2007年 直島特別例会
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◆春名 宏司(岡山政経塾 六期生)
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直島合宿レポート
「全ては人が作り出す。」
直島例会ではトータルプロデュースされた現代アートに触れ、講師の方々の講演を拝聴し、そして豊島事件の現場、豊島を見学した。まず一番に思った事は良くも悪くも全て人の手によって作られたと言う事だった。
直島は今や世界に発信できるアートの島となっているが、直島に現代アートが映えるのは、そこに日本の原風景があったからではないか。懐かしさと斬新さの対比が両方の良さを引き出し、更に高みに押し上げている様に思える。北川フラム氏の講演からもそれを感じた。直島と同じく越後妻有と言う過疎地をアートの力で再生され、この地区を無くてはならないものにしている。
お互いに共通する点は数多くあるだろうが、福武幹事の講演からは発想論を、北川氏からは方法論を学んだ。福武幹事の発想には枠が無いように思われる。国家とか、自治体とかの枠が無く、それは世界、宇宙自然と繋がっている為、発想が無限で、本質を捉えたものになっていると思う。
北川氏は、文字通りプロデュース、町づくりとは、その土地の歴史から地域性を理解し、その地の住人の協力を得ながら、計算された中で行われている事を理解した。
一方、豊島の見学、石井亨氏の講演からは人間のエゴの縮図、そして問題に立ち向かう人間の強さを学んだ。戦後最大級の不法投棄事件・豊島事件はただ一人の人間によって引き起こされたと言う事実には驚かされた。そしてそれを増長した行政の対応に怒りを覚えた。
反対運動に立ち上がった豊島住人達は、どんな苦境に陥ろうとも、解決まで歩み続けた。その行動力は私達が何かの行動を起こす時の教科書になると思う。
この両極端の島には人類がすぐに解決しなければいけない問題と、向かうべき理想との表裏一体のメッセージがあると思う。
最近の異常気象が示す通り、地球環境は待った無しの状態である。今が良ければ良いと言う考えを捨てなければ見えてくるのは破滅の道だ。しかしそこに待ったを掛けるのも人である。それぞれが自分の問題として考え、行動出来れば状況は好転するだろう。豊島問題は、国民皆が考えなければいけない問題だ。それを教訓とする為に決して忘れ去られてはならない。
そして自然とアートと人が共存する理想郷、直島や越後妻有の様な町が増えれば、そこで初めて日本は21世紀に到達すると思える。
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