2013年11月 岡山政経塾 体験入隊 特別例会

 
◆井ノ本 瑞惠(岡山政経塾 十二期生)   2013/11/22

『体験入隊から学んだ「企業で活かせること」とは・・・』




1.陸上自衛隊日本原駐屯地体験入隊 特別例会に参加して

 今回の特別例会の目的は、日本の安全保障・危機管理の現場を学ぶと同時に、団体生活で規律心・協調心を体得すること。
 日頃、平和であること、戦争がないことが当たり前の環境下で生活している私にとって、自衛隊の存在を意識することはほとんどなかった。しかし、今回の体験入隊、特に精神教育(講話とグループ討議)において、いかに自衛隊員の皆さまに守られているかを知ることとなった。



2.精神教育(講話)

 印象に残っていることばは、松下一等陸尉の「自衛隊は、政治が決めたことに従うだけ。」
本来、政治は民意が反映されているもの。すなわち、国民一人ひとりが、「私たちの国は、私たち日本人が力を合わせて守る。自分たちで責任を持つ。日本の未来は、日本人の責任で創る。」との意識のもと、政治(選挙)に参加した結果である。日頃から政策を理解し、自分の思いを実現してくれる政党、議員を選ぶことが、ひいては国を守る、すなわち自衛隊の活動方針につながっていると感じた。
わが国を取り巻く環境は、ニュースで取りあげられる様々な課題や不安定要因が存在している。北朝鮮のミサイル発射、中国の領空の侵犯や領海の侵入、国際テロ組織の動向、サイバーテロ等、あげればきりがない。国内においても、自然災害を始めとする各種災害が発生している。そのような環境でありながら、防衛費は削減され、自衛隊員も減少しているそうだ。


3.精神教育(グループ討議)

 このような環境下において、私たちの国を守るために私たち自身ができることは何か。それは、まずは、国内外情勢を正しく理解すること。そして、明日だけではなく、5年後、10年後の日本の脅威とは何かを考える。そうすれば、私たち自身が何を考え行動すべきかが見えてくる。
今回のグループ討議では、10年後の世界におけるパワーバランスが二極化した場合と多極化した場合の2つのモデルについて、日本への脅威を考察した。考察するにあたり、自衛隊員の方にも同席いただき議論したことは、自分の気づかない観点に気づくなど、大変有意義であった。しかし、その考察結果が正しいか正しくないかが問題だったのではなく、日頃から国内外の情勢に関心を持ち、自分たちの生活に結び付けて考え、日本の国益・国家目的を実現させるために自分がなすべきことは何かを考えるきっかけをいただいたのだと感じた。

4.自衛隊員の意識について
自衛隊員のみなさんは、「目に見えない国民の安全」を守るために、日頃から国内外の情勢を理解し、身体を鍛え、訓練を繰り返し、有事に備えている。
この度、自衛隊員の宣誓を改めて真剣に読み返してみた。
服務の宣誓「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法 及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」
このことばは、決して紙に書かれただけのものではない。
ある隊員の方は、死と隣り合わせの仕事であるため、遺書を遺しているとのこと。しかし、それは「死」を恐れているからではなく、国民の負託にこたえるためには、いつ何時自分の身が危険にさらされるかもしれない。その時に遺されたものたちが悲しむことがないよう、自分の思いを理解してもらえるようしたためているのだそうだ。
長年の訓練により培われたものであるとは思うが、松下一等陸尉のことばが、今も耳に焼きついている。「−自分が危険にさらされても、国民を守りたい−」
私たちは、この崇高な精神をもつ自衛隊員の皆さまに守られていると実感した。

5.今回の体験入隊で学んだことを今後に活かす
自衛隊の課題は、「終わりの見えない仕事をいかに行うか。」それは、目標管理の重要性であり、日々の目標管理をいかに行うか、そして、達成感をどのように付与していくかであるそうだ。また、防衛出動任務でなくても、有事(戦争)と同じ指示で訓練を行っている。そして、自衛隊員は、「服務の宣言」を行っており、常に国民の負託にこたえるのである。
これらは、企業にも当てはまると感じた。「目標管理の重要性」、「リスク管理を前提とした反復訓練の重要性」、「責務の完遂」。
今回であった自衛隊員の皆さまの足元にもおよばないが、私にできることは、社会人として企業人としての自分に与えられた業務にまい進すること。そして、国内外情勢を正しく理解し、日本の脅威とは何か、私たち自身がどのように行動すべきかを考えることだと思う。
今後、岡山政経塾の卒塾論文に取り組むうえで、そして、社会人として責任ある行動をとるうえで、心に留めておきたいことをたくさん学んだ2日間であった。

6.最後に

 今回、私たち12期生が体験入隊をさせていただくにあたり、休日返上でご指導くださった自衛隊員の皆さま、関係者の皆さまに心より御礼申しあげます。
以上