2010年6月 岡山政経塾 体験入隊 特別例会
|
|
◆油田 洋幸(岡山政経塾 八期生)
|
自衛隊体験入隊レポート
『自衛隊体験入隊で得たこと』
1.はじめに
今回、2度目の参加となった自衛隊研修でした。その目的には「日本の安全保障・危機管理の現場を学ぶと同時に、団体生活で規律心・協調心を体得する」とあります。今回もこの目的を頭に入れながら参加しました。加えて、自分の中では「何か新しいことを学んで帰ろう(自衛隊や国防についてさらに理解を深めよう)」という目的意識をもって参加しました。前者に関しては、前回と感じたことはほとんど同じであるので、このレポートに記すことは遠慮します。以下では、今回の自衛隊研修で新しく得たものを記そうと思います。
2.時の人となれ
今回の自衛隊研修では、駐屯地についてすぐに国家を歌いました。そしてその後、矢野中隊長よりお話がありました。その中で矢野隊長は、我々に「時の人となれ」、「目的意識をもて」、「一致団結しろ」と言われました。「時の人となれ」というのは、「(この二日間だけは)自衛官になれ」という意味です。そうすることによって、自衛官とは何なのか、肌で感じて欲しいと矢野隊長は言われました。
私は矢野隊長の部下になりました。前回はなかった意識です。そして、実際に新米自衛官になった私はいろいろなことを考え始めました。特に考えたことは、私に「命を捨ててこい(日本を守ってこい)」と命令する隊長はどんな自衛官であって欲しいか、そして、自分はどのような自衛官になりたいか、さらに、仲間に迷惑はかけられない、ということです。
上記のようなことを考え始めた私の中で、自衛官に対する考えというものが変わり始めました。私は始め自衛官に対して、「戦争の際、戦ってくれる人」というイメージしかなかったが、前回の体験入隊で「底知れぬ体力と命を懸ける覚悟をもった人」というイメージになり、今回の体験入隊で自衛官に実際になったことにより、さらにそれだけではいけない、「人格的にも優れていなければならない」と考えるようになりました。それは理想の政治家像にもつながるものもありました。もしかしたら、あるべきリーダーの姿、というのは政治家であろうと、自衛官であろうと、社長であろうとあまり変わらないのかもしれません。ある自衛官の言葉、「隊長をいうのは、完璧でなければならない、そうでなければ人はついてこない」というのを思い出しました。
3.矢野隊長のものの見方
前回の自衛隊研修では体力をたくさん使いました。今回は頭を使うことと、体を使うことの両方が体験できました。一日目は頭を使いました。まず矢野隊長のお話を聞くことができました。そして事前課題についてのグループ討議がありました。
矢野隊長のお話で気付けたことは、「日本に国家目的があるということは、他国にも国家目的があり、目標があり、戦略があるということ」です。今までどうしてこのような簡単なことに気付かなかったのかと思います。これからは他国を分析する場合、国家目的、国家目標、国家戦略(各種戦略)の順に見ていくことにより、他国をより正確に把握しようと思います。たとえば、「北朝鮮の核問題」についても、それだけをみて議論してはいけないのであって、その裏に隠れている「北朝鮮の国家目的、国家目標」を把握しなければなりません。そしてその上で核問題について把握していかなければなりません。あくまで「核問題」は北朝鮮の国家戦略の一部、軍事戦略でしかないからです。矢野隊長からはものの見方を教えていただきました。
グループ討議では、それこそ国家目的、国家目標、脅威(他国の国家目的)、軍事戦略を考えさせられました。私は去年、政経塾で日本のあるべき姿や政治について考えてきたので、それが活きて国家目的については、すぐに埋めることができました。しかし、目標について、脅威について、軍事戦略についてはなかなか埋めることができませんでした。自分の弱点が浮き彫りになりました。これからも引き続き研鑽を積もうと思います。
4.まとめ
今回の自衛隊研修では、思いがけない感動を味わうことができました。というのも、去年の基本教練などを体が覚えていたことです。たった二日間でしたが、この身に染みついていたのです。引率するときも自然に指揮ができ、明らかな自分の成長を感じることができました。今回のこの自衛隊研修も必ず自分のものにしたいと思います。それが陸上自衛隊日本原駐屯地、第十三特科隊第一中隊の皆さまに対する恩返しです。誠にありがとうございました。また、小山事務局長をはじめ、例会担当の9期生の高原塾生、谷塾生大変お世話になりました。ありがとうございました。敬礼。
|
  |
 |
|