2011年 100km Walk

 
◆吉次  翼(岡山政経塾 10期生)

岡山政経塾 100km歩行レポート             2011年5月19日
「22時間27分、15万3733歩!」



「物の準備、心の準備、体の準備、全て押さえた者が100kmを制す」
これは,岡山政経塾100km歩行の勝利の方程式である.この言葉の意味は,事前の準備をどれだけ念入りに行い,どこまで完璧にもっていくことができるかが完歩のカギを握っているということである.10期生全員で後楽園に帰ってくることを唯一無二の目標とし,この言葉を幾度も復唱しながら,決戦の日を迎えた.

 10時00分のピストルで一斉にスタート.情けないことに東山を越える前から早くもズキズキし始める足.閑谷を越えるころには笑いはじめる膝.こんな調子でもつのだろうか.自問自答しながらも‘10期全員で’を思い出し歩き続けた.苦しかった.本当に苦しかった.歩くというあたりまえの行為がこんなに辛いことなのかと信じられない気持ちになりながら,一方では若さにおごっていた自分があったのではないかと唇をかみもした.
 特に苦しかったのは瀬戸町付近だった.いつ終わるとも知れない暗闇から突然,ふっと自分にとっての原風景が広がり,言葉では説明しきれない感覚に陥った.”地元”の安心感と里ごころで一気に疲れを自覚してしまったと言えばよいのか.無意識に民家や看板にばかり目がいき,街並みが気になり,一気に集中力が流されてしまった.「あの店は無くなってしまったなぁ」「さびれてしまったなぁ」と.最難関といわれる区間だからではなく,自分にとっての原風景とも言うべき土地への雑念が疲れ切った自分を一層余裕のないものにしていったように思う.頭では,むしろ元気づけられそうに思うのだが実際は違った.こういう裏腹な感覚は生まれて初めて体験した.
 とにかく‘10期全員で’を実現するためには自分の体を後楽園に連れて帰らねばならない.今自分がすべきことはそれだけだと言い聞かせて足を引きずりつづけた.
 午前8時27分,同期中川さんと揃ってゴール!10期生全員完歩達成!!

 激闘から1週間たった今,振り返ってみれば,苦しい中でも瀬戸の多島美を堪能したり,道ばたに咲いたレンゲの密を味わったり,東京では見ることの出来ない満点の星空に癒されたりと,激痛と緊張感の中にもどこか道中を楽しむ高揚感と爽快感につつまれていた.これは,まぎれもなくサポートをしてくださった皆様のおかげである.

 100km歩行は,一歩一歩進むしかできない行軍ではありますが,私はこの24時間の道のりを通じて,100kmを本当に楽しむことができました.最後になりましたが,このような機会を与えてくださった岡山政経塾とサポートしてくださった全ての皆様に感謝いたします.本当にありがとうございました.



・・・余談だが,100q歩行から帰った日,全く体か動かなかった.足の悪い祖母の車イスを内緒で拝借して家の中を移動した.手すりも弱者には必需設備.トイレ,シャワーはなかなかの冒険.二足歩行,かなりの冒険.3日後,やっと日常に戻った.鍛え直そうと心に誓った21歳の春.