2007年 直島特別例会

 
◆吉岡  照(岡山政経塾 六期生)
直島合宿レポート
   直島で体感し得たもの



 直島合宿では多くの芸術(アート)に触れ、瀬戸内海の自然と(文字通り)戯れ、講師の方々の話を拝聴し、仲間達と議論し、非常に刺激的な二日間となった。この二日間で自分が、学んだことの中で、特に印象的だったこと数点について、報告することでレポートとしたい。

 講師の方々の話を一日目の午後を通して拝聴させていただいた。その話の中で共通して、自分の中で特に印象的だったのは、「何かを成し遂げていくには、自身の強い思いと仲間(もしくは地域社会)との協働が不可欠だ」ということだ。そして、そのためには、福武講師の言う「現状認識」を十分に行った上で、の「思い・哲学」といったものが不可欠であるとのことだった。これらの話は直島や越後妻有を現代アートと地元の方々の力で再生させている福武講師や柴田講師の話だけでなく、豊島の産廃問題を30年近くの住民運動で解決に導いた石井講師の話、全てに共通しているものだと感じた。

 以上は全て講師陣がおっしゃっていたことであるが、自分が直島での講義や芸術作品に触れて改めて実感したのが、「発信力」の重要性というものだ。自分自身の思いを正確に他人に表現し、周りを巻き込んでいくためには、強い「発信力」(リーダーシップとも言い換えることが出来よう)も兼ね備えていないと、前に進むことは出来ない。今回の講師の方々に共通していたのが、自分自身の「思い」や「問題意識」を正確に表現し、周り(地域)に対して「発信」し、周りと協働して、結果として自らを取り巻く地域というものを良い方向へ前進させていった、ということだ。

 この発信力というものは、100km歩行を完走して以降、自分自身に著しく欠けているものと認識であったが、直島にて再度その重要性を痛感することとなり、今後もじっくりと考えていきたいテーマである。だが、その前に、「まだやることがあるだろう」と気づかされたのもこの合宿だった。

 何がともあれ、まずは、自分自身や地域、社会といった身近な所からの「現状認識」に始まり、そのことを通じて、自分自身の思いや哲学というものを築き上げていくことが、まずは不可欠だと学んだ。
 瀬戸内海の自然と直島のアートによって自らの感性を磨き、講師の話や仲間との議論においては、己の未熟さと無知について、改めて認識させられた二日間であった。