2007年 直島特別例会

 
◆今井 裕之(岡山政経塾 六期生)
直島例会レポート
   【 〜五感を越えて直感(素直)に生きる〜 】



1.はじめに
 【直なお】を広辞林で調べると、@まっすぐなこと。A平凡。Bそのままのさま。とあります。 直島は、まっすぐな島、平凡な島、そのままのさまが残る島 なのでしょうか?直島の2日間は、新しいことを学んだというよりも、もともと自分の中に持っていた正しい価値観、楽しい感情、嬉しい感動体験を、5感を通して思い出させてくれる時間と空間であったと思います。本来、すべての人間が持っている、「直感」。これを磨くために、五感を活性化させ、自然と人間との関係を考え直す貴重な機会を与えていただきました。過去も未来も受け入れ、今に生きるヒントを、理屈を超えた感性(アート)の世界を、五感を超えた直感の世界を直島から教えていただきました。

2.ハードとハートの組み合わせ「家プロジェクト」に学ぶ 
 全体的に、「家プロジェクト」から感じたものは、至る所にハード(家、建物、物体)とハート(思想、ビジョン、)の組み合わせがあり、そこにたくさんの豊かに生きるヒントをいただきました。 闇から光を見る。光から闇を見る。見ているもの。見えているもの。見させていただいているもの。見えていると思っているもの。本当は、存在しないものもあるということ。色を変える。数字を変える。形を変える。香りを変える。光の量を変える。言葉を変える。環境を変える。組み合わせを変える。考え方を変える。見方を変える。視点を変える。ひとつの事象、現象をさまざまな視点から考えるということを体験し、学びました。

3.自然と人間の融合を考える 地中美術館
自然と人間との関係を考える美術館。瀬戸内の静かな自然が発するリズムと、その場に最もふさわしいアートと空間の中で人間の知性と感性の刺激を体感する場所。クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレル、安藤忠雄の4名の作品から感じたことは、光と空間の組み合わせをうまく使って、今までの常識的な美術館での作品鑑賞では考えられない、驚きと発見がありました。自然の光を使った幻想的な照明、空間をふんだんに使った開放的な空間を通じて、視点を変えてみるとさまざまな角度から作品を鑑賞でき、自然をアートに組み込んだリアリティースペースからは、自然のありがたみを教えてくれる体験を通して、心も身体も魂も感動するという体験をさせていただきました。

4. 「世界一思考」福武總一郎幹事との出会いに感謝
 あるものを壊して、新しいものをつくる東京に対して、あるものを活かしてないものをつくるという考え方に始まり、思いや志だけではなく、事実(基礎データー)を知り、背景、歴史を大切にする、地域の幸せを考えた地域の街づくり、人に元気を与え、地域を元気にするために「現代美術」を手段として活用する、言ってることとやっていることを一致させる、世界が感心する人材、企業をめざす「世界一思考」、国際人育成の手段としての教育改革、脇役を主役にするためのシナリオ力、経済活動による利益の還元(活用)先が大切であるなど共感、共鳴するお話ばかりで、ますます福武会長の世界観を学び、地域に貢献していきたいと本気で思いました。あらためて、福武幹事にご縁いただけましたことに感謝申し上げます。心を込めて。

5. 「ステキ発見」北川フラノ氏との出会いに感動
 印象に残ったキーワードですが、基準は、子供が楽しめるかどうか、地域にお金の落ちる仕組みづくり、ステキ発見プロジェクト、文化と歴史を考えた街づくり、五感を通したライフスタイル、生活の体感・体験、おじいちゃん・おばあちゃんがわかる基準が大切などでした。 はじめてお会いした北川さんですが、新潟出身でもあり、共通の知人もいたりして、とっても嬉しい感動的な出会いでした。
 
6. 現実の足元を見せていただいた豊島事件と石井亨先生
 石井先生のお話から伝わってきたものは、「責任の所存の追及」と「無責任な行政への憤り」です。これは、国や行政に限らず、会社、家族、団体などにも言えることなのだと思います。豊島の現場を見て、本当に生々しく衝撃的でしたが、これが日本の現実であり、その責任は、人事ではなく、自分にもあるという認識しました。本当は、見たくない負の現実を全て受け入れてこそ、本当の理想の未来作りがあるのだと、現実から目をそむけては、いけないのだと強くメッセージをいただきました。
 
7. 政治の現状とメディアリテラシー
 渡辺大臣のお話をお聞きする中に、短時間で、問題の本質を語り、的確な原因を分りやすく説明し、未来の展望を語ることで、納得して安心感が生まれていく感情がありました。年金問題、複数システムの問題性、天下りバンク、予算と権限の集中化、オンライン化の弊害、負の遺産のお宝化、一転突破全面展開、ふるさと納税、地域活性化、行政改革の展開など引き込まれるお話ばかりでした。ジャーナリストの方は、TV、新聞などのメディアは、意図と役割を持って情報発信しているので、まず疑い、感性を磨いて情報を取るようにというアドバイスは、非常に参考になりました。 昼食のときに、感動のあまり、福武幹事に「内容が濃すぎてもっと聞きたいくらいでした」とお話ししましたときに、「それでは、君たちの考えるスペースがなくなる。あとは、現実の足元を見に豊島に行って考えなさい!」とおっしゃっていただき、理想(ビジョン)と現実(リアル)と両方見なさいということを最後に教えていただいたのだと思いました。理想(明るい未来)と現実(現状の課題)を考え、自然と共生し、素直に生きるヒントを直島は、教えてくれているのだと感じました。

8. 最後に 
 2日間、直島例会に楽しく参加させていただくにあたり、福武幹事をはじめとする岡山政経塾の幹事の皆様、北川プロデューサー、石井とおる先生、小山事務局長、松下政経塾よりご参加のみなさま、岡山政経塾のOBの皆様、例会担当で下見や準備にあたっていただいた、春名さん、丹生さん、伴さん、そして、たくさんの体験と感動を分かち合わせていただいた6期生のみなさんに心より感謝申し上げます。