2011年 100km Walk

 
◆竹田 康晴(岡山政経塾 10期生)

岡山政経塾 100km歩行レポート             2011年7月1日
「人生の糧となった、感動の100km歩行」



1.はじめに

「限界を超え、未知の領域に挑戦し、勇気と精神力を養う。」という目的の100q歩行。
「心・物・体の準備を万全にして臨むこと」、「過去、練習会の参加率が悪い者はほとんどが完歩出来ていない」とアドバイスがあったが、「歩くのも、走るのも自信がある。普通に歩けば、まぁやれるだろう。」という甘い考えでおり、練習会にも始めはあまり参加していなかった。
心の準備が整わない。物の準備も進まない。体づくりも出来ていない。
 これが、自分の100q歩行へ向けてのスタートだった。



2.練習会の意味

10期生のメンバーの練習会参加率が悪く、実行委員の皆さんや、サポート隊の方々から「何のための練習会なのかを良く考えてほしい。」と助言を頂いた。練習会とは、100q歩行を完歩するためなのはもちろん、チャレンジャー同士の結束を固めるため、岡山政経塾メンバーとの交流も出来る貴重な場であることに気付いた。
チームのために自分に何ができるかを考えた。情報交換や、連絡を密にしてコミュニケーションを取り、「チームを一つに」していくための行動を行うことにした。



3.結束と、約束

10期生のメンバー同士が100q歩行についての事を情報交換し合うようになった。お互いを刺激し合い、徐々に参加率も良くなり、士気が高まっていくのを感じた。
100q歩行まであと10日とせまった4月25日の例会後に行った打ち上げで、「10期生全員完歩」を誓い合った。



4.不安

最後の下見会で、サポート隊の皆さんがチャレンジャーを100q歩行ルートの下見へ連れて行って下さった。果てしない距離を車で走りながら見ていると、自分自身が本当に歩けるのか、不安に思うようになった。自分には体の不安要素として「右ひざの故障」があった。


5.不安を振り切るために

やるからには完歩したい。10期生メンバーで誓い合った全員完歩に加えて、所属している柔道の道場で「100q歩行を必ず完歩してくる。」と宣言した。
さらに、体が限界を超えた時に、心が折れてリタイヤしないようにするため、柔道衣で歩くことを決めた。
メンバーとの約束、柔道仲間との約束、自分自身の決意。
これで、一切の不安を振り切った。


6.スタート

10期生全員で円陣を組んだ。例会担当だった私は、掛け声を言う役をさせていただくこととなった。
「100q歩くための心の準備!物の準備!体の準備!すべてしてきたな?!10期生全員完歩、やるぞ!」
 気持ちは最高に高まりスタートした。これから予想を超えた壮絶な100q歩行になることなど、この時は知る由もなかった。


7.肉体の苦痛VS精神の支え

飯井交差点を越したあたりから、足がズッシリと重くなり、次々と順位を追い越されていった。
左膝の関節が痛み始めた。練習会の時から「左に体重が偏ってるよ」と指摘されていた。故障している右膝をかばうため、無意識にそうなっていたのだろう。
足の裏、足首、膝への負担。段々と苦痛なことが増えてきた。辛くなっていく中、45q地点から中川さんと話しながら一緒に歩けたことがありがたかった。
閑谷学校への道中、柔道部の同志達から連絡が来て、閑谷学校の手前の駐車場でエアーサロンパスと栄養ドリンクを差し入れてくれた。仲間への感謝の気持ちが駆け巡り、俄然ファイトが湧いてきた。
炊き出しに辿り着くと、先に来ていた人達が休んでいた。おにぎりや漬物が、本当においしく、元気が出た。体が固まって動けなくなりそうだったので、休憩もそこそこにして出発した。リバーサイドまでは、ひとりひたすらに歩いた。痛みが増して来て、呼吸が少し乱れ始めた。
リバーサイドへの橋を渡るとき、時間は深夜1時だった。残りは30kmで、あと9時間ある。ここでしばらく休憩をとった。休憩中に同期の虫明さんと、「このあと残りをいかにして歩くか」と、ペース配分を相談しあって、一緒に歩いていくことにした。



