2010年 100km Walk
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◆賀門 俊裕(岡山政経塾 9期生)
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岡山政経塾100km歩行レポート
『100km歩行の決意から完歩まで』
0.100km歩行の決意
100km歩行の目的:限界を超え、未知の領域に挑戦し、勇気と精神力を養う
100kmを歩くことは、まったく未知の領域への挑戦であった。挑戦とは、100km歩行に参加するのではなく、100kmを完歩することであると決意した。勇気と精神力とは、24時間以内に100kmを完歩するという強い意志を持つこと,そのために必要な脚力をつけることであると受け止めた。
1.心身の事前準備
1-1.7km合同練習: 3月24日(水)
初めて合同練習に参加した。最初から、皆のスピードについていけなかった。ペースを上げると、両足の脛とふくらはぎに痛みを感じた。裁判所あたりから痛みが和らぎ、徐々にペースを上げていった。しかし、伴歩していただいたサポート隊長の池田さんからは、「もっとペースを上げるように…、自分は厳しく言いますから…」との檄が飛んだ。この日は自分が最後にゴール。9期生の皆と一緒に練習することは励みになり、合同練習の大切さを認識した。
1-2.自主練習開始: 4月の月曜日と木曜日
合同練習は週3日。自分の脚力からして週3日の練習だけでは不十分であると思った。正直言って不安でとても怖かった。脚力をつけるために、4月の月・木曜日はジムに通った。マシンで7kmを65分間かけて歩き、その後はマシンに+10°の傾斜をかけて1kmを5.5km/hで歩いた。マシンが終われば、器具を使っての筋力トレーニング。ジムでは2時間汗を流した。
1-3.合同練習最終日: 4月25日(日)*本番1週間前
この日は本番を想定して、上道駅を17時にスタートして後楽園までの約10kmを歩行。両足のふくらはぎの張りはあったが、痛みはなかった。マイペースで歩いて、1時間40分でゴール。マイペースでもペースは上がってきたとの実感を持てた。ただし、過信は禁物。完歩する意志はあるが、「当日は両足が痛みませんように…、無事に完歩できますように…」という不安は最後まであった。ご先祖様にお祈りするしかなかった。
2.100km歩行 スタートからゴールまで
2-0.スタート前
7期生の荻野さん,8期生の塩澤さんが笑顔で、送り出してくれた。7期生の西村さんから、「自分のペースで歩くこと。100km歩行はタイムを競うものではない。24時間以内に完歩するもの。入試と同じで1位も最下位も同じ」と優しく声をかけていただいた。9時50分から10時までのスタートを待つ10分間は、精神的に嫌だった。早くスタートしてほしいと思った。そして、いよいよスタートが切られた。
2-1.スタート〜備前体育館
備前体育館(40km)には、18時までには到着する目標を立てていた。17時50分に到着、ここまでは予定通り。日中は暑く、日差しも少々きつかったが、水分補給には心掛けた。備前体育館までに登り坂があったが、それほど苦には感じなかった。両足裏に少しの違和感があったため、ソックスを脱いで確認すると肉刺ができていた。両足の踵の上にできた肉刺は水膨れになっていた。「不覚にもやってしまった」と悔しさと不安な気持ちになり、8期生の吉田さんに診ていただき、その箇所にテープを貼って対処療法を施した。吉田さんからのGOサインで安心して再スタートできた。
2-2.備前体育館〜リバーサイド
リバーサイド(69km)には、1時までには到着する目標を立てていた。0時34分に到着、ここまでも予定通り。両足にはまだ痛みは感じなかったが、疲労感はあった。マイペースで歩行してきたが、明らかにペースは落ちていた。途中の伊里中ローソンでおにぎりと9期生の野田さんにいただいたゆで卵を食べた。こんなに美味しいゆで卵を食べたのは、生まれて初めてだった。エネルギー源となった。伊里中ローソンを出発して、閑谷学校に向かう。このときが一番寒かった。日中は暑く、夜は寒くなることは想像していたが、思っていた以上に寒さが堪えた。9期生のチャレンジャーTシャツを着ると自ずと勇気が湧いてきた。