2010年6月 岡山政経塾 体験入隊 特別例会

 
◆野田 裕一朗(岡山政経塾 九期生)

『自分に足りないもの』



Q.自衛隊とは?
A.高速道路のサービスエリアでたまに見かける迷彩服を着たマッチョなお兄さん。

お恥ずかしいがこれが私の自衛隊のイメージだった。そんなレベルの私にとって、事前課題はかなりの難題。「国家目目的?」「国家目標?」「10年後の脅威?」「安全保障戦略?」全然意味わからん!!今までこんなこと考えたことない!!あれだけ楽しみにしていた自衛隊体験入隊なのに、日が近付いてもテンションが上がらない。更に今回のスケジュールを見ると、体より頭を使う内容になっていた。体育会系の私には何か物足りず結局テンションは一度も上がることなく当日を迎えた。しかし、せっかく貴重な体験をするチャンスをもらったのに無駄に過ごすわけにはいかない。無理やりテンションを上げて臨んだというのが本当のところか。そして、日本原駐屯地の入り口ゲートを通過した瞬間、とてつもない緊張感に襲われた。この緊張感の意味は、中隊長の最初の挨拶、そして隊員の皆さんの自己紹介を聞いてわかった。「これはナメとったらやられるぞ…。」あれ?この緊張感と同じようなことがいつかあったような・・・あっ、野球部の仮入部を終え、本入部した時と同じ感覚だ。私は気合いを入れ直した。


◇男が男に惚れた
いきなりだが、私は中隊長に惚れた。(そっちの意味ではなく)惚れた理由は、自分のなりたい理想のリーダー像であったから。あのONとOFFの切換え、あの部下との信頼感、自分もあんなリーダーになりたい。そんなI Love中隊長が言われた言葉で印象に残っているのが『目的を絶対に忘れないようにしてほしい』という言葉。要は「初心忘るべからず」ということだ。何で私はここ(自衛隊)にいる?何で私は仕事(養鶏)をしている?何で私は生きて(生かされて)いる?最近、色々と悩むことが多かった私にはズバッときた。そして、この言葉のおかげで原点に戻ることができた。中隊長!講和の最中、私の目が潤んでいたのは眠たいからではなくそういった理由です。


◇自分の甘さ
今回とても反省したことがあるので書かせてもらいます。ただ、もしかすると気を悪くされる方もいるかもしれない。しかし、このことが今回の一番の学びでもあったのでご理解していただきたい。今回一緒に体験入隊した同志は23名。この23名を3班に分け常に班ごとに行動を共にしたのだが、私の所属した2班は他班と違うことがあった。それは、OB塾生全員が2班に集中したこと。ちなみに、2班のメンバー構成は、年上の同期、女性の同期、年上のOB、年下のOBが3名、そして私の計7名。正直、気を使った。言い方を変えると遠慮した。例えば、時間に遅れる人がいても、その人がOBだから…と勝手に都合の良い理由を作って呼びに行かない。そのくせに心の中で「早く来いよ」と思っていた。もし、これが社内や野球チーム内での出来事だったら自分はどうしていただろう。そして、2日目の昼食後の集合時間に全員が揃わなかった時に事件(?)は起きた。どちらかと言うと比較的優しかった班長隊員の顔は紅潮していた。これは何かが起きる…。とっさにいつもと違う空気を感じた瞬間だった…
班長『集合時間に何秒遅れた?』
塾生『わ、わかりません。』
班長『11秒だ!!全員荷物を置け!!遅れた分だけ腕立て始め!!』
たった11回の腕立て。しかし、午前中の体力測定でパンパンになっている両腕、更に、なぜ腕立てをしなくてはならなくなったのかを問われながらの腕立てはまさに拷問だった。(2分以上はかかったように感じる)私はこの11回の腕立てをしながら自分の甘さやずるさを痛感した。なぜ一言『集合!』と言えなかったのだろう。(なぜリーダーシップを発揮できなかったのだろう)この時たまたま遅れたのは年下のOB塾生。同じ班で2日間過ごしておきながらOBというだけで勝手に線引きをし、どこか無関心な自分がいたのかもしれない。あれだけ「一致団結せよ」と言われていたにも関わらずこの様。こんなことでは、とても目指すリーダーにはなれない。中隊長殿、グループ発表の時に『(現在の日本には)愛が足りない』と言った私の発言に対してあなたはこう言いましたよね?『愛って何だろう?』と。まさにその答えがこの11回の腕立てにあったと思います。愛が足りない…つまり、関心がなさすぎるということではないでしょうか?もっとみんなが関心を持ち、助け愛・刺激し愛ながら生きていける国家を。(「愛の反対は無関心である」byマザーテレサ)
余談ですが、今回の班分けにはどういう意図があったのかをすごく考えた。もしかすると、小山事務局長が私の足りないものを見抜きわざとあのような班分けにしたのではないかと考え、先日確認させてもらった。
野田『小山事務局長は何かを伝えたくてあのような班分けにしたと考えたのですが、実際どうなのですか?』
小山『班分け?オレしてないよ。』
…どうやら考えすぎだったようだ。


◇最後に
中隊長が言われたこの一言がすべてだったと思うのでこれで締めたいと思います。
『国民のために行けと言われたら死ねる』
私たちは命をかけて仕事をしているのか?命をかけて大事なひとを守っているのか?
色々なことを考えさせられ、色々な学びのあった刺激的な二日間でした。自衛隊体験入隊に参加して本当によかった。岡山政経塾に入って本当によかった。日本国民として生まれてきて本当によかった。
日本原駐屯地の皆さん、一緒に参加した岡山政経塾の同志、そして不慣れなカメラマンこと小山事務局長、本当にありがとうございました。感謝。帰り道を間違えていることに気付かず鳥取県まで行ったことを最後に報告し、野田塾生、レポート終わります!敬礼!

Q.自衛隊とは?
A.高速道路のサービスエリアでたまに見かける迷彩服を着た”大和魂を持った”マッチョなお兄さん。