8.限界を超えた領域へ

リバーサイドを出発して、一歩一歩がかなり重くなってきた。
道は暗く狭く、痛みと疲労が増して来てだんだんと、自分に甘くなった。
少し歩いては休み…を繰り返した。体の限界が近づいているのか、休むと足がつるときもあった。「もう駄目だ、休みたい」という自分と「弱気になるな、ひたすら前に足を出せ」という、考えが交互に巡った。
このリバーサイドから瀬戸までの歩行が精神的に一番辛かった。

  夜があけた頃にJA瀬戸へ辿り着いた。ゴールが手に届くところへ来たと
感じたが、歩きたい気持ちと裏腹に、足が思うようについてこない。
残り17kmぐらいのところで2期生の能登さん、5期生の源さんが、先にゴールしていた10期生の佐藤さん、藤井さんのふたりを連れて来てくれた。同期からの励ましに、うらやましさも手伝って、またやる気が出た。
最初に源さんが、『歩くよ』と言って一緒に歩いてくれた。
日頃から知っている先輩で、心強かった。また、足が前に出始めた。
2期生の能登さんが途中で源さんと交代した。
アドバイスと励ましや、ご自身の100q歩行体験談も聞かせてくれた。
「このペースに着いてこれたら、時間内にゴール出来る!」と、先導して下さった。
90q地点のとれたて市場に、たどり着いたのは7時7分。
「あと10km、すぐに出ればいける!」
足を引きずりながら、すぐに出発した。痛みと疲労からか、頭がボーっとし、フラつく時もあった。
「歩き続けることが、こんなにしんどいのか。想像をはるかに超えている。これが、100q歩行か・・・!」と思いながら歩いた。
途中、先にゴールした10期生の藤井さんや、集結していた9期生の方々が、一緒に歩いてくださった。



9.感動のゴールへ

自分の「心」と戦い続けた事と、「仲間」の存在と感謝を強く感じて、支えてくれた皆さんの顔や声が浮かんで、不意に涙腺が緩んだ。

自分の怪我の事を知ってから、励まし続けてくれたサポート隊長の波夛さんが、土手を上がったところにいた。心からの「ありがとう」を伝えた。
自分の目から溢れる涙を止められなかった。
後楽園に入ると、小山事務局長、10期のみんな、サポート隊の皆さん・・・・
大勢から迎えられてのゴールだった。
ゴールの記念写真を撮って、芝生へ寝転び、これまでにない爽快な達成感に包まれた。
本当に、熱い100q歩行だった。



10.100q歩行とは

 「24時間100q歩行」は、これまで挑戦したことのない未知の領域だった。
完歩することが出来たのは、まず「決意をする心の準備」があり、心が備わってこその「物の準備」、「練習での体の準備」、「まわりとの完歩の約束」、「10期生のメンバー全員との完歩の約束」。
そして励まし続けてくれた仲間の応援があったからこそ、心が折れなかったのだと思う。

 この経験を活かして、自分が決めた目標へ、支えてくれる仲間と恐れずに突き進んでいこう。どんどんチャレンジして、もっと熱く生きていこう。と思えた。間違いなく、人生の糧となった100q歩行だった。
そう思う事の出来た私に、これからどんな感動が待っているのか楽しみだ。
参加したひとりひとりそれぞれが感じ、学んだ、素晴らしい100q歩行。
参加できたことに喜び、感謝した。
岡山政経塾で出逢ったメンバーとは100q歩行どころではない、もっと遠くへ、もっと高いところへ行ける。そう思った。
私は最高の出来事を経験し、最高の思い出と、最高の自分と、最高の仲間を手に入れたのだ。



11.最後に

私は、今回の感動を忘れません。支えてくださった皆様、ありがとうございました!!来年からもサポート隊として100q歩行に携わっていけることが、今から楽しみです。