2006年 直島特別例会
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◆藤田 信康 (岡山政経塾 五期生)
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直島・豊島合宿に参加して
初めて訪れた直島は、穏やかな心の時間を与えてくれました。
こんな近くにある小さなひとつの島に、瀬戸内の自然・現代アートが共鳴し、癒しの空間とは何かを訪問者に提案していました。
自然と建造物の空間の使い方、時間と共に変化する絶妙な自然光の使い方、そしてテレパシーの様に直接脳に伝わる不思議な光のアート…
島全体がひとつの美術館といえる壮大なスケールを感じました。
私も趣味で少々水彩画を描きますが、久々に本物のアートを心で感じました。
観光産業をテーマに考えるときこの直島の姿は、ひとつのアプローチの像として非常に大きなヒントになると感じました。
そして豊島では、メディアを通して知っていた知識と認識が、事実のほんの一部だということを改めて感じました。
自己中心的で非常識・粗暴な産廃業者や、監督・指導すべき立場の行政の怠慢や現実逃避との長い戦い…。それは産廃処理場ができる遥か以前からの長い戦いがあったこと…
石井議員や安岐氏の熱く語る姿から、この問題がメディアに取り上げられ社会に認識されるまでの長い時間、非を認めない業者や行政、事実を把握しないで批判する人、島内の意思統一やモチベーションの持続など、想像を絶する多くの苦労や苦悩があったことに、業者と行政に対する激しい怒りと、やり場のない悲しみに心が震えました。
なによりも多くの問題を乗り越え、未来のために前向きに歩もうとする安岐氏をはじめ関係者方々の姿勢に敬意を感じました。
一度は死んだ海岸に、カニや海草、イカが帰ってきたことに純粋に感動し、自然が自ら回復しようとする力に涙する安岐氏の姿に熱いものが込み上げてきました。
第2の豊島を作らない為に、この闘いの歴史を残し、多くの人に伝えていくことの重要さを感じました。
人から聞いたり文章を読んだりするよりも、実際に触れ合い体感する事の重要さを自らのNPO活動でも感じていますが、是非一人でも多くの人に豊島に訪れて欲しいと心から願います。
思えば、美しいアート空間・直島を造ったのも、私利私欲のために自然を破壊した業者も同じ人間です。すべて「人」の問題なのです。
教育分科会のメンバーとして、人間教育・道徳教育を考えてみたいと改めて感じた非常に有意義な合宿でした。
最後にこのような機会を与えていただいた岡山政経塾と関係者の方々に感謝いたします。
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