2003年 直島特別例会
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◆村松 太(岡山政経塾 二期生)
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直島例会レポート
直島の南部に位置する<直島文化村>にて家プロジェクト・コンテンポラリーアート博物館を見学する。
家プロジェクトは、直島の古くからある家屋を利用して1軒に1名の現代アーティストが空間作りを表現している、動かすことの出来ない作品で現在4家展示されている。
第1弾は1998年宮島達男氏により角屋が作られた。忙しくランダムに光り配置された125個のデジタルカウンターが床いっぱいの水槽の中に入れて、その全てを古い家屋が覆う、相反する物どうしのコラボレイション作品。
第2弾は1999年に安藤忠雄氏に南寺が建築され、内部はジェームス・タレルにより表現されている。〔バックサイド・オブ・ザ・ムーン〕
10分ぐらいの暗黒の中で、ただ“ジーッ“としている、無の時間を過ごす(苦痛!)
目が慣れてくると光のスクリーンが正面に現れる。鮮明な光ではないので未来を漠然と眺めている自分がここに居る・・・・考えさせられる作品。
第3弾のきんざと第4弾の護王神社は時間が無くて見学できず。
コンテンポラリーアート博物館は80年代以降のポップ・ミアルアートが中心に展示されてあり、立体的に個々の作家が様々なテーマを表現している。
2F壁面には須田悦弘(作)“雑草“がある。一見控えめで謙虚な作品のように感じられるが、見る側に対する挑戦的な作品でもある。(気が付いてよかった)
1Fの柳幸典(作)“ザ・フォービドウン・ボックス“には、憲法9条に対する皮肉たっぷりの作品ではあるが、過去の日本を否定しているようにも思え考え深い。
このようなさまざまな44作品が展示されている博物館を安藤忠雄氏が建築している。建築とアートのコラボレイションがとても心地よく感じました。
安藤忠雄教授・福武總一郎会長・石井亨県議のお三方にご講義いただきました。
教育者であり芸術家の安藤忠雄教授のお話の中で「生産量ばかり追求している企業人はアートに対する接し方が分らず、心の余裕がない。その結果、退屈なものでしかない・・・・・」と過去の日本経済を動かしてきた人達に対する皮肉めいた言葉と個性という言葉の意味を履き違えている若者に対する苛立ちなど耳の痛いお話をいただき、年々そのようになっている自分がここに居ることに気付いて青ざめました。
今日まで人作りの怠りで出来上がった世の中で“自分にとっての責任とは?“ “生きることとは?“を見つめなおす時間になりました。
それと、今一度得たいの知れない“感性“という言葉の意味を考えさせられました。
<より良く生きる>この意味を分りやすく説明していただいた。福武總一郎会長の言葉には特別重みが感じられました。高度成長の時代からバブル崩壊後の今の混迷し、もがき苦しんでいる社会に対して、“経済は文化のしもべだ“と一言。さすがに返す言葉もなく、逆に感動を覚えました。
時代の変わり目には脇役が主役になれる今こそ福武總一郎会長が言われるユナイテッド・リージョンズ・オブ・ジャパンの意味する志があれば誰でも文化を持つことができ、その集合体が生み出す力こそが大事であると。
文化と相反する政治・経済とのバランス感覚が必要だと思いました。
石井亨香川県議会議員のお話を聞いて、今まで産業廃棄物処理問題はテレビの中での出来事でワイドショー的だと思っていましたが、いち悪徳業者の横行により莫大な自然破壊が起り、その時々の民を守るべき立場の行政と悪徳業者が恰もタッグを組んでいるかの様に問題を隠し臭い物には蓋をして発覚すれば責任のなすりあいをするそのような事があること自体信じられずショックでした。
“悪は悪“当たり前のことを誰がどのように知らしめるべきなのかを考えさせられ、また継続とは力なんだと改めて思いました。
その中で、マスメディアの力の大きさと反面怖さを感じ、今後どのように接していけば良いかを考えようと思います。
私にとってこの合宿で“理念“と言う言葉に対する思い・高さの位置づけを改めて考えさせられた良い機会となりました。
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