2010年 100km Walk

 
◆渡辺 健太(岡山政経塾 8期生)

岡山政経塾100km歩行レポート
「笑顔の連鎖」



◇はじめに

 チャレンジャーとして参加した昨年とは違い、1カ月後に迫る100キロ歩行当日を迎えるにあたり気持ちが盛り上がってこない。サポート副隊長の波夛さんから伴歩をしてもらう可能性が高いということは聞いていたので、徒歩通勤で練習を始めてみる程度が精一杯。なかなか具体的なイメージが湧いてこなかった。
 実際、伴歩開始地点となった備前体育館でも落ち着かず、緊張しているようなフワフワした状態だった。予測できないことに対して、いかに準備できるかが重要と分かりながらも大した準備ができないまま当日を迎えた。予測できない事態に対し、限られた情報をもとに予測し、仮説を立て全体像を設計する力は、今の私における一番の課題だと認識することができた。


◇「徳」“十四の心の行い”

 サポート隊として、私に与えられた1つ目の役割は、14.5キロ地点の金岡交差点での誘導であった。序盤のポイントということもあり、それまでにリタイアするチャレンジャーはおらず、全チャレンジャーが通過するまでの時間も短く、予定通り無事に役割を終えた。6期の今井さんが「14歳はすごく大切な時期なんだよ。徳って漢字は“十四の心の行い”って書くでしょ。その先に行き詰ったときに14歳のころを振り返るといい」というお話をしてくださった。昨年のことを思い返すと、同期の波夛さんの生まれたばかりのお子さんに出会い、とても温かい気持ちになったポイントだった。私にとって100キロ完歩の最大の鍵は「家族」だった。金岡交差点は確かに今井さんの話す「徳」のセオリーにはまる重要なポイントなのだと思う。


◇笑顔の連鎖

 前述したように、気持ちの整理がつかないまま40キロ地点の備前体育館から、71キロ地点のリバーサイドまでの30キロ、時間にして約6時間の伴歩についた。チャレンジャーの9期宮原さんのこの区間の様子は、途中足の痛みが出始めていたもののとても安定していた。楽しく温かい気持ちで伴歩できたというのが正直な感想である。伴歩にあたり、私が大切にしたのは、@チャレンジャーの意思が第一、A心から思っていない事を話さないという2点。頑張れるために色んな話ができればと考えていた。道中、宮原さんの100キロ歩行に参加に理解してくれた家族に心から感謝をしているという話を聞き、宮原さんにとっても「家族」が鍵だということを確認できた。自然とお互いの家族の話をしている間は、順調に歩かれていたように思う。また各チェックポイントを通過するたびに、宮原さんは笑顔で「ありがとうございます!」と答えることを大切にされていた。「愛嬌が大切ですから」とお話されていたが、この笑顔の力はすごいなと感じた。伴歩している側の私が元気をもらっていた。
 リバーサイドで今井さんに伴歩をバトンタッチし、車中から引き続きサポートを行った。80キロ地点までの区間は特に苦戦された様子で、心配な区間もあったが後半立て直し、無事9時ジャストに後楽園に到達。ゴールの瞬間には立ち会えなかったが自分のことのように嬉しかった。
 宮原さんの笑顔の源は、家族と同期の存在だったようだ。途中、家族や同期との電話で一気に元気になりペースがあがる様子を何度も見せていただいた。この笑顔をこれからもたくさんの人に連鎖してもらいたいなと心から思う。自分自身も改めて家族や仲間の大切さを感じることができた。


◇最後に

 サポート隊長池田さんより3つ目の役割を追加で与えられ、東平島で宮原さん、伴歩の今井さんと別れ、8期古賀さんのゴールまでの約13キロ伴歩につくことになった。古賀さんはこまめにストレッチをしながらペースを落とさず歩かれていた。安定していたのは体調というより精神的なものだと思う。ご自身の体の状況を十分に把握し、準備されてきた努力の賜物である。実際、昨年と歩き方が全く違っていた。無事9時過ぎに後楽園へ到達。2年越しの目標を達成され、充実した表情を拝見することができた。その後、同じく8期の三島さんが間もなくゴール。二度目の完歩を果たされ先にゴールされていた山中さんを含め、同期3名が揃って無事完歩できたことも嬉しかった。8期津村さんが涙を浮かべて同期の完歩を喜ばれている姿を見て、さらに感動。この方々と同期で良かった。
 会社の大先輩である9期賀門さんの完歩も心から嬉しかった。道中何度も「健太君ありがとう!大丈夫。行けそうだ!」と力強い声を聞くたび、この方は絶対完歩されると感じた。それぐらい安定した力強い完歩だった。どんなに辛い時でも、周囲の方へ感謝の気持ちを全面に示される姿にも心を打たれた。
 今回の100キロ歩行を振り返って十分な準備ができなかったという反省はあるものの、多くの学びがあった。新たに学んだこともあったが、昨年学んだことの再確認となることが多かった。これからも自己研鑽を続けていきたいと思う。