2008年 直島特別例会

 
◆吉冨  学(岡山政経塾 七期生)
犬島、直島、豊島合宿レポート
  メッセージを作品化する



直島合宿に参加した意味を問う
 合宿の最大の収穫は,直島を「作品化されたメッセージ」だと再定義できたことである.
 現代アートの島,直島.世間ではそのように認識されている.筆者もそう認識していた人間の1人である.しかし,直島が単なる現代アートの島だとしたら,それは岡山政経塾の年間プログラムに含まれるわけがないし,含まれるべきではない.岡山政経塾は観光サークルではない.
 
現代アートの島,直島を再定義する
  直島は,1人の人間のメッセージが具現化している場所,すなわち「作品化されたメッセージ」だと筆者は考える.
 福武氏の講演の中に,「人生とはメッセージを作品化すること」という言葉が出てきた.作品とは,直島のことではないだろうか.メッセージとは,東京でなくても発想次第で日本は世界に誇れるサービスを提供できる,ということではないだろうか.直島は福武氏のメッセージを作品化している壮大な実験場と再定義することはできないだろうか.
 そうだとすれば,現代アートは福武氏のメッセージを具現化するための手段であるといえる.モネの絵画や,島に散らばる現代アート全てが手段なのである.そう考えることで,直島が以前よりも魅力的に思えるようになった.
 そういった視点を持つことで,岡山政経塾のプログラムに直島合宿が含まれる意義が出てくる.岡山政経塾の理念である「地域から日本を良くしていく」取り組みの現場に行くことができるからである.
 年間10万人が訪れる島,直島.それは,1人の人間のメッセージが年間10万人に影響を与えていることを意味する.現在,そのメッセージは犬島へと空間を広げ,拡大し続けている.そのメッセージは島に住む人々,島を訪れる人々に影響を与えている.言葉が稚拙になってしまうが,なんと浪漫のあることであろうか.
 
今後にどう活かすか
 筆者には,「中央政府が崩壊しても生き残ることができる強い地方政府をつくる」というメッセージがある.現在は,それをどうやって作品化すればよいのか,その手段を模索している.それは政治家かもしれないし,民間企業かもしれない.広い視野を持ち,自分ができることを見極めたい.
 メッセージを持つことと,それを作品にすることの間には大きな隔たりがある.実現できるのかと不安になることもある.しかし,今回の合宿で実現している具体例を見せつけられてしまった.1人の人間のメッセージが目の前に実物となって存在している現場に出くわしてしまった.
 やればできるという暗黙のプレッシャーを岡山政経塾から頂戴した合宿であった.