2006年 直島特別例会

 
◆前 秀美 (岡山政経塾 五期生)

「メッセージfrom アイランド」




○直島合宿例会担当
 源さん、三宅さん、私の3人で直島合宿例会の担当をさせていただいた。例会の担当でありながら、担当者として思ったように働くことができませんでした。私の主な役割は、点呼と司会でした。松下政経塾生、講師の方々を前に、私の司会が本当に拙く、恥であり、反省の気持ちで一杯です。次に、マイクを持つときがやってくれば、上手に進行できるように成長しようと誓いました。

キーワード:
「ゼロの気持ち」無になり、自分がとらわれているものに気付かなければない。
「メッセージ」誰に何をどんなふうに伝えるか。本質をとらえてキャッチする。

○直島
 アートサイトを訪れた。すべてが私のココロを動かし、興奮させた。そのうちのひとつにイエプロジェクトがあった。アートになる前の古屋は、あまりに古く使用する人もおらず、取り壊されるところだったそうだ。それは安藤忠雄に手によって、人間の身体に起こる原理を活かしたアートへ変身した。「古いものは壊す」というとらわれを外さなければならない。「壊す」ものではなく、「残す、生かす」ものである。また、ここでは、暗順応の不思議さを感じ、自分が生き物のひとつという実感がした。
 美術館では、作者が何を伝えようとしているのか、自分がとらわれているものを外してメッセージを感じようとした。気持ちが動くことが、アートであり、それは退屈な常識にとらわれているとなかなか感じることができない。アートを楽しむためには気持ちをゼロにする冷静さと夢中になる情熱を持ち合わせなければならない。
 そういった面で、私は、福武幹事が非常にアーティスティックな人物であると感じた。福武幹事は、講義中「宝を探す力、本質を見極める力を鍛える」「人生とは『メッセージ』である」とおっしゃっていた。この有名な経営者は物事を客観的に分析することのできる冷静さと本質(メッセージ)を見極めたときに懸ける情熱は並たいていなものではないと感じた。

○豊島
 石井県議会議員、安岐さんの話に感嘆した。あの気持ちを表現する言葉が見つからない。彼らにとって30年間1日1日が戦いであり、戦い続けている人間の目は、とても強く、私達の心に訴えるメッセージがあった。目先の利益にとらわれた人間が引き起こした悲劇を二度と繰り返してはならない。
 豊島の海岸沿いへ行ったとき、潮の香りがした。涙が出てきた。この香りがするまでたくさんの血と汗と涙があったのだろう。私はこの潮の香りしか知らないが、30年前には、この香りを想像することはできなかったに違いない。
安岐さんが「調停がやっと結ばれました」と言って喜びを伝える顔と、「イカの親子が豊島に帰ってきたんです」と言って喜びを伝える顔が同じであった。というより、イカが帰ってきたことのほうが嬉しそうに見えたことに、私は衝撃を感じた。この方は、本質が見える人間なのだと感じた。くたびれたTシャツで、汗を一杯に流しながら、私達に一生懸命に豊島について語ってくださる安岐さんがとてもかっこよかった。
 豊島が本来の豊島でいられるように、生き物たちが早く帰ってくるように、世界のどこにもこのような悲劇が決して起こらないように、私たちは生命を伝えなければならないと感じた。
 直島・豊島もそれぞれ雰囲気の違う島である。しかし、両島とも伝えるべきメッセージを持っている。「生命の声」を感じた。

 この合宿で感じた「メッセージ」と「ゼロの気持ち」をずっと心におき、冷静と情熱を持ち合わせることができるよう成長していきたい。
直島合宿レポート