2007年 直島特別例会
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◆大原 祥正(岡山政経塾 六期生)
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直島合宿レポート
なぜ【直島例会】?
1. はじめに
『どうしようもない国になってしまった』
『最も大切なことはよい地域をつくっていくこと』
『個人が幸せになっても本当の幸せはつかめない』
講演開始早々のメッセージである。
岡山政経塾のカリキュラムに、なぜ【直島例会】があるのか?
なぜ、直島・豊島まで私たちを連れて行くのか?
それぞれの島に入り、直島から受けた思い、豊島から受けた現実に実際に触れることで、解ることがある。講演を聞き、そして現物を見る。まさに五感を働かせての体験である。
2. 島に入って
直島より:
1800年代、欧米人を感動させた瀬戸内海の風景観は、経済成長とともに負の遺産を抱えて変貌してしまったところがある。直島はかつて亜硫酸ガスの島といわれ、そうでない島へ戻すまで10年の時が必要であった。
そこから。自然と芸術を調和させた開発構想は、「経済は文化」という“強い思い”のもとで、見事に具現化された。直島には多くの人々が訪れるようになった。それだけではなく、島のおじいさんおばあさんたちが元気になったそうだ。
超高齢社会、人口減少社会が急速に進む今日、『最も大切なことはよい地域をつくっていくこと』の具体的な実例がそこにあった。
豊島より:
言わずと知れた産業廃棄物不法投棄事件の島。しかし、知らない人は意外と多い。時間が経過しているからだ。
「誰のための自治体か」「住民の言うことを聞かないようにできている自治体」信じ難い現実があった。大半の税金を国が徴収し、官僚中心で法律も予算も国が作る。自治体は運用マニュアルまで付けて下りてきた予算を事務執行する。国の方を向いて行政を行っているから、住民の意見を聞かない。
産業廃棄物不法投棄の違法操業が長きに渡り続き、今なお、その汚染物質の処理が続いている。そこには、物事を考えることなく作業に徹し続けた行政の証があり、それは、『どうしようもない国になってしまった』現実のひとつであった。
3. よい地域をつくっていくために
現代美術は素晴らしい作品の良さを理解することが重要なのではなく、見て感動したその人それぞれの感性に委ねられることが重要であるという。そして、“感動を受けた人は、今度は自分なりに創造してみること”が大切であると教えられた。
自立と創造と挑戦へのメッセージである。
国から地方への税源移譲が行われている。今年から住民税(地方税)の負担を重く感じ
るようになった。その分所得税(国税)は減ったと国も地方も声を揃えて合唱している。
所得税は1000兆円を超える借金返済と利息の返済にもあてられ、住民税は平成の大合併により、何処の誰がした借金かわからない借金の返済にもあてられている。
将来の為に税金は遣われない。
今後人口は減り、税金はますます増える。どうすればよいのか。課題は多い。
この国に、この地域に住む以上、納税は義務である。ならばそれがどのように遣われているのか、しっかり検証する必要があるのはもちろんであるが、この際、“よい地域をつくっていく”ために、納税の仕組みを変える必要がある。
4. おわりに
2010年、瀬戸内海を舞台とした国際芸術祭が計画されている。直島から発信された自然と芸術を調和させた文化が、瀬戸内海の島々へ伝えられる。豊島も含まれている。よい地域が広がっていく期待がある。そして元気な人が増えそうだ。
【直島例会】は岡山政経塾設立趣意書にある、「地域から日本を変える」「地域から日本をよくしていく」という理念を追求した実例を私たちに見せました。
人間が幸せに生きていくために経済活動は不可欠であり、今後ますます他国との競争も激しくなっていく。私たちはその中で生きていかなければならない。
しかし、同時にいつも確認し続けなければならないことがある。
それは、
「経済を目的化してはいけないということ」
そして、
「後世の邪魔をしない生き方をすること」
である。
今後、経済分科会に所属し、自分の考えを発信し、メンバーとともに議論をおこなうことになる。
『個人が幸せになっても本当の幸せはつかめない』
“地域で幸せになっていくことが大切であり、最も大切なことはよい地域をつくっていくこと。そして地域づくりの公式は高齢者の笑顔づくりである。”
この【直島例会】で学んだ教えを基に、単に金儲けとしての経済ではない経済を、分科会に於いて捉えていく所存である。
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