2009年 直島特別例会

 
◆津村 泰弘(岡山政経塾 八期生)
ベネッセアートサイト直島合宿レポート
  犬島・直島・豊島合宿に参加して、学んだ事、感じた事。



★はじめに
 私は10年位前に犬島に1回泳ぎに行ったことがあるが、それ以来1度も行っていません。
 直島に関しては7〜8年前は仕事の関係で、月に1回程度行っていましたが、ここ何年も行っていません。
 豊島に関しては1度も行った事がありません。 今回のテーマは「見る、聞く、体感する、考える力を身につける、発想の転換をする」事が課題でした。
 自分にとっては少し難しいテーマだなーと正直思いました。そーは言っても一泊二日の3島体験なんて、めったにない チャンスなので、今の自分よりプラスになる事が1つでも、2つでもあればいいなーと思い、今回の合宿に臨みました。

★犬島
 1909年に建設された犬島精錬所ですが、やはり1番に目についたのが大煙突でした。煙突も角ばった物と、丸い 物がありとくに丸い煙突は「どの様にしたら、あんなに丸く仕上げる事が出来るのだろう」しかも地上何十メートルもあ る高さの煙突を100年も前に「どーやって積み上げて完成させたのだろう」と不思議に思いましたが、目の前には、 100年前の煙突が今もちゃんと残っていて聳え立っている、これは現実なのです。当時、建設に関わった人は今は、 いらっしゃらないと思うので直接お聞きする事は出来ないと思いますが機会があれば何らかの形で調べてみたいと思 います。幼少時代にバビル2世と言う番組を、よく見ていましたが、バビルの塔に似ていて「ロプロスー」と叫べば怪鳥 が煙突から出てきそうな気がしたのは、私だけでしょうか?周りに人がいなかったら絶対叫んでいたと思います。
 これも、しいて言えば発想の転換でしょうか?
 その後三分一博志氏が建築した館内に入りましたが、中はとても涼しく感じました。太陽、地熱、気候と自然エネル ギーを利用して「こんな建築物が建てられるのか?」と正直感動しました。私は建築関係の仕事ですが確かに最近 多い高気密、高断熱も、いいと思いますが強制換気が必要となってきます。それよりも日本の風土に合った自然 エネルギーを利用する建物の方が好きです。
 大昔なんかは、エアコンも扇風機も無い時代に、みんな過ごしていたのですから、三分一博志氏の様に原点に帰っ て少しアレンジすれば、より良い建築物が建てられるのでは、ないかと思いました。
 次に柳幸典さんのアートワークを見学させて戴きましたが、私が1番印象に残ったのは三島由紀夫さんの畳み3畳 位の部屋でした。その中には小さなタンスが1つ置いてありましたが机がなく作家の三島さんは、「どーやって作品を 書いていたのか」と疑問に思いました。説明員の方が教えて下さったのですが三島さんはタンスのヒキダシを手前に引 いて、その上に板を置き机代わりにして作品を仕上げていたと聞いたとき、当時から三島さんは、すばらしいアイデアの 持ち主だったんだなーと思い、今の自分には、そんな発想の転換なんて思いつきません。
 歴史に学ぶという事は、何十年も何百年も昔の事でも、本当に今の自分にとってプラスになるなーと改めて実感しま した。三島さんの言葉の中で自衛隊に対して「自衛隊にとって建軍の本義とはなんだ。日本を守ること。日本を守る ことなんだ。日本を守るとは、天皇を中心とする歴史と文化をの伝統を守ることである」と自衛隊に対して呼びかけて いる。戦後、昭和天皇が「私は神ではない、人間だ」と人間宣言した後、何十年も経っているにもかかわらず、天皇 を中心とすると訴えている。そして最後は「天皇陛下万歳」と唱えて自決されました。
 三島さんは1970年、ちょうど私が産まれた年に亡くなられましたが、あれから40年近くたっても、今でも三島さんの 作品が映画になっていますし、三島さんの生き方は決して間違いではないと世間の大半の人が認めている証だと思 います。まさに武士道魂を持っておられたお方ですし自決しなければ、今でも生存していたかも知れません。
 そー思ったら、日本は、なんてすばらしい人を亡くしたんだと思えて、とても残念に思います。
 福武幹事が、「日本は1970年までがピークで、それ以降はダメだ」と言っておられましたが、まさに、三島さんが、自決した年と、かぶります。

