2009年 直島特別例会
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◆古賀 俊洋(岡山政経塾 八期生)
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ベネッセアートサイト直島合宿レポート
犬島・直島・豊島合宿について
今回の特別例会のテーマは『見る・聞く・体感する。考える力を身につける。発想の転換をする。』である。事前に自分なりに訪れる3つの島を予習してみたが、豊島は産廃問題で何となく分かるが、犬島、直島の現代アートが今回の特別例会とどう接点があるのか正直分らず戸惑いがあった。100km歩行や自衛隊体験入隊のこれまでの体力的行事に比べ、当日までは半ば観光気分であったが、とんでもない、今まで以上に私にとって意味深い学びの場となった。
『在るものを活かし、無いものを造る』
まずは犬島アートプロジェクトを見学させていただき、最初に上記の福武幹事の文言が目に入ってきた。過去の遺産と現代アートの融合、そして自然を活かした環境に負荷を与えない造り、発想の転換とはこういうものなのかと何となくではあるが、非常に感銘を受けた。中でも柳幸典氏の作品は考えさせられる作品であった。5月例会の永峰先生の講演、6月の自衛隊体験入隊、そして三島由紀夫の檄文をモチーフにした作品。これら一連の行事が点と点が線になったように思えた。後日あの檄文を読み返したり、なぜ三島はあのような決起に至ったのか調べてみたが、様々な解釈があってどれが答えなのかは正直よく分からなかった。しかしこれら一連の問いかけを即座に答えを求めるのではなく、今後も同期生やOBたちと様々な議論を行っていきたいと思う。
『Don`t think!! Feel!』
家プロジェクト、地中美術館 ベネッセハウスとここでは現代アートに触れたなかで、美術的要素がない私ではあるが、現代アートとは全く関係ないが、映画「燃えよ!ドラゴン」からのブルース・リーの上記の言葉を思い出した。すべての作品には作者からの何らかのメッセージがあると、また福武幹事よりセンスを磨くには自然と現代美術を見るといいと教えていただいた。凡人の私には理解不可能な作品もあったが、恐らく、その時々で感じ方も違うのであろう。今後機会があればまた訪れてみたい。その時の自分はどのような感じ方をするのか期待して。
『言っている事とやっている事を一致させる』
福武幹事の講演「私の生き方形成プロセス」は久々にしびれた。過去にもよく実業界の成功者の講演会など聞きに行ったものだが、岡山政経塾の理念でもある「地域より日本を変える」を地で実行されていて、規模は違えども、我々塾生に背中で見せて下さっているような気がした。来年開催される瀬戸内国際芸術祭もそうだと解釈した。
「物事の本質を見抜く感性を磨く」、「メディアに惑わされない」、など心に残った言葉は数知れないが上記の言葉が一番響いた。実際、今の私はどうなのだろうか、入塾して今のところはまだ学びの過程ではあるが、自分にはどのような事ができるのか、自分の進むべき道は、信念がブレているのではないかと様々な事を改めて考えさせられた場であった。
『物の豊かさより心の豊かさを』
「なんじゃ・こりゃ!!ひでぇ!」現場を見学してショックで絶句した。豊島産廃問題はニュース等では知っていたが、実情までは全く知らなかった。石井前県議の話を聞くにつれ、問題を起こした当事者、当時の無能な行政に対して怒りを感じた反面、我々の身近でこんな問題があったとは、30年以上の石井前県議や島民の皆様のご苦労を考えると、自分の関心の低さに恥ずかしくなった。環境問題が叫ばれだしてまだ間もないが、今までの資本主義社会における工業化社会の負債の縮図がここにあるような気がした。
昔、小学校の授業で水俣病やイタイイタイ病を習った記憶がある。二度とこのような悲惨な出来事を繰り返さない、そして風化させないためにも、個人的な私見ではあるが、この豊嶋問題を特に香川・岡山両県は義務教育に取り入れるべきだと提言したい。
今回、犬島・直島・豊島を訪れ、また福武幹事の講演の中から、今後我が国日本が進むべき道がここにあると、ヒントを与えてくれているように感じた。我が国が抱えている問題、少子高齢化、財政、環境、食糧、資源、医療、教育など数えれば切りがない。当たり前だが日本は島国である。このちっぽけな島国のましては過疎の島々の方々が、我々よりハンディを抱えながらも地域再生に尽力している姿も間のあたりにした。これからの地域が抱える諸問題には、行政に依存することなく、住民(国民)が一枚岩となって立ち向かっていく姿こそが理想ではあるが・・・。
いただいた冊子「豊かさを問うU」の中で、中坊公平弁護士が最後のページに以下の寄稿していた。『人はどのようにして動くものなのか。私は社会を本当の意味で動かすは、決してお金でもないし物でもない、心だと思います。心と心が通い合えばこそ、私はどんなことでもできるのではないかと思います。(略)』心の豊かさとは何か?何だか哲学的でもあるが、物質的豊かな時代に育った私にはこの問いかけには簡単には答えられない。この難題の問いかけにも様々な意見を聞き自分なりに求めていきたいと思う。
今回の特別例会は内容が多岐に渡り濃く、今のところまだ消化しきれていない部分もあり、レポートを書くことも今回は頭の中を整理つけるのに少し時間を費やした。最後にたくさんのヒントを与えて下さった福武幹事、いつも新鮮な場を提供して下さる小山事務局長、その他今回の例会に携わっていただいた方々には心底感謝である。この例会を通じていただいた課題を、今後の分科会に活かしていきたいと思う。ありがとうございました。
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