2013年11月 岡山政経塾 体験入隊 特別例会
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◆妹尾 英史(岡山政経塾 十二期生) 2013/11/21
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『自衛隊員の笑顔に思うこと』
「体験」ということもあり、本物の隊員生活はこんな生易しいものではないだろうなと思いつつ、それでもテンポよく付いていけなかった自分は、きっと隊員には向いていない。自衛隊は、日常生活で当たり前な風景ですら訓練とされる場所だった。
例えば、食事と風呂は合わせて10分。自分の時間をつくるためには、迅速に行動し続けなければならず、どこかの時間を削らなければならない。演習時には、敵襲の合図とともに封を切ったばかりの食事を食べずに捨ててしまうこともあるという。
隊員の平均寿命が短いと知った時、彼らはいざという時のために「命を懸ける」のではなく、常に「命を懸けている」のだと思い至り、何故だか泣きそうになった。勿論、自衛隊に入ることは個人の自由なのだから、泣きそうになったのは可哀相だとかそういった感情からではない。自分の生活が、どんな人の土台の上に成り立っているのかを直視したからに違いない。
「外部の人たちと大いに酒を飲んで語り合うことが出来て嬉しい。こんなことは滅多にない」
懇親会の席で、隊員の方が心底の笑顔で発したこの言葉が印象的だった。
懇親会の後も、塾生のためにと貴重な自分の時間を使って、就寝時間ぎりぎりまであれこれお話に付き合って下さったり、些細な質問にも真剣に応えて頂いたりと、本当に良い方ばかりだった。個人的に聞きたかったパワーハラスメントに関する事柄も、割と改善が進んでいるとのこと。
離隊時、事務局長が仰っていた「日本は、戦争を放棄しても、戦争は、日本を放棄していない」という言葉が頭を巡っていた。今、共に楽しいひと時を過ごした隊員の方たちが、戦地に赴くことを想像すると、非常に胸が痛む。
国を守るという責任を、自衛隊にだけ負わせてはいけない。私たち一人一人が責任を持って考えなければならないことなのだと、強い実感を伴って思うことが出来るようになった。
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