2009年 直島特別例会
|
|
◆油田 洋幸(岡山政経塾 八期生)
|
ベネッセアートサイト直島合宿レポート
直島例会に参加して感じたこと
1. はじめに
今回の例会の目的は「見る・聞く・体感する。考える力を身につける。発想の転換をする」です。確かにこの2日間は本当に「見る・聞く・体感する」ことができました。意味のわからない現代アートを見たり、講師の方のお話を聞いて感動したり、怒ったりと本当に膨大な量のメッセージを浴びました。そのため、例会終了時には脳みそがパンクしそうでした。正直なところ、「考える力を身につける。発想の転換をする」についてはおろそかになりました。これらについては今後の課題とし、このレポートでは、見る・聞く・体感したことをまとめました。
2. 犬島、直島
在るものを活かし、ないものを創る。今回の例会で最初に出会ったメッセージです。このメッセージが犬島のミュージアム、直島の家プロジェクトでは貫かれていました。
犬島:精錬所(在るもの) + 現代アート
直島:空き家(在るもの) + 現代アート
両方とも世界から人々が訪れるスポットとして完全に甦っていました。犬島の方から順に見学して行ったのですが、犬島の方は精錬所を利用しており、かなり大掛かりなプロジェクトでした。スケールの大きさに驚き、これが「在るものを活かし、ないものを創る」ということか、と感心していました。しかしこの時点ではまだまだ「在るものを活かし、ないもの創る」の真髄がわかっていませんでした。次に見学した直島の家プロジェクトで私は衝撃を受けました。直島では、過疎地ではお馴染みの空き家が現代アートの力によって甦っていました。確かに、武家屋敷や豪商の旧宅など100年以上昔の家がそのまま残っていれば観光スポットに成り得ます。しかし直島では高々20〜30年昔の(違ったらスミマセン)、しかも一般人が住んでいた何の変哲もない空き家が、世界から人々が訪れるスポットとして甦っていました。さらに点在する家々が集落全体をアートのように見せ、なんの手も加えられていない車庫や物置まで現代アートに見えてしまいました。空き家でこんなことができるのかと感心しきりでした。このとき、福武幹事のおっしゃる「在るもの」というのは、空き家から精錬所まで幅広いのだと気づき、「在るものを活かし、ないものを創る」の意味が少し深いレベルで理解できました。
3. 福武幹事のお話
福武幹事のお話では、成功するための公式を教えていただきました。配布されたレジュメをみても私に足りないものがたくさんあります。ビジョンはないし、生活スタイルも悪い、自身がこの世で生かされていると常に心から実感し感謝することもできていません。どれも難しいことばかりですが、1つ1つ達成していこうと思います。
また、会食中に福武幹事といろいろとお話する機会があったのですが、そのときに、日本人は混血した方がよい、というお話がでました。しかもその理由は、日本人はもうダメだから、という理由でした。「日本人はもうダメ」=「若者に期待していない」と受けとった私は思わず「まだ大丈夫です」と反論していました。福武幹事の口からそのような言葉がでてきたのは、私にとって、はっきりいってショックでしたし、負けてたまるかという気持ちになりました。そのような言葉がでてこないようにするためにも、学んだことをしっかり人生に活かすようにしようと1人決意した夜でした。
4. 豊島
豊島では石井元県議から、産廃問題について時系列に沿って詳しく解説をいただきました。お金のためならなんでもするという事業者、その事業者に許可を与えた当時の香川県知事、誤りを正さなかった行政、悪い点、ひどいと感じた点はたくさんありました。それはあのゴミの山を目前に解説を聴けばだれでもそう思うでしょう。ですが今回、私はそれ以上に島民の方々の運動のお話が一番印象に残っています。私の印象に残っているお話というのは、島民の運動が、ある時点で決定的に変わったという石井元県議のお話です。
石井氏によると、見切り発車で始めた県内100ヶ所座談会を境に島民の運動は、行政に要求する(許可を与えるな、等々)運動から、香川県民に理解を求める運動に変わったそうです。そしてこの変化が、島民1人1人が産廃問題を自分の言葉で語る、という変化をもたらしたそうです。島民1人1人が自分の言葉で語るようになる過程で、勉強会を開き、豊島がどうなったら解決なのか(目的)、そのために何をするのか(手段)を話し合った(定義付け)そうです。そして島民の声が100万の県民に届き、一気に問題は解決に向かう。
この話を聴いて私は、目的と定義と手段をはっきりさせることは大切だなと改めておもいました。目的と定義と手段。小山事務局長がよく口をすっぱくして語っている言葉です。まさか豊島でこの言葉を意識するとは思いませんでした。このとき、自分の人生のヴィジョン(目的)と、そうなるために何をするか(手段)をしっかり時間をかけて考えよう(定義付け)と思いました。
以上、私が今回の例会で、見る、聞く、体感したことです。あまりにもいろいろなことを感じたので全て消化しきれてないのですが、これからじっくり考えていきたいと思います。また、瀬戸内海の景色を眺めていると、今回の例会だけでなく政経塾で学んだことを人生に活かしていこうと強く思いましたし、それができると瀬戸内海の景色は思わせてくれました。1歩1歩確実に前に進もうと思います。
最後になりましたが、福武幹事や小山事務局長、西美さん、藤井さん、そして、犬島、直島、豊島の方々、例会担当の森田さん、吉田さん、渡辺さん。誠にありがとうございました。
|
  |
 |
|