2004年 直島特別例会

 
◆柿本 貴子(岡山政経塾 三期生)

直島例会レポート



 ひとつ、ひとつの手順を踏みながら物事を進めていく〜ある種、儀式のように、当日は家→駅→切符購入→電車に乗る→流れる景色→宇野→港→乗船と徐々に直島に近づいて行きました。ホームページを見たり、事前にしたことを含め、その過程をひとつひとつ進むにつれて少しずつ日常〜種々のしがらみのようなモノ達〜から離れていく気がしていました。
 そう感じていたせいなのか、直島例会での出来事がストレートに響いたと言うか、より素の自分で受け止められたのではないかと思っています。

 まず、専用桟橋に船が着き、すぐ目前には作品。ベネッセアートサイト直島のスケールの大きさに素直に驚きました。
 家プロジェクトは、古い家を一方的に遺そうとするのではなく、古い物とは異質な素材を取り入れたり、地元住民の参加した作品にする事で関心を持っていただき、より理解を深める。そんな姿勢が伝わって来ました。
 今回の例会で唯一、残念だなぁ。と思ったのは、美術館の見学でした。現代アートなるものを解説付きで見て回ったのは今回が初めてでした。作られた背景や意図を聞くことができ、とても有意義だったのですが、解説無しで見た時に自分がどういった受け止め方をしたのか、そして解説を聞いてそれがどう変化するのか。という点で、例会前に一度自分で見ておけば良かったと思いました。
 また、オープン前の地中美術館では圧倒されっぱなしでした。中でもモネの展示室。作品も含めて展示室の「空間」そのものの迫力は言葉にするとわざとらしい気がして、うまく表現できません。もう一度、ゆっくり、時間をかけて訪れたいと思います。

 福武幹事のお話では、見抜く力を持ち、転換期を迎えた現代社会の中、流されることなく確固たる「自分」を持つこと、常に問題意識を持ち、「よく生きる」こと。
 石井香川県議のお話では、豊島の産廃にまつわる様々な環境のこと。次世代へ何を遺せるか?と言った倫理的なことまで。
 お二人の話を筆頭に、懇親会・分科会に別れての討議、また先輩方や古山塾頭・逢沢幹事のお話、と何のためにここにいるのか。政経塾に参加し、勉強して活動することの目的・意義について、改めて考えさせられました。これから、分科会に別れての活動が始まるというこの時期に必要なことばかりだったと思います。
 また、豊島の産廃60万トン(実際は51万トン程度と聞きましたが)の山を間近に見ましたが、想像を超えていました。汚染された水の処理施設も見学させていただきましたが、どちらも気の遠くなるような時間をかけてこれから処理されていくのだということはわかりましたが、ひどい。といった言葉に尽きる気がします。その状態にめげず活動し続けた豊島の皆さんの心意気やパワー、そして労力は計り知れません。
 石井県議の「ごみ問題を始め環境問題は、人々に如何に自分の問題として捉えてもらえるか。が重要」という言葉は非常に重く感じられました。

 非常に、盛りだくさんな直島例会でしたが、かえって考える時間がたくさんあったような気がします。日ごろ話す機会が少ない一期生・二期生の皆さんとの距離が一挙に縮まり、直接アドバイスをいただいたり意見を聞いてもらえたり。色々な意味で充実した例会でした。