2008年 100km Walk

 
◆高梨 直 (岡山政経塾 7期生)

岡山政経塾100km歩行レポート          2008.5.6
「ありがとう」



 24時間100キロ歩行、本当に多くの方に支えられ、無事に100キロ完歩することができました。途中、何度も、何度も挫けそうになる時がありましたが、そのたびにサポートの皆様に励まされ、前へと進むことができました。本当に、自分一人では成し得なかった100キロ歩行でした。サポートの皆様おひとりおひとりに心から感謝の気持ちをこめて「ありがとう」とお伝えしたいです。



 無謀な計画

 よくマラソンでは、30キロを過ぎてからが本当の勝負の始まりだと言われますが、100キロ歩行では70キロを過ぎてからが、本当の勝負でした。足はむくみ、指先には無数の肉刺ができ、暗く、歩道のない夜道をただひたすら前に向かって歩き続けることが、これほどまでに大変なことなのかと改めて思いました。私は、今回の100キロ歩行において、前半で出来るだけ距離を稼いでおこうという考えで、1時間に6キロのペースを保って歩くという計画を立てました。ただし、100キロ歩行が行われた5月3日岡山県の天候は快晴、最高気温31.4度、今年最初の真夏日を記録するという酷暑をまったく考慮しない計画でした。また、夜は夜で放射冷却がもたらす寒さとも対峙することになることを予想していませんでした。どうやら、スタート時に能天気だったのは私の頭の中だけだったようです。
 


 異変
 
 体が異変に気づいたのは、53キロ地点でした。閑谷学校を通るために、備前から吉永へと抜ける山越えを前に20分の休憩をとって再び歩き始めた瞬間でした。日が落ちて、暗闇が街を覆い、風が吹き始める中で、20分の休憩時間が足の筋肉を硬直させてしまったのです。足が前に出ない!そんな事実に同じ時間、同じ場所で休憩をとっていた同期の吉冨氏も愕然としている様子でした。とにかく、前を向いて歩こう。そう吉冨氏と誓って、2人で閑谷学校の山道を歩きました。あの時、自分1人で歩いていたらと思うとぞっとします。同期のありがたさを痛感した時でした。同期と2人、必死の思いで山越えを果たし、69キロ地点のリバーサイドにたどり着きました。ここでまた大きな失敗をしてしまいました。休憩をすると筋肉が固まってしばらく動けなくなってしまうということに気が付いていたにもかかわらず、疲れに勝てず、ふたたび20分の休憩をとってしまったことでした。20分後、ふたたび後楽園へ向けて歩き始めようとしたときには、足が前に出ず体だけが前に進もうとしてバランスを崩し、よろよろと崩れ落ちるようによろけてしまうという惨めな状況になっていました。これから30キロの道のりを考え、呆然としながら、これはもうダメかもしれんね、という言葉が頭の中を初めてよぎりました。



 悪魔のささやき

 もうダメかも知れん、そう思った69キロ地点、和気町リバーサイドから、本当の意味で私の100キロ歩行は始まったのです。岡山政経塾では、100キロ歩行の目的について、「限界を超え、未知の領域に挑戦し、勇気と精神力を養う。」としています。もうダメかも知れない、そう思ったこの瞬間から、自分と対峙する本当の意味での100キロ歩行が始まったといっても過言ではないと思います。頭の中では、悪魔が「もうここまで歩いてきたのだから十分だよ、よくやったよ」と囁きます。



 心の支え

 その甘い囁きを断ち切ったのは、サポート隊の皆様の熱い声援でした。「がんばれ!」、「いい調子で来ているよ!」、「ゴールまでもうちょっと!」、などの声掛けが、折れそうになった私の心をどれだけ支えてくださったことか。本当にサポート隊の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。また、前日までの仕事の疲れと、100キロ歩行道中の疲れのあまり、睡魔に襲われて眠っていたところを、しっかり歩けと起こしてくださった新田お姉さま、91キロ地点で道がわからないと泣き言を言うと、92キロ地点まで伴歩してくださった横田様、途中疲れた休憩したいと駄々をこねては椅子を貸してくださった上田様、何度も何度も車の中から励ましてくださった大原様、サポート隊長の源様、実行委員長の河野様、ほんとうにありがとうございました。閑谷学校の峠を越えたところで御馳走を用意してくださった逢沢先生の支援者の皆さま、79キロ地点でオレンジをくださった金関様、あの甘いオレンジ味は忘れません。そして、暗い夜道を一人で歩いているところに車を横付けしておしぼりをくださった西原幹事、私たち7期生を温かく見守ってくださった小山事務局長、岡山政経塾を支えてくださっているすべての皆様に、心からの感謝とお礼を申し上げます。私たち7期生全員が完歩という素晴らしい結果を出せたのも、素晴らしいサポートがあったからだと確信しています。私は、このような素晴らしい先輩方や仲間がいる岡山政経塾の一員であることを誇りに思います。紙幅の関係ですべての皆様にお礼をお伝えすることができませんが、皆様本当にありがとうございました。



 これから

 今回の100キロ歩行を通じて、自分の未熟さ甘さを認識すると共に、人に支えられて私は生きている、という認識を新たにしました。今回の100キロ歩行は、私にとって本当に多くの学び・経験をしました。岡山政経塾第7期生の仲間とこれからも切磋琢磨し、お互い学んでいくことができることを光栄に思います。今回の経験を糧に、今後の岡山政経塾での学び・活動に活かしていきたいと思います。この感謝の気持ちを生涯忘れることなく、生きていきます。本当にありがとうございました。