2011年 直島特別例会

 
◆南  竜徳(岡山政経塾 十期生)
岡山政経塾  直島特別例会レポート
  『直島という名の「愛」と手をつないだ2日間』



●はじめに

今回私は直島に初めて足を運ぶ事となりました。はたして芸術が自分には理解できるのであろうか?期待、不安、色々な思いと共に直島に入ったのです。
見る、聞く、体感し、考える力を身につけ、発想の転換を行う。
この言葉の意味を後々自分自身考えさせられることとなる。


「直島アートと島の人々」

昔ながらの島の風景に何処か懐かしさを感じました。温かさと安らぎをもって生活している島の人々、数々の現代アート。その二つが共存する時、私の心に訴えてくるものとは何か・・・
その答えを手探りで探しながら時間が過ぎていく。


「北川フラム氏の講演」

このプロジェクトを立ち上げるにあたって、まず一番に感じたのが、人口減少と共に島自体の元気がなくなってきた。
そこで今まで島にあった常識を覆し、自己満足だけで終わらぬよう、その地域に住んでいる高齢者の方々を元気にして、今残っている文化を再度立て直す。

一人一人見る側に感じ方、捉え方の違うアートを用いて島の人達すべてを守っていく。
そこに答えを見出した。
必要のなくなった物を再度動かし、発想の転換を行う。
作品は生きている為、対話を行い、それ自体を必ず自然光の中で見る。そうすることで作品自体を体感する事が出来る

感じようとするのではなく、ありのままを受け入れ、自然の流れに身を任せ、体感すればよいのだと・・・


「犬島、豊島での学び」
犬島での精錬所との出会い・・・
メッセージ色の強い精錬所。時代をさかのぼるとそこには、以前、採石業、銅の製錬業などで隆盛を極め、最盛期には5000〜6000人余りがそこで生活をしていた。

その後、経済変化による企業撤退、人口の減少、学校の廃校と度重なり、今の絵となる。

今、石の島「犬島」と賞されるように石から感じるエネルギーを体一杯に溜めながら精錬所内を歩くと、自然をありのまま生かした人間の工夫がそこにはある。

自然の力に少しだけ人間の工夫がブレンドされると、現代社会を生きる私たちが忘れていた自給自足の生き方を思い出させてくれたような、そんな風に体感させてくれました。

(豊島での産業廃棄物)
私たちは今でもゴミとは切り離せない生活を送っております。環境破壊、温暖化、生態系の変化、様々な問題を地球上に巻き起こしております。
まず豊島問題で考えねばならないのが、目先の利益だけを追い求め、生産だけを重視し続ければ、取り返しのつかない結果を招くという事です。
今でこそ「リサイクル」という言葉が世の中に定着しておりますが、福武幹事がおっしゃられる「在る物を活かし、無いものを創る」まさにこれからの社会、必要な生き方ではないでしょうか。
「使い捨て」という社会から、「産業廃棄物を出さない」という社会へ向かう為の第一歩となったに違いありません。


●おわりに

在るものを生かし、無いものを創る。見る、聞く、体感し発想の転換をする。
この言葉と共に過ごせた貴重な時間となった事を感謝致します。
今まで芸術とはあまり縁のない生活を送ってきました。

しかし直島は、「体感する」という開く事のなかった扉を開ける良いきっかけとなった事に違いありません。

自分自身何事も、感じよう感じようとしておりましたが、そうではなく、ありのままを受け入れ自分自身の捉え方で良いのだと・・・
人間一人一人違うものです。思考、捉え方、それぞれを尊重し合えば、必ずそこには愛に溢れた豊かな生き方が在るに違いありません。
直島の「無上の愛」に包んでもらった貴重な二日間となりました。

福武幹事、小山事務局長をはじめ、直島合宿関係者の皆様、10期生の皆、こんな機会を設けないとなかなかめぐり合うことはなかったと思います。二日間ありがとうございました。