2011年 100km Walk

 
◆小林 孝一郎(岡山政経塾 9期生)

岡山政経塾 100km歩行レポート             2011年5月22日
「サポート隊としての100キロ歩行」




 チャレンジャーとして参加した2010年の100キロ歩行。私は多くの方に支えられて完歩することができました。今年はサポート隊として、その恩返しをしたい、そう思い参加しました。私の担当は、スタートから45キロ地点の松本橋での誘導と、ゴールでのチャレンジャーの記録でした。サポート隊の役割は、「安全を確保し、チャレンジャーの歩行を支える」ことにあります。45キロ地点は、多くのチャレンジャーにとっては、丁度日没の時間帯となります。安全に注意しながら、チャレンジャーをしっかり励まそうと思い当日を迎えました。

 午前10時に同期の野田さんとともに後楽園を出発し、道中、車窓から手を振り、チャレンジャーを励ますことから始めました。激励の気持ちが少しでもチャレンジャーに伝わり、背中を後押しできるようにと大きな手袋をつけて手を振ったり、うちわを掲げて目立つように試みたりしました。チャレンジャーからの反応は様々でした。大きく声を出し、手を振る人、苦しくて手を挙げるのがやっとの人、手を挙げることもできないくらい辛い歩行の人。反応によって、チャレンジャーのその時々の歩行状態がよくわかりました。入江百貨店で多くのチャレンジャーを、そして備前体育館で先頭を見送ってからは、松本橋の任務に就きました。
 松本橋では、各チャレンジャーの足取りもさまざまでした。遠くから見えるチャレンジャーの様子は通過時間とは関係なく、「まだまだ大丈夫だ」「通過時間は早いけど、しんどそうだな」「遅い通過だが、しっかりした足取りでこれなら十分完歩できるな」など、約5時間の滞在の中でよくわかりました。日没して辺りはすっかり暗くなっていたので、夜間歩行への準備ができていなかったチャレンジャーへは、蛍光タスキとヘッドライドの準備を整えてもらい、送り出しました。

 その後は再度、車の中から声援を送り、閑谷学校炊き出しポイントとリバーサイドに立ち寄り、ゴールで待機しました。午前2時前に先頭の7期西村さんがゴールをし、その後、10期南君がゴール。夜が明けてからは続々とチャレンジャーが帰ってきました。
 同期の難波さんが帰ってきた時は本当に嬉しかったです。長い脚だから余裕で歩けるだろうと思われていた昨年、故障によりリタイアとなった難波さん。歩けなかったことがきっと心に引っかかっていたと思います。今年は実行委員長として誰よりも歩行練習を積み、途中苦しくとも、黙々と前だけを見つめて歩く難波さんを見てきました。その難波さんはゴール後、「ありがとう。これでやっと卒塾できた」と言いました。そこに1年間彼の心の中でずっと引っかかり詰まっていた思いを私は知り、思わず涙が出ました。
 もう一人の9期のチャレンジャー清水さん。片山・和田両氏による懸命の伴歩により、頑張ってきました。何とか時間内にゴールを、と最後は9期全員で伴歩しました。最後の25キロからはお母様が、そして旭川の河川敷を降りてからはご主人も加わり、みんなで清水さんを後押しし、見事完歩しました。ゴール係りを他の方にお願いし、最後5キロは私も一緒に歩きました。何とか歩ききってほしい、その一心で伴歩しました。彼女の足取りは最後までしっかりしていました。そして彼女の必死の形相には、「何としても歩ききるぞ」という強い決意が表れていました。

 今年の100キロ歩行は、我々9期2名を含め岡山政経塾のチャレンジャー全員が完歩という大記録となりました。私は昨年に引き続き、今回もまた、多くの気づきと学びを得ました。第一に、チャレンジャーの歩く姿、通過時間を客観的に見ていて、通過時間よりも歩き方や状態がいかに重要であるかということがわかりました。時間は遅くとも、着実な歩行により、確実に歩みを進め、見事ゴールをしていくチャレンジャーは、自己を良く知っていることの証左であり、この100キロ完歩が体力や年齢のみに依存するのではなく、計画と戦略を立てて、それを着実に実践することがいかに大切であるかということがよくわかりました。
 第二に、実際にサポート隊の立場を経験してみて、その苦労というものもよくわかりました。チャレンジャー全員の完歩を目指し、安全を確保するとともに全力でサポートをするのがサポート隊です。先頭の通過から最後のチャレンジャーの通過まで周辺に配慮しながら、じっと同じ場所で数時間待機をし、送り出していく任務は実際に自分が経験してみて初めてわかるものでありました。こうした各ポイントでの一人ひとりのサポート隊の献身的な支えによって毎年100キロ例会が無事成功裏に執り行われているということは、サポート隊の立場にまわってみて初めてわかる貴重な経験でありました。
 私はチャレンジャーとサポート隊両方を経験し、この100キロ例会の意図するところ、それぞれの学びがあるということがよく理解できました。目標に向かって黙々と歩いていく姿には心打たれるものがあります。チャレンジャーの歩く姿を見ていて、私もまた、歩きたいなと思う気持ちになりました。自分の中で、歩くためのモチベーションが備わったとき、再びこの100キロという長い旅路に挑みたいと思います。