2009年 直島特別例会
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◆井上 英明(岡山政経塾 八期生)
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ベネッセアートサイト直島合宿レポート
「犬島・直島・豊島合宿で感じた事 〜過去と現在と未来と〜」
表向き体力系の行事と言われている100Km歩行、自衛隊体験入隊も終わり、今回の犬島・直島・豊島合宿は、一度も行った事のない場所でもあり、非常に楽しみという遠足のような高揚感のみが先行していましたが、それぞれの島を巡るににつれ、真剣に考えさせられる場面に数多く出合い、「見る・聞く・体感する。考える力を身につける。発想の転換をする。」という今回のテーマの下、参加出来た事に感謝しています。
犬島
三分一博志さんの「建築を通して地球のディテールを考える事に興味がある。」との言葉や自然エネルギーを活用した建築の模型や写真パネル、アーティスト柳幸典さんとのコラボ作品、「精錬所」には、大変、感銘を受けました。自然エネレギーの活用をあれほどうまくされた建築物は、見た事も、聞いた事もなく、本当に素晴らしいと感じました。また、鏡を使った光のトリックにも非常に驚かされました。環境に配慮した住宅に興味を持っていた自分にとって、大変参考になりました。気候と温度差と鏡をうまく使えば、電力消費の非常に少ない住宅が出来るのでは、感じました。また、銅の精錬の副産物として生まれた鉄分50%、ガラス質50%のカラミ煉瓦の蓄熱効果も、大変有望な建築材と活用が出来るのではと感じました。今回のこの出会いをきっかけに、三分一さんの建築作品や環境配慮型の建築を真剣に勉強してみたいと思いました。
直島
正直、今まで現代アートに触れる機会がなく、全く初めての作品ばかりでしたが、地中美術館のウォルター・デ・マリアの「タイム/タイムレス/ノー・タイム」やジェームズ・タレルの「オープン・スカイ」「オープン・フィールド」「アフラム、ペール・ブルー」といった光を使った神秘的な作品には、非常に惹かれるものがありました。光の使い方、取り入れ方という点で、犬島の「精錬所」同様、自然のエネルギーの活用の参考になる作品であると感じ非常に興味を持ちました。
これをきっかけに、現代建築や現代アートの作品にも触れる機会を作っていき、感性や発想力を養っていきたいと思います。
豊島(産廃・環境問題、農業)
豊島の産廃問題は、今回の合宿の中で、一番強烈な印象を植え付けられた事だった。十数年前、中坊公平弁護士が弁護団団長として取り組まれていて、テレビや新聞にも良く取り上げられていた事もあり、記憶の片隅にはありました。しかし、現場の実情を自分の目で見て、知っている事と体感・経験する事の間には、非常に大きな開きがある事を改めて思い知らされました。
真剣に、丁寧に説明をして下さった石井元県議のお話の内容は、どれも本当に衝撃的でした。
長きにわたる豊島住民の方々の苦難と苦闘の歴史、遅々として進まない今も残る大量の産廃の処理、処理にかかる膨大な費用と時間、環境に及ぼす影響、過ちを犯し責任を取らない県行政の問題等々。
そして、環境の問題は、一度起こると自然界にも、人間社会にも、甚大な被害を与え、回復までに、膨大な時間と労力を必要とする事を改めて痛感させられました。
現代の大量生産、大量消費の社会のあり方を考え直さなければ、豊かな自然環境を守って行く事は、出来ないのはないのか?企業や個人のモラルを改めて、問うていく必要があるのではないか?そして、我々一人一人が、日々の生活の中で、何が出来るのか考えていく必要があるのではないかと感じました。
最後に
日々、時間に追われる生活の中から、飛び出し、自然と現代アートの織り成す、非日常の空間で数々の作品や建築物に触れられた事は、非常に貴重な体験をさせていただいたと思っています。現代アートに関しては、まだまだ、十分に理解するところまでに至っていませんが、感性を磨きに、そして作品を理解出来るまで、数度の訪問を行っていきたいと思いました。
それから、現代アートの作品、建築物を通じて、自然エネルギー(熱と光)を活用した未来の環境配慮型の建築のあり方のようなものが、見えて来たように感じました。
また、過去に起こった「豊島事件」という環境に著しく悪影響を及ぼす産廃(ゴミ)の問題を通じて、未来の社会と世界のゴミの問題を真剣に考えるきっかけを頂いたように感じました。
今回の合宿から学んだ事を生かし、これから未来へ向けての環境の問題に取り組む事と感性を磨く事を心掛けていきたいと思います。
最後に貴重なお話を聞かせて下さった福武幹事、小山事務局長、案内をして頂いた西美さん、藤井さん、石井元県議、例会担当の森田さん、吉田さん、渡辺さんには大変お世話になりました。貴重な体験が出来た事に心より感謝致します。本当にありがとうございました。
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