2010年6月 岡山政経塾 体験入隊 特別例会

 
◆東  裕介(岡山政経塾 九期生)

『自衛隊体験入隊』



 失礼極まりないことを承知の上、純度100%の本音を記述することをご容赦ください。

〔入隊〕

 「日本の安全保障・危機管理の現場を学ぶと同時に、団体活動・協調心を体得する」
この目的にピンとこない無知で未熟な私は、修学旅行感覚の冒険心を規律で雁字搦めにされている僻地に軟禁されるような疎外感が掻き消している心境でいた。

 陸上自衛隊日本原駐屯地に到着、銃を持った自衛官に敬礼で迎え入れられた。意味もわからず車中から敬礼で返答。これが私の『最初の敬礼』。30時間後、離隊の際に見送って下さる隊員の方々にする『最後の敬礼』との重みの違いなど知る由もなかった。


〔懇親会〕

 自衛隊員の自信に満ち溢れた言動、鍛え抜かれた肉体は、私の目には強靭で別次元の集団のように映った。野球に例えるならいつになっても高校球児がたくましく年上に見えてしまうように…。
 数々の尊敬すべき言動は上記の理由にこじつけて正面から受け止めようとはしなかった。夜の懇親会までは…。
 懇親会は本当に楽しく有意義だった。そこには二日間の学びの根拠があったからだ。それまで別の人種のように感じられていたことが嘘だったように親近感を覚えた。『目の前にいる方々は自分と何も変わらない。』
 当たり前のことに気付かないほど緊張していた私にようやく冷静さを取り戻させてくれた。私の思考は一気に稼動した。大声で笑う目の前の方々は、私と年も変わらない、守るべき家族がいる、自分のため、家族のために働いている、そして国のために命を懸けている。
 凄い違和感があった。すべてが同じに思えた直後、私に決定的に欠落している点に気付かされた。背負うものが一つ違えばこんなに人間的に違って感じられるものなのか。私は考えさせられた。そして大きな学びを得た。


〔学び〕

 岡山政経塾の理念に「地域から日本を変える」とあります。入隊から得た学びは、『国を思うことによって言動に魂が宿る』ということです。
 私は岡山政経塾に然り、すべてのことに対して目的が曖昧だった。地域を変えるその先にある日本を変える大きな目的が曖昧だから行動が弱い。仕事にしても信念や意義が断固たるものでないため妥協を許してしまいそうになる。先にある目的を強く思うからこそ目の前の目的に全力で尽力できる。

 揺るぎない信念を持った自衛隊員は私に私を変えるきっかけをくれた。