされているメッセージが伝わってくる。町長のブログの言葉を借りるなら『この島(小豆島)には、今私たちが失いつつあり、探し求めている何か、宝物がいっぱいある』。生まれ育った故郷を心から愛する気持ちだ。
 私は小さい頃から転勤族として育ったため故郷という故郷がない。しかし、帰りたくなる街がある。その街には必ず文化、人、景色が存在する。きっと都会にはそれがない。ただ便利さがあるだけだ。
 小豆島の町長の言葉は『もっと大切なものに気づけ』そんな言葉を投げかけてくれた気がした。

Iラブ湯

 旅の疲れを落とすべくIラブ湯に立ち寄った。
 アートを加えた銭湯にはあらゆるところに、過去の日本人の交流の場の面影をのこしている。文字通り『裸の付き合い』があった場所だ。
 出るときに番頭のおばあちゃんに「ありがとうございました」と声をかけた。
私の何気ない挨拶に対し、おばあちゃんは愛くるしい笑顔を浮かべてくれた。おばあちゃんの笑顔を見て、この瀬戸内の本当の姿を見つけることができた気がした。

アートは人を呼び、人をつなぐ。

おわりに

 帰りの船でゆっくりと考えた。瀬戸内海の小さな島を見て、日本という島はどこに向かうのか。ただ人口減少という流れに流されていくのか、歴史と文化が調和した美しい国へと変わっていくのか。きっとこの日本がどうなっていくのかは我々の行動にかかっているのだろう。瀬戸内の島々がそうでである様に。
自分もこの国を良くする一人の男になりたい。そのために今何ができるのかと考えた時間だった。
 最後になるが、今回の様な機会を作ってくださった事務局長に感謝すると共に、企画に関わってくださった福武幹事、西美様、多くの関係者にお礼をお申し上げたい。