2004年 直島特別例会

 
◆井本 新士(岡山政経塾 三期生)

直島合宿レポート


 直島と豊島には過去、それぞれ一度ずつ訪れたことがあった。前回の直島ではパオで酒盛りをし、美術館を見学するわけでもなくビールを飲み過ぎたせいもあり、ほろ苦い経験が残っていた。

 それだけに今回直島へ参加させていただける機会を与えられ、私の中でも意気込みが違った。参加するにあたり、自分の中に「何を学びたいか」をキーワードとして投げかけて参加した。

 福武幹事講演の席上、木村尚三郎氏を紹介されていた。木村氏は「文明」と「文化」の違いについて次のように表現している。高度成長期は都市型の「物質文明」「技術文明」を象徴する「文明」を追い求めてきた。これからはその土地独特の生き方つまり「文化」へとシフトしていく。「物質文明」から「精神文化」へ。「都市型文明」から「地域文化」へと。

 福武幹事が直島でされている事業は彼の言葉を具現化させたのではないだろうか。私は直島の文化をいかし、自然と調和を考えて作られているこの事業に非常に共感を覚えた。また展示している作品について今改めて思い返すと現代に生きている作家でならなければならなかったように思える。なぜなら時代がシフトしていく今を生きている人たちの思いを表現している場、そのシンボルが直島ではないかと考えるからだ。



 豊島では過去訪れたときのようにゴミの上に立ち、黒い水が流れ出ていた光景をリアルに感じることはなかったがそこには処理施設、産廃を覆う大きなシートが目につき、非日常の世界が広がっていた。石井県議の話から、私が生まれた1975年12月からゴミが捨てられ始めたことを知った。長きに渡りゴミ問題と格闘されてきたわけだが、もちろんそこにすまれている方々の生活権の問題もあり、根底には世代を越えてシェアしていきたい思いがあることを感じた。同時にその思いを伝えていくことの必要性も教えられた。



 直島に参加後、冒頭に書いた「何を学びたかったか」のキーワードに答えられる解答は見つからず、結局二日間に渡り研修したことは何だったのか理由付けができず、帰宅後、悶々としていた。

 そうした中、松下幸之助氏が書かれた書籍に目が止まりひもといてみた。

「自修自得」:自問自答し、自ら問題を提起し、自分で答えること。

 研修に参加した意味が理解できたように思った。結局教えてもらうことばかり、奪うことばかり考えてキーワードを投げかけていた自分に気づかされた。しかし結局、答えは自分の中にある!

 最後になりましたが、講師、松下政経塾生、岡山政経塾の幹事、先輩、同期生、また直島、豊島でお世話をして下さった方々、担当塾生のみなさまには本当にお世話になりました。心より感謝しています。ありがとうございました。