2012年11月 岡山政経塾 体験入隊 特別例会

 
◆小野 裕司(岡山政経塾 十一期生)

『自衛隊体験入隊レポート』




‐始めに‐

 私の自衛隊に対する印象は2つありました。
 1つ目は、私の友達が企業研修の一環で自衛隊に体験入隊した時の感想で、「この世の地獄を見た。」という言葉を聞いていたことによる恐怖です。
 2つ目は、東日本大震災の時、震災直後から全国各地の自衛隊が現地に入り、被災者の救命・支援活動を行っていたことによる尊敬です。
 今回の体験入隊で、どのような自衛隊の一面を見ることができるのか、期待と不安が交錯する中での体験入隊でした。


‐国防について‐

 防衛問題についてのグループ討議の前に、国家目的から防衛が担う役割までの考え方について、一通りの説明を受けました。国家のあるべき未来像を決め、国内外の状況を把握し、国民が危機に晒されないために、あるいは危機に晒された場合、自衛隊としてどのような防衛策、対応策をとるか。自衛隊が自分のたちの役割をしっかりと理解したうえで行動しているのだということを知り、大変驚きました。
 グループ討議では、事前に与えられた課題を元に議論しましたが、私が思っていた国家目的〜防衛が担う役割はほんの一部分に過ぎませんでした。国家目的の1つとして皇室を守ることや、日本への脅威の1つとしてインターネットを使ったサイバーテロの問題があること等、多くの人と議論することで国防に関する知識の幅を広げることができ、グループ討議の大切さを改めて実感しました。


‐組織について‐

 自衛隊は組織の模範でした。組織の成立条件は次の3点だと言われています。
@ 組織と個人が共通の目的をもつこと
 懇親会の中で自衛隊の方が「国民のためなら身体を張れる。隊長から戦場に行けと言われたら行く覚悟は出来ている。」という言葉が非常に印象的でした。組織と個人が目的を明確にしているからこそ、貢献意欲があり、統率の取れた組織を作ることができているのだと思います。
A 個人が組織に対する貢献意欲をもつこと
東日本大震災についての話の中で、震災が起きてから5日後には現地に入り、救命・支援活動をしたという行動の早さや、守ることが出来なかった人に対しても、親族のように大切に扱うということを知り、組織及び国民に対する貢献意欲が非常に高いことに驚きました。
B コミュニケーションが取れていること
   上から下へ:指揮命令、情報伝達
   下から上へ:報告・連絡・相談
 自衛隊に体験入隊してから離隊するまでの間、常に考えたことが上下のコミュニケーションでした。自衛隊員の階級に応じて、上から下へ指揮命令を受ける。仕事が終わると下から上へ報告を行う。当たり前のことですが、ないがしろにせず厳格に行う姿を見て、統率の取れた結束力の高い組織だと感じました。


‐体力測定‐

 高校生以来の体力測定はとてもわくわくしました。私は持久力には自信があり、もしかしたら自衛隊の方にも勝てるのではないかと甘いことを考えていました。しかし、実際に走ってみると、走れることができていた過去のイメージに身体がついていかず、100回の目標も達成できずと、悔しい思いをしました。一方、自衛隊の岡本さんは90回を超えても余裕そうな顔で走っていました。日ごろから鍛錬を欠かしていない証拠なのだと思います。


‐終わりに‐

 自衛隊は、私のイメージとは大きく異なり、本当に親切で頼もしい人ばかりでした。実際に現場に行き、現場で学ぶことは、大変有意義なことだと再認識しました。
 また、自衛隊は「日本の最後の砦」という役割を果たすことができる組織です。そう確信した自衛隊の体験入隊でした。私も自衛隊の意識の高さと組織力に学び、他人ごとにするのではなく、自分にできることを考え、誰かのために貢献できるよう、仲間と共に行動していきます。