2004年 直島特別例会

 
◆大西 平一(岡山政経塾 二期生)

岡山政経塾直島例会レポート



はじめに
 直島例会に参加させて頂き、今回も楽しくもあり考えさせられた研修となった。昨年に比べると気負いがなくなったのもあったのか、直島の風景を身近に感じ、数々の作品に心が解放された。そして、講師・政経塾生一人ひとりの言葉を、より受け入れる事ができたように思う。

地中美術館
 安藤忠雄が作った建造物で、足を踏み入れたものは5つ目になった。地中美術館には今までと違う不思議な感覚を覚えた。安藤忠雄の得意とする景色を切り取る事よりも、ひときわ闇と光を意識した作品になっていたからであろう。地下に潜った美術館であるのに暗く湿った感じは一切なく逆に、暗がりがコンクリートの冷たさを隠し、温かい日の光を際立たせていた。まるで障子を通した光のように優しく、ほのかに道をつくっていた。次に、私たちは箱庭をぐるりと廻るように下りマリアの部屋へと向かった。
 扉のない縦長の入り口を抜けると巨大な白い空間が広がっていた。背丈の2倍もあるだろう、黒く輝く玉が部屋の中心に鎮座していた。天井は高く、ゆるりとしたカーブを描く天板があり、ここからも日の光が淡くもれ、私たちの上に降ってきているかのようだった。壁には金色に輝く柱が4,5本ずつ組みになって立っていた。黄金の柱に光の粒子があたりまるで音楽が聞こえてくるようだった。じっと立っていると胎内にいるかのような優しさに包まれた。
 モネの作品を展示した部屋も白一色で統一されていた。しかし、白といっても近づいてみるとそれぞれに違った表情が見えてきた。床は消しゴムくらいの大きさの大理石がひきつめてあり、灰色・黒色が乳白色に溶け込んでおりそれぞれの石が違う表情を作っていた。また壁は漆喰で出来ており、手塗り独特のむらがあった。非均一な白色が空間の境目を曖昧にし、広がりをもたせていた。「睡蓮」は白いキャンバスの水辺に浮いているかのようだった。水辺の光・風の音と睡蓮の香りを感じ、心が洗われるようだった。
 3つの作品ともに、都会で感じる孤独、徒労、焦燥などの世界(文明)との違和感がなくなり、自分が世界(地球)に既に受け入れられている、世界(自然)の一部なのだという印象を受けた。
 今回、タレルの作品は見る事が出来なかったが、ぜひもう一度来て4作品をゆっくりと見ようと思う。

福武幹事・石井県議・古山塾頭のお話
 昨年に引き続き、人生をかけた闘いをし続けているお二人の話を聞き、その熱意と生き方に感銘を受けた。酒をかわしての討議で、古山塾頭から政治を志す人間は命をもかける気構えが必要だとのお話があった。なぜなら、脅迫があったとき、判断を見誤らないためだと。3人のかたに共通しているのは、自らの人生・命を賭して世界を変革していく志と行動であった。これから私も少し時間をかけて、この二つを考えて行きたいと思う。

あとがき
 福武幹事・石井県議・古山塾頭には講義していただきありがとうございました。逢沢幹事におかれましては参議院選挙の忙しい中、参加して頂き身の引き締まる思いでした。小山事務局長、幹事をされた恒本さん・野田さん、とても楽しく内容のある研修をありがとうございました。

余談:昨年の直島の事件!?以来断酒一年の目標を達成し、先日ワインを飲みました。五臓六腑にしみわたりました。ご協力頂いた皆様ありがとうございました。