2008年6月 岡山政経塾 体験入隊 特別例会

 
◆吉冨  学(岡山政経塾 七期生)

『自衛隊入隊体験レポート』




1.イントロダクション−問題意識
 「日本の安全は自衛隊によって守られている」当たり前のことに思えることだが、著者としては文献を読み、友人や先生と議論をし、やっとたどり着いた結論である.今回はそれを確かめるべく、実感するべく体験入隊した.

2.承−実際に現場に入ってみて感じたこと
 第一印象は、「異様」.迷彩服、無機質な建物、敬礼、戦闘ヘリ…駐屯地は別世界であった.自衛官は私たちが普段生活している社会を娑婆と呼んでいた.迷彩服に身を包み、「訓練」に参加した.一つ一つの「訓練」が深い思慮に基づいて構成されており、著者は自衛隊の異様な雰囲気を感じながらも、大変有意義な形で自衛隊を知ることができた.
 結局、最後まで第一印象を拭い去ることはできなかった.1泊2日は、日常生活からかけ離れたものを受け入れるには短すぎた.
 しかし、得たものは大きかった.冒頭で述べた仮説を実感に変えることができた.自衛隊は確かに国を守っていた.「私たちは日の丸を背負っている」「日本が好きだ」等々、講義や懇親会で聞いた自衛官の言葉には心を打たれた.
 
3.転−秋葉原事件と関連させて
 2008年6月8日、秋葉原で7名の男女が通り魔によって殺害された.犯行に及んだ背景を考えてみた.
 第一に、社会環境の悪化が挙げられる.派遣労働者など、企業は人を使い捨てするようになった.メディアは勝ち組・負け組みと騒ぎ、不必要な煽動を行うようになった.地域社会は希薄化し、道徳教育が行われなくなった.そのような環境の中で、犯人は自分を「負け組」だと自分で思い込み、その思い込みが匿名掲示板の書き込みによって増幅され、犯行を後押ししたのではないだろうか。
 そもそも犯人が「負け組」だと思い込むようになった原因は何か.自己承認欲求、つまり「私は〜のために存在している」といった欲求の未充足ではないだろうか.自らの生きる意味を見出すことができなくなり、思考の負のスパイラルに陥ったのではないか.
 一方で自衛隊員には、「国を守る」という存在意義がある。彼らには確固たる使命感がある.自衛隊には現代社会に欠けている意識が存在していることを確認することができた。学校教育のプログラムの一環として自衛隊体験入隊を導入するのもユニークなのでは.

4.結び−「私たちは日の丸を背負っている」
 体験入隊を通して、自衛隊の存在意義を再確認することができた。自衛隊員の強い使命感を直接感じることができた。私たちの日常の安全は目の届きにくいところでしっかりと支えられていた。この体験を通じて得たことを友人と共有し、議論を交えることで自身の成長に役立てたい。

岡山政経塾7期生 吉富 学