2008年 直島特別例会

 
◆小河原 房恵(岡山政経塾 七期生)
犬島、直島、豊島合宿レポート
  「合宿を終えて」



1、はじめに
 「自然と人間が共に生きる島、直島。我々人間は、文化と共に歴史を刻んでいる。」この合宿を通じて学んだことです。日々の生活感、時間的束縛を一切感じない直島。日本の一部とは思えないくらい、自由で雄大な空間があり、空気を吸うだけで、その地に立っているだけで、自分の体が浄化され、インスピレーションが湧き上がる場所でした。現代美術の新発想さと、自然の無限さから、「自分らしく生きる力」を得たように感じました。
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2、犬島
 繁栄と栄光の跡地は、時が過ぎると人々の記憶から消えていく。しかし、犬島には、産業遺跡を芸術として残す、という全く新しい世界が広がっていました。こんな発想を誰が考えつくのだろうか。一回の見学では到底理解できない奥の深さが犬島には存在しました。何度も何度も足を運ぶことで、少しずつ自分なりの理解が芸術と結びつき、答えが見えていくのだと思いました。
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3、豊島問題
 日本は本来、治安も悪くない、人は親切で、安心して住民が暮らせるだけの制度が整っている国であったはずである。そもそも、日本はこのように自慢できる優秀な国ではなかったのだと多くの日本人は今になって気づいているのではないでしょうか。日本人はうぬぼれていたのでしょう。TVを見れば次から次に起こる殺人事件が、教育の現場では崩壊の危機にさらされ、家族がばらばらに過ごす家庭で、人間の心はどこで安らぎを感じるのでしょうか。数多くの世界的な優良企業といわれる日本の企業も、地球温暖化対策では全く実力を発揮できていない、政治でも同じで結局は欲に縛られた政治家は国民のことを本気で思って仕事をしているのであろうか。豊島問題は、日本全体の滅びの縮図であったと感じました。しかし、豊島は真にその問題と向き合い、解決をしようとした強烈な忍耐力と猛烈な正義を持った人たちによって民の力で変われることを証明してくれたように思います。
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4、最後に
 直島合宿は多くの衝撃と新しい発想を私に与えくれました。苦しく辛い出来事も、芸術に置き換えると、抵抗なく受け止めることができます。歴史は文化であり、文化は発展するものではないでしょうか。芸術という形で、それらを表現することの素晴らしさを体感したように思います。そして、芸術は受け取る人の経験や性格で全く違った捕らえ方をもたらします。それこそ、自分と異なる人を理解し、地球規模での人間の共存を意味するではないかと思いました。

             2008年7月27日