2006年 直島特別例会

 
◆杉本 倫美 (岡山政経塾 五期生)

「瀬戸内海に浮かぶ小島から世界へ
    ーメッセージを世界へ伝えた人々ー」



はじめに
 岡山政経塾の行事に参加する前日はいつも、何かしらの緊張感に襲われる。憲法第14条すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地(もんち)により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない、とあるが、岡山政経塾においてはまさに、その通りであるから(塾生は全て平等であって、人種、信条、性別等で差別されないから)私は、1人の人間として全ての言動を評価されるようで緊張してしまうのだ。勿論、この直島合宿前も緊張しながら、宇野港からチャーター船に乗った。

世界が直島に注目する
 (財)日本総合研究所会長(財)社会開発研究センター理事長、多摩大学名誉学長の野田一夫先生が以下の文章を書かれていた。岡山に拠る超優良企業ベネッセコーポレーションの若き創業者福武総一郎君は、80年代後半誰にもその計画を諮ることもなく、この島の南端に位置する風光絶佳の海岸と森65万坪を買収しました。そして92年、その中核となる施設「ベネッセハウス」が安藤君の設計で完成したのを機に、雄大な芸術プロジェクトが本格的に開始されたのです。(中略)福武君の男のロマンに対する深い敬愛の念も、改めて沸々と湧き起こってきました。
 今や、世界中から観光客が訪れるようになった直島。その観光客の中には、著名アーティスト達が何人もいるというから、この直島が世界に発したメッセージ性というものがいかなるものか、おわかりであろう。

豊島(Teshima)から世界に訴えるゴミ問題
 1978年から13年間、悪質な事業者により世界でも過去に例を見ない大規模な産業廃棄物の不法投棄が行われた「豊島事件」は、全国的・世界的に、「豊島(Teshima)」の名を知らしめることになった。その話を、過去の話ではなく、現在進行形の話として一言一言を噛みしめるように強く語る香川県議会議員の石井亨県議、豊島住民の安岐さん。彼らが県や業者を相手取って、自らのお金や人生をかけて、3億2千5百万8千円の賠償金と平成28年度末までに、廃棄物等を豊島から搬出するとともに、廃棄物等の搬出のための施設等を豊島に設置するとの合意を得るまで戦ったのだ。彼らの郷土を愛するメッセージは、豊島の次世代のみならず、世界中、何世代にも渡って受け継がれるであろうと思う。
 
最後に
 この度の合宿参加者の皆様と時を同じくするだけでも、私には、得がたい経験であった上に、直島ベネッセハウス、豊島の産業廃棄物不法投棄現場を見学し、講師陣から生の声でお話を聞くことができ、岡山政経塾の洗礼をまた一つ受けさせていただいたような高尚な気持ちになった。そして、今の私は、名もなき小島であるが、入塾式で誓った何世代にも受け継いでいけるような岡山のため、世界のためとなる志を立てるという目標を達成し、姿は小島でも世界にその志が届くような小島になりたいと改めて心に誓った。