2006年 直島特別例会
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◆山中 啓之(財団法人松下政経塾 第二十六期生)
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「直島賛歌」
ありがとう直島、そして岡山政経塾!
・・・今あまり時間に余裕のない方は、ここですぐにこのレポートを読むのを止めて構わない。この最初の一文が今回の直島例会で私が感じた事全てであり、私が言いたい事はこの一文に集束されているからだ。
透き通る、海。刻々と表情を変える、島々―――やっぱり自然の力には敵わないな、と率直に思った。
私の政経塾でのテーマは、地元・千葉県松戸市発の「住みよい街づくり」である。しかし、直島に来て「本当に豊かな生活とは何だろう」と改めて考えさせられた。もはや理屈ではない。この島の魅力を理屈で言おうとすればそれなりに言えるけれど、きっと陳腐なものになるからそれはしない。心が欲する島、そんな印象を持ったのが直島である。海の流れに身を任せて受動的に自然を楽しみながら癒されることもできるし、能動的にアートを楽しむこともできる、そんな遊び心満載の島。それは福武氏のお話からも感じたことである。氏の講話中の「行政に頼らず、自分達で、世界から注目される街をつくれ」との言葉が今も心に刻まれたままだ。私の街づくりのキーワードに、『心で愉しむこと』が追加された。この島にはもっとゆっくり滞在する必要がある。また訪れよう。ここには人間を元気にするヒントがたくさん隠されているからだ。このヒントを松戸にも…いや、日本中に活かしたい。
また、次に訪れた豊島でも私は多くのものを得た。私はどうしても一つの地方自治体として街を眺める癖があるため、豊島もついその観点で見てしまう。すると豊島は、いわゆる‘豊島問題’で有名な島である。だが実際に島を訪れて私が強く感じた事は、長期にわたる産廃問題を抱えつつも、むしろ豊島ではその事で島民が一致団結して「自分達で何とかせねば!」という気概が脈々と持続していることである。皮肉ではなく、いわゆる政治的に無関心層が多い都市型の自治体を多く見てきた私には、羨ましいとさえ思った。
『海の匂いが帰って(=還って)きた』と語る安岐正三氏からは、悲しみと怒りが、喜びに変わっていく瞬間を見た気がした。これがきっと人生の大切な部分なのだと思う。
そして最後に、岡山政経塾の方々との出会いは非常に新鮮で、なおかつ刺激的だった。お世話になった皆様に御礼を言いたい。本当にどうもありがとうございました。
直島例会から松下政経塾に帰ってきた今、湘南の海岸を見ながら瀬戸内の海を思い出す日々を送りつつ、筆を置く。
7月吉日 松下政経塾寮にて
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