2003年 直島特別例会

 
◆武久 靖雄(岡山政経塾 二期生)

直島特別例会について



 直島では直島文化村の美術館と家プロジェクトを見学し、文化と芸術についてふれ、また豊島では産廃処理施設を見学し、ゴミ問題の現場を実際にこの目で確認することができました。消費経済社会では、企業によって提供される刺激や娯楽を消費することに忙しく、文化や芸術などまで考え楽しむゆとりがありません。また消費経済社会において産み出されたさまざまなゴミもどこかに運ばれどのように処理されているかを目にすることはありません。どちらも普段の生活の中では、見落としがちなテーマであり、有意義な例会に参加でき大変良かったと思います。


安藤忠雄教授の講演について
 安藤教授は何度も“感性”という言葉を使われました。地域との融和、社会的役割、環境に与える影響など様々な要素を鋭い感性により検討し、建物の設計をされていることが感じとれました。また鋭い感性により政治、経済、教育といった建築以外の幅広い分野にも視野をもたれていることが感じとれました。“感性”は様々なものに対し必要で、経済によって破壊された感性を文化や芸術により少しでも磨いていく必要性を強く感じました。


福武總一郎幹事の講演について
 福武幹事は、くいのない人生をテーマに御自身の人生哲学をふまえ、直島文化村と現代アートをもちいて講演いただきました。「自分が何をやりたいかが志であり、メッセージとは志を伝えるものである」という言葉に、自分の生き方に悩み疑問を持って生活している自分には“志”がないと痛感しました。


石井亨県議の講演について
 石井県議は、豊島問題について当初から島の住民として島のみなさんといっしょに活動をされて、今はその地域の代表者である県議として活躍されておられます。産廃問題について考えさせられたのは当然ですが、作られた代表ではなく本来地域の代表者としての選挙のあり方、またコミュニティのあり方など考えさせられることが多かったです。


 現代アートは自分で考える芸術だそうですが、作品について説明を受けるとなるほどと納得しますが、説明のなかった作品の前でしばらく考えていましたが、作者が何を語りかけているのか解らない自分が情けなくなりました。政治や経済について考える前に、人間とは何か、生きるとはどういうことか、自分自身には、もっと奥深い問題があるように感じました。