★直島
 家プロジェクト、地中美術館、ベネッセハウスの現代アートを見て廻ったが今回の1回目では正直、自分が今まで、 アートに対して興味を持った事もないせいか、作者が訴えかけているいる事が、つかめませんでした。多分、自分が 無頓着だからだと思います。1回目で納得出来なければ2回3回と繰り返している内に、1つでも自分にとって収穫 になるものが出てくるかも知れません。アートに関しては自分自身の今後の課題だと感じました。
 ただ今の現代アートが何十年後かに古典アートに代わり、その時また新しい現代アートが生まれれば、アートの歴史 は何十年何百年と繰り返し、永遠に続いていくものだと感じたのです。
 また面白い事に私が家プロジェクトを見て廻っている時に、島民の、おばあちゃん(80歳位)が「最近休みの日は、 外人さんとか、観光客の人が多いけど、何かあったん?」と聞かれ、私は「古い家を改修して現代風に仕上げた家を 見て廻っているんですよ」と答えたら、その、おばあちゃんから「私は1回も見たことがない」と答えが返ってきて、とても、不思議な感覚になりました。ひょとして、この、おばあちゃんボケてるか痴呆症かなー?とも思ってしまいました。
 年間、観光客が34万その内、外国人が2割を占める世界的有名な、直島を知らないの?って県外の自分が思ってしまいました。多分、ボケた、おばあちゃんと私は会話したのでしょうと自分に言い聞かせました。
 ひょっとして、おばあちゃんにしてみれば、今より昔の方が良かったと余韻にひたっているのか、見ようと思えばいつでも、 見れると思っているのか、そーとも思いました。
 とにかくその会話は世界的に有名な直島でも、不思議な出来事の1つでした。
 それと夜の福武幹事の話の中で「現代が未来と結びつく、過去は未来とは結びつかない」と言われていたのを、覚え ています。確かに簡単な様に思えて難しい言葉のニュアンスだなーと思いました。アートにしても、日本の文化、政治 産業、経済、すべてにおいて今があるから未来が来る。今を現状分析して未来へつなげる。
 例えば仕事を例にすると、今現在の自分の置かれた立場を現状分析し、5年後10年後の、中長期的な未来へと つなげる。
 好きな女性、気になる女性に対しても同じことが言える。好きなら「好き」と口に出して相手に伝えなければ、時間と 月日だけが過ぎ、変な方向の未来へとつながっていき、告白する事によって、楽しい未来へとつながる可能性はある 玉砕されても絶対告白する方が、いいに決まっている。玉砕されたら、また新しい未来へ突き進めばいいからだ。
 (思っていても、なかなか行動には移せないが)

★豊島
 豊島に関しては産業廃棄物不法投棄事件でニュースになった事もあり、また2004年に小泉総理大臣が訪れた事 位は知っていましたが、全くと言っていい位何も知りませんでした。
 その中で、石井さんの今までに起こってきた来た過去の話を熱心に説明して下さるのを聞いている内に少しずつでは ありますが、自分なりに少しは理解出来ました。
 今現在、自分が暮らしている所と、そんなに遠くない所に住まれている豊島の方々の今までのご苦労を比較すると、 何て自分は幸せな環境なんだと思ってしまいました。
 仕事が終われば帰宅後TVを見たり、酒を飲んだり外に飲みに出たり、自由な生活を送っている。この人たちは、当 時、日没を向かえたら、その後どの様な時間を過ごしていたのか?見た所飲み屋なんてなさそうでしたし、外で酒が 飲みたい時は宇野まで行っていたのか?豊島の島民の人だってストレスは溜まったに違いない。そんな時は島民の人たちが酒を持ち寄って、どこかの家に集合し決起大会でもしていたのか?だから島の人たちは結束力が強いのか? とも思いました。
 2010年10月には、豊島アートプロジェクトもオープン予定ですから、是非とも島の町興し活性化の為にも、成功 する事を、陰ながら、お祈りします。まだまだ勉強不足の自分ですが、豊島は次回、観光も兼ねて、もう1度行ってみたいと思いました。その時は標高340メートルの壇山にも登ってみたいと思います。

★最後に
 今回の犬島、直島、豊島合宿は自分にとってまだまだ理解出来ていない所も沢山ありますが、大変勉強になり、今後の自分に大変役立ちました。まだまだ、今の自分は発展途上ではありますが、今後少しずつでも何らかのヒントをつかみプラスにして行きたいと思います。
 この様な合宿の機会を与えて下さいました、福武幹事、小山事務局長を始め、案内及び説明をして下さいました、 西美さん、藤井さんに感謝します。有難う御座いました。