2004年 直島特別例会
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◆加来田 博貴(岡山政経塾 三期生)
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直島例会レポート
「アイデンティティーの大切さ」
石井県議は、なぜ豊島のごみ問題に取り組もうとしたのだろう。福武幹事は、なぜ瀬戸内海を愛し、街づくりに真剣に取り組まれているのだろう。なぜ、サンポート高松のボランティアの人たちはあのような活動に取り組まれているのだろう。岡山政経塾に集う我々は、どうしてまちづくりや社会問題、国づくりなどに取り組み取り組もうとしているのだろう。
人は、その答えを「好きなことだから」というかもしれない。でも私は、その行為は手段であって、好きなのはその行為以上に、対象としている「まち」や「地域」、「国」ではないかと思う。「まちが好き」、だからそのまちに何か問題が有ると解決しないとすまない、「まちが好き」だからその町がいいと思えばそのことを自慢する。活動への憧れ以上に、「まち」や「地域」、「国」が『好き』と言うことが、その行為の「原動力」ではないかと思う。
ではなぜ我々は、「まち」や「地域」、「国」が『好き』なのだろう。また『好き』とはどういうことなのだろう。私は、自分に関わる「まち」や「地域」、「国」に『己の原点』を感じ、その原点をしっかりと『支えたい、守りたい』という思いからではないかと気付かされた。
今回の直島例会では、地域問題、まちづくりに取り組まれている方々と接し、その思いを実感させられた。携われた誰もが、地域が好きであり、その地域をなんとか輝かせたい、そのために「どうすればいいか」を模索しており、今回見学させていただいた、直島、豊島、高松は成功した例と受け止めた。
そこで考えさせられたのは、「どうして成功できたのか」ということである。まちづくり、地域発展の例を見ると、多くの場合いわゆる「箱物」で装飾し、それが地域の「本質」とかけ離れたものとなり、出来立て当初はいいものの、長続きしないのが落ちのように思う。しかし、今回触れた例は、この地域の本質、アイデンティティーを見つめ、『アイデンティティーと時代の調和』により成功しているのではないかと感じた。
私は、教育のあり方について学ぶ目的で、この岡山政経塾に入塾した。その目的をいかに達するかを考えたとき、教育分科会に携わり、教育現場について内観してみることを考えた。しかし、同様なテーマばかりを扱うと、壁にぶち当たったときにそれを解決するすべがない。普段出来ないヘテロな思考が重要と考えた。あらゆる分野の方々と接することが出来る、ともに刺激しあうことの出来る「場」を最大に生かし、一見教育とは程遠いように見える経済や政治を、教育の写し鏡として眺めてみることがいいのではと考えた。教育を考えるために教育に携わるだけでは、「井の中の蛙」になるという恐れ、さらに虫観的視点を鳥瞰的視点にすることで、「世界における自分の位置、自分は何をすべきか」を考えるべきだと考えた。しかし、「思考の世界」だけに生きると、現実とのギャップ、はたまた「自分は何をするためにここにいるのか」を見失うことにもなる。これを政経塾は許さないだろう。
これから、岡山政経塾の政治経済分科会で学ぶことになるのだが、私はこの直島例会で気付いた「アイデンティティーの大切さ」を一つのキーワードとして、「現地現場主義」で追求していきたい。「日本のアイデンティティー」をテーマに、未来の日本を考えること。「風土と文化」を中心にしよう。この国のアイデンティティーを追及し、この国の潜在力、他の国にない魅力を再認識したいと思う。そしてこれをもとに、「世界が認める日本」を考えてみたいと思う。これこそが、世界で我々が生きていくために、愛す日本を守るために必要であり、「教育」に必要なことではないか、と考えている。
最後に、この機会を提供してくださいました岡山政経塾、運営を支えられた小山事務局長、運営幹事の恒本氏、野田氏、直島文化村、豊島、サンポート高松のボランティアの方々に厚く御礼申し上げます。また貴重なご講演をいただきました福武幹事、石井香川県議、お話をくださいました逢沢幹事、古川松下政経塾頭に感謝申し上げます。
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