2011年 100km Walk

 
◆虫明 雄基(岡山政経塾 10期生)

岡山政経塾 100km歩行レポート             2011年5月12日
「有言実行」



1.はじめに

 無事に100キロ完歩出来た事をサポート、協力してくれた全ての人に感謝を申し上げます。
 このレポートでは、私自身が完歩した事での気持ちの変化についてまとめました。



2.決意表明

 私が100キロ歩行を意識したのは3月12日の入塾説明会のときでした。前日の3月11日、岡山へ向かい電車の中で東日本大震災が発生しました。電車の中という事もあり地震を体感する事は無く突然電車が止まり、大津波警報が発令され7時間近く電車の中に閉じ込められました。電車の中では情報が全く入らず、わからない事だらけで苛立ちを感じていた事を覚えています。3月12日の朝にTVを点けた際、現実か映画の世界か理解出来ない映像目の当たりにしました。しかし、入塾説明会では特に地震の事に触れる事もなく過ぎていき、自分自身夢か現実かわからなくなりました。そんな思いの中、事務局長より「100キロ歩行の練習に参加しない人は歩けない」と言い切られ、自分自身に課せられた試練に向き合うことになりました。そして、遠方の地で参加は出来ないため練習に参加しなくても24時間以内に100キロ絶対に歩ける事を証明してみせると自分自身に誓いました。4月の初めに現職場の児童養護施設にいる児童の前でも24時間で100キロ歩く事を宣言しました。



3.練習

 神奈川に帰ると地震や原発問題で私は今までに感じた事の無い不安と無力感で、とても練習出来る状態ではありませんでした。しかし、被災地にいる人々のことを考えると環境的に恵まれており、自分自身出来る事、やるべき事を行おうと2週間位経過したときに気持ちを切り替え、週3〜4回のペースで歩く距離を増やしていこうと考え取り組みました。下見に連れて行ってもらった際に、時速7キロで歩く体験をさせてもらいましたが、とても付いて行けず一人で練習している以上は、自分のペースで歩き無理に早く歩く練習は行わない事を決めました。



4.10日前

 入塾式の日に10期全員完歩を誓いましたが、1週間前までは正直歩けるのか不安でした。決意表明を岡山政経塾全体メールで流した際、7期生の西村さんより目標は書いてあったが目的が書かれてなかった事を指摘されました。その際、自分自身の課題である詰めの甘さなのだと感じました。目的は「有言実行を実証する」でした。


5.当日

 後楽園の芝生に着いた時、不思議と不安は無く歩けるものだと感じていました。10時を過ぎると自分のペースで歩く事を目標に閑谷のチェックポイントに0時までに着き、残りの40キロを10時までに歩ききる事を考え、後は楽しもうと思いました。歩いている最中は、ほぼ一人で歩く事は無く誰かと一緒でした。そのため、どの様な目的で歩いているのか道中に聞くことができ、それぞれの熱い想いなど教えていただき大変勉強になりました。途中の70キロポイントからは、同期の竹田さんと一緒に歩かせていただき振り返ってみれば自分自身一番しんどい時間だったためとても心強かったことが思い出されます。


6.完歩

 23時間21分のタイムで無事に100キロ歩き終えました。歩き終えた後は、達成感と疲労が残りました。それ以上に感じたのは周囲の方への感謝でした。サポートしてくれた方々やチャレンジャー、協力、応援してくれた人々のおかげで完歩が出来ました。練習には参加しなくても歩き切った事は自分自身満足のいく結果でした。



7.完歩後

 5月4日17時頃の岡山空港発羽田行で神奈川県に帰りました。羽田空港では、500mの距離を20分近くかけ、やっとの思いで空港出口に辿り着きました。5日には、仕事が入っており足の状態がどうなるのか不安でしたが、仕事に入ると多少の痛みはあったものの児童を膝に乗っけても大丈夫でおんぶ、抱っこ、足の上で飛び跳ねている児童がいても特に変わりなくいつも通り仕事に取り組めました。宣言して行った事もあり児童に完歩した事実を当たり前の様に伝えました。歩くだけだから余裕でしょうという児童も居ましたが、自分自身歩いて当たり前と考えていたため人間やれば出来る事を伝えました。震災、原発についての不安も自分自身薄くなっている事に気付きました。



8.さいごに

 私は5月3日の1週間くらい前に日常生活に支障がある程の痛みを右膝の裏に覚えました。たった500mの距離も歩けず病院に行くべきなのかも悩みました。しかし、通院する事でリタイヤの文字が近づいてしまうと思い練習せず休養し当日を迎えました。完歩した事で、今回掲げていた目的や目標は達成出来ました。自分自身言葉に出した事は出来るという自信もつき、今後も「有言実行」という言葉を大切にしていきたいと思います。児童養護施設にいる児童に対しても今回宣言した事を果たしたという姿を、いつか感じとってもらえる時が来れば嬉しいです。特に受験生の児童には目標をもって人生の山場を乗り切ってもらいたいです。私自身は、今回の完歩は過程であり先を見据えて社会に出来る範囲での貢献を行っていきます。
 最後に協力してくれた皆様ありがとうございました。