2007年 100km Walk
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◆河野 正夫(岡山政経塾 6期生)
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岡山政経塾100km歩行レポート
「100キロ歩行レポート」
6万8千400秒の感動が人生を変えた。これが、今回の100キロ歩行の意義だった。6万8千400秒とは、19時間、5月3日午前10時から翌4日午前5時まで歩いた時間だ。この19時間がこれまでの私の生き方を大きく揺さぶり、これからの人生を歩む上での指針を与えてくれた。
残念ながら、私は完歩することができなかった。あと5時間のところでリタイアしてしまった。腰を痛めてしまい、自分の体重を支えて歩くことができなくなったことが原因だった。自分の体重管理の愚かさが招いた結果であった。しかし、歩いた19時間で得た体の経験、心の体験はとてつもなく大きなものだった。
100キロを24時間で歩くとは、計算しぬかれた挑戦状だったと今では感じている。その挑戦状に応えて勝利するには、心が折れず、体も折れない準備が必要だった。私の場合、30キロ歩いた地点で心が折れそうになった。心が折れると必然的に体が折れてくる。早くもリタイアかと自分でも思っていたとき、ひとつのことが心に思い出された。私は、多くの人々に応援されている、たくさんの人々にサポートしてもらっている。私がゴールに到達することを信じている人がいる。その人々の期待は裏切りたくない。そんな想いが折れそうになった心を再び強くした。自分は一人で歩いているのではない、多くの仲間と一緒に歩いている。現実の道路上にも、そして私の心の中にも伴走してくれている仲間はたくさんいた。強くなった心で、午前5時まで歩くことができた。
19時間の間、私は終始楽しかった。完歩は叶わなかったが、19時間楽しく歩いた。この19時間で多くの仲間に心の中で再会した。歩きながら、教え子の一人が昨年、私に言ってくれた言葉を思い出した。「先生、音楽の楽という字は、考えさせられますよね。らく(楽)とも読めるし、たのしい(楽しい)とも読めます。楽ではないけど楽しい人生と、楽しくないけど楽な人生、先生はどちらを選びますか。」100キロ歩行はまさしく楽ではないけど楽しいものだった。今は、この教え子の質問に私ははっきりと答えることができる。もちろん、楽ではないけど楽しい人生を選ぶ。
6万8千400秒の楽ではない瞬間瞬間が私に人生の楽しさを実感させてくれた。人生は約25億秒の瞬間から成り立っている。そのうちの6万8千400秒が、私の人生のロードマップを切り開いてくれた。私を支えてくれた多くの人々に心から感謝しつつ、これからの楽ではないかもしれないが楽しさいっぱいの人生を一歩一歩歩んでいく決意を固めている。
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