2009年 直島特別例会
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◆濱本 大輔(岡山政経塾 八期生)
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ベネッセアートサイト直島合宿レポート
人との関わりの大事さを学べる島々
現代アートは,わからないものとして私は敬遠しておりましたが,コミュニケーションの中で「わからない」という言葉は,相手をシャットアウトする言葉だと学び,敬遠しておりました現代アートへ久々触れ合う機会をいただきました。
犬島での学び〜すべてにムダがない〜
犬島アートプロジェクトでは,「精錬所」に触れました。風化したカラミ煉瓦や大煙突,そして銅を切り出した跡地など近代化産業のダイナミックさは,全てがアートに見えました。空間は大事。犬島アートプロジェクトは,造形物のバランスの美を感じさせるものでした。そのような舞台で,三分一博志さんの環境との共生をテーマにした電気を使わない空洞,植物を使った汚水浄化,半分石に埋まった家などは,ヒトの創造が無限であることを感じさせるものばかりでした。地球上のあらゆる地形には,すでに利用可能なエネルギーが存在している。犬島は,周りを見て学ぶための余裕が大事だということを私に学ばせてくれた島でした。
直島での学び〜違う価値観に触れよう〜
直島では,「家プロジェクト」,「地中美術館」を通して現代アートに触れました。「家プロジェクト」では,「はいしゃ」でただ単に見ているだけでは気づかないことの多さを学びました。人に言われて気づくこと。「はいしゃ」では,一緒に見る人がいなければ,またその人の見る観点が自分と違わなければ,気づかないことばかりでした。自分と価値観が違う人がいることの大切さを改めて感じる場となりました。価値観の違いの面白さは,「角屋」でさらに感じることとなりました。水に沈められたいくつものデジタル数字のスピードは,その人その人の時間の感覚に感じられました。「地中美術館」では,ウルトラマンのフィギュアで作られた日本国旗,ありに侵食された日本国旗,水平線の写真が私は大好きです。特に水平線の写真は,すべて違う国の水平線を撮ったものだと教えていただき,全ての海がつながっていること,全ての海は違いがないことを学ぶことができました。当たり前のことはこんなに素晴らしいと感じさせる直島でした。
豊島での学び〜歴史・経験の伝承〜
初めてゴミの上に立ちました。そこは,始めただの土地のように感じましたが,石井亨さんの話を聴いていると豊島住民の皆様の戦いの歴史を感じていくようになりました。最終合意の際,当時の香川県知事が涙で謝罪したときに豊島住民全員で泣いたという話は,10年後でも感じるものがありました。それは,実際に戦ってきた方の魂をこめた話だったからだと思います。全部で1億6000万円の実際にかかった費用と人件費で表すと6億円の豊島住民の方の時間は,とても尊い数字に聞こえました。豊島問題を戦った住民の方は,年々お亡くなりになっているそうです。同じ歴史を繰り返さないよう,そしてこの歴史がきちんと学ばれるように我々は,さらに学ばなければいけないと感じました。
最後に今回も学びの場を提供してくださった小山事務局長,例会担当の森田さん,吉田さん,渡辺さん,さまざまな知識や気づきを与えてくださった福武幹事,西美さん,藤井さん,石井さん,参加されたOBの皆様,そして各島でお世話になった方々に心から感謝いたします。本当にありがとうございました。
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