暗闇が多く、登り坂もあったが、無事に閑谷学校を通過できた。炊き出しに向かう途中で7期生の荻野さんが激励に来てくれて、しばらく併歩してくれた。そうしているうちに、炊き出しに到着。最初に感謝のお礼を言って、おにぎりと巻き寿司をいただいた。本当に美味しかった。夜の寒いときの熱いお茶は身体が温まった。両足の疲労感は増していったが、がんばろうという気持ちになれた。再スタートして、吉永駅を後に歩き続けた。思っていた以上に早く左側に平病院が見えたが、北川病院までの道のりは長く感じた。何とかリバーサイドに到着。西村さんから、「70km歩いてどこも痛くない人はいない。これからの30kmは気力!」と励ましてくれた。吉田さんには、両足裏の肉刺の状態をもう一度診ていただき、GOサインをもらって再スタートを切った。「残り30kmは9時間あれば大丈夫!」と自分に言い聞かせた。
2-3.リバーサイド〜後楽園
リバーサイド以降はゴールまで、気力を振り絞って歩いた。「どうか両足が痛みませんように…」とご先祖様に祈りながらゴールを目指した。山陽自動車道の高架下をしばらく歩くと、岡山市に入った。暗闇の竹藪は、孤独感が一層増した。しばらくすると、万富のサンクスに到着。両足には痛みを感じ、腰を下ろしてマッサージした。しかし、再出発すると一歩一歩踏み出すのが、とても辛く感じられた。休んでも座らなければ良かったと反省した。ペースは明らかにスローダウンしていることはわかっていた。何とかJA瀬戸支所に到着。東さん,長野さん,高田さんが先に到着していた。「疲れているのは自分だけではない。気持ちで萎えてはいけない」と自らを励ました。再スタート後、しばらく歩いていると小山事務局長から、「その歩き方なら大丈夫だな」と激励を受ける。「はい、がんばります!」と元気よく返答したが、両足は悲鳴を上げ始めていた。瀬戸警察署から平島までの直線も長く感じたが、とうとうマックの看板が見えた。「平島だ。その先は上道駅だ」と自分を鼓舞した。もう明るくなりかけていた。何とかとれたて市場に到着。だんだんゴールが近づいてきた。しかし、新幹線の高架下に入ると東岡山駅から高島駅までは本当に長く感じた。歩けど,歩けどなかなか辿り着けない。苛立ちはピークに達した。足を止めて蹲っていると、8期生の井上さんが励ましてくれた。「こんなことをしている場合ではない。ゴールして芝生の上に大の字に横たわってやろう」と気持ちをリセットして再スタート。ついに高島駅を通過。残り4kmは楽しむつもりで歩いた。後楽園が近くなると、4期生の竹内さん,8期生の井上さんが出迎えてくれた。蓬莱橋の上では、8期生の森田さん,工藤さんが手を振ってくれた。嬉しかった。最後の階段はまともに上がることができず、四つん這いになって上がった。恥ずかしいなんていう気持ちは微塵もなかった。蓬莱橋では、西原幹事に温かく出迎えていただいた。そして、8時36分にゴール。ゴール後は9期生の皆と握手して、お互いの健闘を称え合った。お互いに疲れていたのか、多くの言葉は交わさなかったが、言いたいことはわかっていた。100kmはとても長く感じたが、その反対に時間が経つのはとても早く感じられた。両足の疲労感があったが、とても爽快な気持ちだった。
3.100km歩行から得た教訓)
(1)できない言い訳を並べて、現実から逃避することは簡単であっても、何も得られるものはない。
(2)100kmを24時間以内に歩行するためには、当日までに歩行できる能力を身につけておくこと。
(3)それまでに、どんなことをどれだけ努力したか,実行したかで成果は決まる。
今後は下記@〜Bを忘れずに心掛けて取り組んでいきたいです。
@ 自分の弱点や欠点,足りないことを謙虚に受け入れる(見栄や過信は大きな障壁となる)。
A 成し遂げるという強い意志を持つこと。気持ちで怯んだら、絶対ダメ。
B そのために必要な知識を習得し、能力を身につける努力をすること。
4.最後に
100km歩行は9期生の同志やサポート隊の方々の励ましがあったから完歩できました。西原幹事,小山事務局長はじめ、多くの方々に温かく見守っていただき、ありがとうございました。この感謝の気持ちは自分が成長することで、お返ししたいと思います。
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