2013年 100km Walk

 
◆斉藤 広一郎(一般参加・ゼッケン:219)

晴れの国 おかやま 24時間・100キロ歩行レポート             2013年6月6日
「24時間100キロウオークを終えて」



◯はじまり
「100q歩行あるんだけど、参加してみない?」
この誘いの言葉が元になり、私の挑戦は始まった。

ちょうどこの時、私はヘルニアをだましながら生活し、ここ数年、まともに運動すらもできていない状況だった。この誘いを受けてから100q歩行までの期間は1ヶ月を切っていた。
体は、「無理」と拒否反応。
が、反面、「久しぶりに挑戦しがいのある出来事が舞い込んできたな」と、心躍らせる思いが沸々と湧いてきて、体のことは二の次に置いて、心のままに参加を決めた。
久しぶりのワクワクがあった。

◯準備
参加を決め、ジムに通い練習を始めた。
トレーナーと共に、当日までに何をして、どの位になっていなければいけないのか、とシュミレーションを練った。

練習を始めてから2週間強はとても順調だった。
が、残り2週間、ラストスパートのところで、腰の状態が悪化。
最後の1週間、疲労をとるはずの期間が、痛みを緩和させるためのある意味、リハビリ期間と化した。
体の準備は勿論、心に不安を抱えたままで大会前日が過ぎた。

◯当日
いよいよ100q歩行当日。
多くの人の顔が満ちている中、腰の状態の不安から、自分の顔はおそらくすぐれず、スタート地点に立っていた。
その時には完走できるかどうか判らない、との気持ちが自分の心を占めていた。
が、それ以上に、この企画元の岡山政経塾が気仙沼支援を行っていたことが、私のモチベーションであり、その感謝の思いも込めて、「負けねえぞ、気仙沼」のTシャツを背負って歩き切る、との思いを再度強くした。

20qまでは問題なく、歩くことができていた。むしろ時速7qであっても良いのではないかと思う程に。

しかし、ハプニングはここからだった。
膝はしっかりとガードしている。腰もインナーで支えている。問題はなかった。
が、問題は別なところからやってきた。
膝裏だった。自分の頭の中には膝裏を痛めるという考えは一切なかった。

これが自分のペースを落とした最大の原因であり、24時間内で100q完歩が達成できなかった要因となった。結果は、90q地点でリタイヤとなった。

◯振り返り
体の痛みが原因と言えば勿論、その通り。
しかし、それ以上に「心」が原因だった。

パンフレットには、「心」、「身体」、「物」の準備があれば完歩ができる、と書いてあった。

「身体」、前述のとおり、準備ができていなかった。
「物」、お助けサポートがあったからこそ、準備ができていた。
「心」、残念ながら、一番の準備不足だった。

「この腰の状況だから歩けるところまで」→「もしかしたら100q歩けるんじゃないか」というところまで心は出来上がっていた。が、そこ止まりだった。
「“24時間以内”で100km歩ける」という自信までには至らなかった。
明らかに、心の準備不足。

友人より、80q地点で、あるメッセージをいただいた。
「朝日と共に目覚め、朝日と共に眠るのが戦士。なんどきもその強い意志と目的と肉体で、常に目覚めている存在。そんな戦士があなたと共にいる」

自分との戦いの中で、己に勝つのは自分のみ。極論だが、足が痛かろうが何があろうとも、生き死にの戦いの最中、敵の剣が自分に向いている状態で、相手に対して、「足が痛いので、申し訳ないけど振りかぶった剣をそのままの状態で待っていてくれませんか?」と言えるだろうか。
否。相手は迷わず剣を振り下ろしてくるだろう。つまり、その状態は死である。

この言葉に改めて、自分の足は限界を超えて奮い立った。
歩ける限り、歩く。そして、最後まで諦めず、歩き続ける。

このメッセージにもう少し早く出会っていたら、とも思うが、そこまでの覚悟を持っていなかった。やはり、心の準備不足。

今回を経て、ある目的の達成に向けて行動する際、このメッセージ、今回の経験が自分の一つの尺度になることが判った。

◯結果
当日95km。翌日残5kmを歩き、通算100kmを歩いた。

◯感謝
今回、自分が諦めざるを得ないことに出会った。無理、という決断もした。
しかし、振り返ってみると、できたであろうことに対して、できなかったというのは大きな反省と共に、大きな学びを得た。
この気づきの場を与えて頂いた、企画元、岡山政経塾に感謝を申し上げたい。
また、多くの人のサポーター(特に井出さん)、ボランティアの皆さん、一緒にスタートした仲間達、そして、自身の思いに葛藤しながら最後まで一身に付き添ってくれた酒井さん、改めて感謝を申し上げたい。

また、来年、参加して24時間以内での100kmを完歩したいと考えております。

この場を借りて改めて、ありがとうございました。