2012年 直島特別例会
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◆小野 裕司(岡山政経塾 十一期生)
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岡山政経塾 直島特別例会レポート
『直島特別例会レポート』
‐始めに‐
私は事前に頂いたパンフレットを見て、アートの概念そのものが変わりました。アートは絵でありキャンパスに書くものだと思っていました。現代アートは空間をひとつの作品としてとらえています。現代アートを実際に見て、何を学ぶことができるのかわくわくとした気持ちで今回の研修に参加しました。
‐現代アート‐
・作者と繋がる 李禹煥氏「沈黙の間」
鉄板と自然石だけの部屋。鉄板に反射した柔らかい照明の光が、自然石を照らしている。誰もいないその部屋に入ると、その空間の雰囲気で言葉が出ませんでした。部屋を出て作品名を探すと「沈黙の間」と書いてあり、作者の感性がこの部屋を通して伝わってきたように感じました
・仲間と繋がる ジェームズ・タレル氏「オープン・フィールド」「南寺」
オープン・フィールドはアートの中に私がいる。その驚きは思わず声に出てしまうほどでした。否が応でも話さずにはいられない感動の空間は、まさに感性のコミュニケーションツールとなっていました。
南寺は真っ暗な空間。見えない不安を消すために言葉で繋がるコミュニケーション。少しずつ目が慣れて見えるようになると感動のコミュニケーションへ。この発想は本当に素晴らしいものでした。
・地域と繋がる 柳幸典氏「山の神と電飾ヒノマルと両翼の鏡の坪庭」
この作品を説明してくださったのはなんと島の住民のおばあさんでした。自身の経験を踏まえながらの説明は、かつての島の情景が思い浮かび、自然と聞き入ってしまいました。また、その姿はとても生き生きとしており、私にもそのエネルギーが伝わってきたように感じました。
・みんなと繋がる 内藤礼氏「母形」
水の玉が生まれ、水の溜まり場へと向かって流れる。途中で止まることもあるが、後から来た水と重なり進んでいく。水を人に置き換える。一人から二人、そして多くの人に後押しされながら目的地へ。まるで人生を表現しているようでした。ふと天井を見上げるとドーム状の空間が母親のお腹の中であるように感じました。そしてその空間には多くの人がいます。私は一人ではないということを再認識させてくれる場所でした。
‐講義‐
・橋川先生と福武幹事の講義
橋川先生のおかげ横丁の町づくりと福武幹事のベネッセアートサイドの考え方は、共通している点が多くあることに気付きました。
・ 信念:絶対にやり遂げる「ぶれない信念」を持っていること。
・ 魅力:3つの魅力が人の集まる街を創造していること。
・ 精神:人の笑顔が人を集めていること。また社会的貢献の心があること。
これらのことは私自身を成長させるためにも必要なことだと考えました。どんな人になるのかを語ることができる人になり、3つの人間的な魅力を備え、支えて下さる方々への感謝の気持ちを行動で表す。まだまだ足りない部分が多々ありますが、ぶれない信念を持つことから1つずつ作りあげていきます。
・豊島事件
たった1つの企業が私利私欲のために、豊島に産業廃棄物を不法投棄した事件。企業によって産業廃棄物が持ち込み始められたとき、豊島住民はすぐに行動を起こします。しかし香川県に訴えても無視され、行政監査局へ行っても指導が行われず、香川県警に行っても香川県に言えとたらい回し。それでも豊島住民は常に自分ができることを考え、信念を持って行動し続けました。その結果が兵庫県警による企業の摘発へと結びつき、残された産業廃棄物についても、香川県に撤去させる約束を取り付けることができたのだと思います。このことからも信念を持って行動し続けることで、未来を切り開くことができるのだと思いました。
‐最後に‐
直島例会は私にとって本当に多くの学びがありました。特に現代アートは仲間だけでなく、多くの人と感性で繋がることができるコミュニケーションツールだということがわかりました。そしてこの繋がりこそが幸せを生み出す源泉になるのだと考えています。
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