2010年6月 岡山政経塾 体験入隊 特別例会
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◆永野 公靖(岡山政経塾 四期生)
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『自衛隊体験入隊レポート』
◇参加に至った経緯と動機
伊勢神宮に参拝に行った際に、祈祷の内容に「国家の繁栄」という項目がありました。帰りの道中、「国家の繁栄」という言葉に色々と考えさせられました。現在でも、考えます。
今の自分で出来ることを考え、まず、日本という国を改めて意識するために、今まで持っていなかった国旗を購入し、日本という国が成り立っている根拠として「日本国憲法」を思い、その前文を覚えてみました。憲法成立の経緯は別として現時点での日本の明文化された理念だと思ったからです。
そして、ふと、「国のために死ねるか」との疑問が頭の中をめぐりました。
自問自答の末、その時点での自分なりの答えは「無理」という結論に至りました。自分の、家族や仲間のためになら命をかけることが出来ても、現在の政党や派閥云々で迷走している国政の状態を、メディアを通じて見て、聞いて国や国民のために、自分の命をかけることは無理だと思ったのです。また、国政にかかわる方であっても、命がけで取り組む姿勢は感じられず「政治生命をかけて」ということがせいぜいで、体調不良を理由に、責任ある要職を辞任される方が多いのが現状ではないでしょうか。しかし、私や上記の方がはそうであっても、実際に「国を守る」ことを主たる任務としている自衛官の方々は一体どのように考えられているのだろうか。尋ねてみたい。
これが、今回の自衛隊体験入隊例会に参加しようと思った動機でした。
◇自衛官の覚悟
例会最初の、精神教育において矢野秀樹中隊長が、経歴等を踏まえながら1時間の講義でした。その中で重要な一言がありました。
「命令があれば、どこでも行く。命をかける覚悟はできている。」
これが聞きたかった!!今回、参加した目的の一つが、尋ねる前に、もう達成されました。この言葉を聞きたくて参加したんです!自衛隊の方々の「命をかける」という言葉には、力強さと厚み、信頼を感じました。「命をかけるつもり」ではなく、本当に「命をかける」状態にあるから感じた事なのでしょう。「人生をかけて仕事している」って言う人は、いくらでもいます。良く聞くフレーズです。しかし、それは、家族のため、お客様のためということ。国のため、国民のために命かけられないと思っていた自分にとっては、心が揺さぶられることで若干涙ぐみながらお話を聞かせていただきました。
仮に、国内で有事の際に、良くない結果だったとしても、「国のために、国民のために」と自分の体張って、命がけで守ろうとしてくれている人がいる。私にとってはそれだけで充分だと思いました。これからは、足を向けて寝られない思いです。でも日本中にたくさん駐屯地があるので、寝られなくなるので、やっぱり今まで通り寝ます。
◇国家目的、国家目標、国家戦略
事前課題として、下記の問いが出されました。
@ みなさんが考える日本の国家目的について簡素に述べてください。
A みなさんが考えた国家目的に鑑み、日本の国家目標を述べてください。
B 10年後における我が国の脅威について考察してください。
C 脅威に基づき、日本の安全保障戦略、特に防衛が担う役割を述べてください。
私なりの答えとして、
@ ・諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保すること
・政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすること
A 平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めること
B 高齢者が人口に占める割合が30%を超える。労働力の低下により、国力が低下する。
A)国内部の統制の欠如によりテロやクーデター。
B)国外からの侵攻。
C
A)防衛機能が分裂しないようにする。
B)侵攻してきても、侵攻の利益より損害のほうが大きくなるような仕組み作りの先導。
国民皆兵化して、一般国民の訓練。
を用意して行きました。
これについては、正解不正解があるものではなく、3時間ほどの議論という有意義な時間を過ごすことができました。常日ごろ考える内容ではなく、改めて意識するとその重要性を感じました。
◇戦車試乗
待ちに待った戦車試乗が2日目の体力検定後にありました。体力検定については、体力は無い方に自信があったので、予想通りの結果となりました。
2年前、岡山政経塾初めての自衛隊例会をするとなった時に、小山事務局長から「戦車に乗れるよ。」という言葉をかけていただいていました。別に、戦車マニアとかではなく、単にワクワクする、というだけの事ですがその一言を2年間忘れることはありませんでした。
ついにその戦車が現われた時、目が輝いていたと思います。威圧感、存在感は抜群、そこにいるだけで恐怖すら感じます。戦争の続く国の映像で、街中を戦車がうろうろしているのを目にしたことがあります。本当に恐怖です。日本の平和に改めて感謝出来ました。平和ボケといわれても、それでも悪くないかもとすら思えました。
戦車上後部にカゴのようなものが取り付けられてあり、そこへの試乗ということでした。乗り心地は良くないです。しかし私の心は満たされました。
◇終わりに
「命令があれば、どこでも行く。命をかける覚悟はできている。」という一言を聞けたことが今例会一番の成果でした。
私の今までの生き方を振り返り、今後の生き方に大きく関わる一言だと思います。
100km歩行のレポートの際に、「毎日を平和のうちに過ごすことができているのは誰のおかげか。」と書き、自衛隊例会の参加を表明させていただきました。そして「自衛隊のおかげで安心して生活出来ている。」と強く実感することができた例会となりました。
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